チーズのプロが推す“臭いチーズ”5選!臭いけど美味い?美味いけど臭い?

チーズのプロが推す“臭いチーズ”5選!臭いけど美味い?美味いけど臭い?

時にチーズは「臭い食べ物」として注目を浴びることがあります。店頭にいると

「一番臭いチーズどれですか?」
「罰ゲームに使えるチーズください」

なんてお客様も、けっこういるのです。

でも個性的な香り(ここでは「匂い」ではなくあえて「香り」と表現させていただきます!)のチーズほど、食べると美味しくて中毒性があることが多いかもしれません。「くっさっ!」の後の「うんまっ!」、悶絶スパイラル(笑)。クサいけどウマい、そんなチーズをご紹介します。

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エポワス(Époisses)

エポワス0306
(画像出典)フェルミエ

フランス ウォッシュタイプ 牛乳

臭いチーズと聞いて、真っ先にこのチーズを思い浮かべる人は多いでしょう。「美味礼讃」の著者である美食家ブリア・サヴァランが「チーズの王様」と称え、ナポレオンも好んだとされるチーズ。その香りはフランスでは「神様の足の匂い」と言われています。キングオブチーズであるエポワスに敬意を表しながらも「臭い」ことをやんわり表現した言葉(笑)。

ネットリとした外皮は、納豆菌の仲間であるリネンス菌に覆われています。これでこの臭さのタイプがなんとなくわかったでしょう。パッケージを開ける前から臭い、開けたらもっと臭い。でも、食べると美味い!中はやわらかくクリーミー。熟成が進むとスプーンですくっていただけるほどトロトロになります。

ワインの風味を邪魔してしまいそうな強烈な個性の持ち主ですが、不思議と同郷ブルゴーニュ産の高級赤ワインとの相性は抜群です。

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マロワール(Maroilles)

マロワルフェルミエ
(画像出典)フェルミエ

フランス ウォッシュタイプ 牛乳

チーズを洗いながら(塩水やお酒で拭うような感じ)熟成させるウォッシュチーズは、臭いチーズの代表格。エポワスに次ぐものはこのマロワール(マロワル)でしょう。

フランス北部のベルギー国境に近いマロワール村発祥のチーズ。四角くて4種類の大きさがあります。ペタペタとしたオレンジ色の外皮は強く個性的な香りをプンプンと放ち、カット作業をした後はしばらく手が臭い。外皮は少しザラッとした食感、もっちりとした生地は塩味とミルク感がバランス良く、旨味もあり、ワインはもちろん、ビールとの相性も◎。

香りが気になる場合は外皮をカットして食べましょう。ライ麦のパンやパンデピス等との相性が良く、トースターで温めるのもおすすめ。ただし部屋中にその香りが充満しますのでご注意を。

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カマンベール・ド・ノルマンディ(Camembert de Normandie)

カマンベールドノルマンディー
(画像出典)フェルミエ

フランス 白かびタイプ 牛乳

世界で最も有名なチーズのひとつ「カマンベール」の本家本元がこの「カマンベール・ド・ノルマンディ」です。フランス北西部ノルマンディ地方のカマンベール村が発祥。マリー・アレルという1人の農婦が、1791年のフランス革命の時にパリから逃れてきた修道僧にチーズの製法のアドバイスを受け、このチーズを完成させたと言われています。

世界中に「カマンベール」は存在しますが、「カマンベール・ド・ノルマンディ」と名乗れるものは、指定の地域の無殺菌の牛のミルクを使う伝統的な製法で作られたチーズのみで、大きさも決まっています。

カマンベールに臭いイメージはないかもしれませんが、本家本元は違います。熟成と共に徐々に変化。若いうちはミルキーで優しい味わいですが、賞味期限ギリギリになると香りも味わいも全てが強く刺激的に!

個人的には強くなる一歩手前、木箱に鼻を近づけた時に「くさ…」と小声で言うくらい(賞味期限1週間前くらい?)が好みです。色々な熟成段階で食べられるのがナチュラルチーズの醍醐味。木箱の裏側の賞味期限を確認して購入してみてくださいね。

もし「買ったけど臭くて食べられない」と感じた時は、外皮を取るか、丸ごと電子レンジでチンしてチーズフォンデュのようにパンや野菜と一緒に食べてみてください。

ブリー・ド・ムラン(Brie de Melun)

ブリドムラン
(画像出典)フェルミエ

フランス 白かびタイプ 牛乳

パリ近郊の町・ムランで作られる1,000年以上の歴史があるチーズです。ブリー・ド・モー、クロミエと合わせて「ブリー三兄弟」と言われています。エレガントで一番大きな長男ブリー・ド・モー、2番目に大きく野性味溢れる次男ムラン、一番小さく優しい末っ子クロミエ。

今回ご紹介する次男ムランは香りも味も見た目も三兄弟の中では個性が際立っています。のけぞるような臭さではないものの、熟成と共に出てくる茸や藁のような乾いた香りはクセが強くて野性的。

味わいは塩味が強めでパンチのある通好みな逸品です!コクのある濃厚なタイプのワインや日本酒と楽しんでみてください。

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ロックフォール(Roquefort)

ロックフォールカルル
(画像出典)フェルミエ

フランス 青かびタイプ 羊乳

臭いけど美味いチーズに、ブルーチーズは外せません。
そもそも、ミルクは臭くないのになぜ臭いチーズがあるのでしょうか。それは、ミルクがチーズになる熟成過程でタンパク質と脂肪が分解されてアミノ酸や脂肪酸が生成されるため。それらがチーズの風味を作っているのです。

ブルーチーズは風味形成の元となる脂肪酸の量が多く、ウォッシュチーズとはまた違った独特な香りがあります。中でもロックフォールはその極みといえるでしょう。水分(乳清)が多く出るので食べる時はキッチンペーパー等で抑えてからいただきますが、この水分がまた臭い。昔、プラスチックパックに入ったロックフォールを購入した際、カバンの中でなぜか水分が漏れ出し、軽く異臭騒ぎになりました(汗)。カバンやエプロンなど、少量でも布につくと臭いので忘れずに洗濯しましょう。

見た目と香りで敬遠されがちですが食べると病みつき。羊のミルクのコクと旨味、青かびのピリピリ感が魅力。蜂蜜、レーズンのパン、焼き芋等と相性抜群。ぜひ合わせて食べていただきたいです!

まとめ

まとめ
(画像出典)PIXTA

臭い臭いと連発してきましたが、これらのチーズが無臭だったらどうでしょうか?それほど虜にはならなかったかもしれません。その美味しさにハマると、臭いどころか食欲を誘ういい香りに思えてきます。香りと味の関係は不思議です。
チーズの「クサい」は、「ウマい」のための大切な要素と言えます。
そうそう、チーズは必ず室温にもどしてから食べてくださいね。「香り」もより引き立ちますよ。

エポワス、ロックフォールについては過去記事もあります。ぜひご覧ください。

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画像協力:
ナチュラルチーズ専門店フェルミエ
https://fermier.co.jp/

【当記事につきまして】
hitotema編集部が企画、ライターのAkikoがおすすめを選定し、フェルミエ様より画像を拝借して記事を執筆しました。

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