ボジョレーヌーボーとは、フランス・ブルゴーニュ地方の一番南に位置するボジョレー地区で作られるガメイ種の新酒のことです。ボジョレーヌーボーと共にご自宅で美味しいチーズを楽しんでみませんか。
毎年11月第3木曜日がボジョレーヌーボーの解禁日です。この解禁日は、ワインの早出し競争が激化して品質が低下することを防ぐために定められました。現地フランスでは、もともとその年のワインの出来栄えをチェックするための日、この年も無事にブドウが収穫できたことを祝う日でもあります。
このワインの風物詩が日本に根付いたのはいつ頃だったでしょうか。90年代のワインブームから火が付き、2004年に輸入のピークを迎え、今なお日本各地で解禁イベントが行われています。
世界各地に輸出されているボジョレーヌーボーのおよそ半分が日本向けとは驚きです。同じボジョレーヌーボーでも、実に多くの銘柄が日本の市場に出回ります。その年のブドウで作るワインなので、味わいは若々しくフレッシュでフルーティー。中には旨味もある力強いタイプもあり、作り手によって味わいも違うのが面白いところです。

今日は、ボジョレーヌーボーの果実味を邪魔しないチーズを5つ紹介します。
目次
コンテ8ヶ月熟成(フランス/牛乳)

フランス国内生産量・消費量ナンバーワン、1,000年以上の歴史を持つ誰からも愛されるチーズ。どんな飲み物とも相性の良い懐の深さがコンテの魅力です。コンテには8ヶ月程度の若い熟成のものから36ヶ月位のものまで売られていて、熟成期間や製造時期の違いで味の変化が楽しめます。
過去記事“冬のおススメチーズ”の時にはホクホクとした風味のある濃い味わいの「コンテ18ヶ月熟成」をご紹介しましたが、ボジョレーヌーボーに合わせるなら8ヶ月熟成がおすすめ。8ヶ月熟成は若々しくフルーティーでミルキーな優しい味わいでありながらも、「コンテの味」はしっかり感じます。
どんな場面でも重宝するチーズ。コンテはやっぱり偉大です。
ピエ ダングロワ(フランス/牛乳)

日本でもおなじみのチーズですが、ボジョレーに近い地域で14世紀頃から造られている、歴史あるチーズなんです。ピエは足を意味し、アングロワはイギリス(人)を意味します。
フランスとイギリスの間で起こった百年戦争後、イギリスの王様がこのチーズが好きだったため、もともとの名前から「アングロワ」に変更させたというエピソードがあります。
もう随分前になりますが、筆者がウォッシュチーズ(塩水やお酒で洗いながら熟成させたチーズ)というものを初めて食べたのは、このピエ ダングロワでした。これまで食べたことのない美味しさに感動。初めてのウォッシュチーズがコレって人はけっこう多いかもしれません。
チーズを塩水で洗った後に真水で洗っているので香りも穏やか。クリーム添加で柔らかくコクもあり、食べやすい。とっても優しい味わいなのにウォッシュチーズの個性も忘れていないバランスのいい優等生です。室温に戻してから食べてくださいね。
パヴェ ダフィノア(フランス/牛乳)

この真四角のシュッとしたチーズ、あなたも見たことがあるかもしれません。6x6x4cmの立方体の、白カビチーズ。ボジョレー地区にも近い美食の街リヨン近郊のメーカーが「ウルトラフィルトレーション製法」という新しい技術でクリーミーに仕上げたチーズです。
パヴェはフランス語で「石畳」。ダフィノアは生産地の昔の呼び方「ドーフィネ地方」と熟成を意味する「アフィナージュ」を意味し、メーカー名でもあります。

白いカビを纏ったクリーミーなチーズで、若いうちはカットしていただきます。熟成が進み賞味期限間近になるとシュッとした姿がだんだん横に膨れてきて中のチーズがトロトロに。てっぺんの外皮を四角く切り取り、中のチーズをスプーンですくって食べることもできます。若いうちはさっぱりと、熟成と共にコクのある味わいに。
とろとろで食べたい人は冷蔵庫の野菜室でチーズが太ってくるのを待ってみてくださいね。食べる時は室温に戻すのをお忘れなく!
フルム ダンベール(フランス/牛乳)

ブルーチーズ(青いカビタイプ)が好きな人は、ボジョレーヌーボーにもブルーを合わせたいですよね。フレッシュな新酒には、フルム ダンベールがおすすめです。ボジョレーのあるブルゴーニュ地方に近いオーヴェルニュ地方アンベール村のチーズで、紀元前から製造されていたという説もありますが、8世紀頃の記録があります。
カビのピリピリとした刺激は穏やかで、味わいは優しく、ミルクのネットリ感とバランスの良い塩味。フランスでも日本でも人気のチーズの1つです。ガメイ種のワインの香りの特徴のひとつに「イチゴキャンディー」というチャーミングな表現があります。チーズにイチゴジャムを添えるのもおすすめ!イチゴジャムは、ブルーチーズだけでなく、白カビタイプやクリームチーズでも。是非試してみてくださいね。
ケソ デ ムルシア アルビノ(スペイン/山羊乳)

ボジョレーヌーボーはフランスのワインですが、相性がいいのは同郷フランスのチーズばかりではありません。このチーズは、スペインの地中海沿いムルシア地方の山羊のミルクで造られる、とっても食べやすいチーズです。ケソ=スペイン語でチーズ、ビノ=ワインを表します。セミハードの山羊チーズを地元の赤ワインで洗って熟成させているため、外皮は紫色に染まっています。
山羊乳は牛乳と違ってカロテンを含まないので、チーズの生地は真っ白。紫と白のコントラストが美しい。弾力のある生地にヨーグルトのような酸味、ミルクのコクと甘味、ワインの香りが心地良いチーズです。
2020年の解禁日は11月19日
今年の解禁日は11月19日木曜日ですが、賑やかなパーティーの開催は自粛傾向が続きそうですね。でも1年に1回のこの日、今年はご自分でチーズとボジョレーヌーボーを選んでみてはいかがですか。
何人か集まるなら、冬のチーズでご紹介したモンドールもおすすめです。特別感があり、気分が上がります。これ1個あればみんな喜びますよ(笑)。
ワインのおともといえば、やっぱりチーズ!家でちょっといいワインを飲むことが増える年末年始は、せっかくだからいいチーズも用意したくなりますよね。とはいえ、チーズ選びは知識がないと難しいもの。結局、スーパーで少し高めのチーズを見つくろうだけに[…]
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