子どもの歯磨きは1日何回がベスト?#歯科衛生士の歯の教室

子どもの歯磨きは1日何回がベスト?#歯科衛生士の教室

子どもの歯磨きはとても大切。
それはわかっていても、

「子どもの歯磨きは、1日に何回すればよいの?」
「起きてからの歯磨きは、起きてすぐ?朝食後?」
「おやつの後の歯磨きは毎回やるべき?」

など、歯磨きをするタイミングや回数がわからなくて悩んでしまいますよね。
そこで今回は、子どもの歯磨きの回数について解説していきます。

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虫歯ができる仕組み

虫歯ができる仕組み
(画像出典)PIXTA

歯磨きの回数の前に、虫歯ができる仕組みについて簡単に知っておいてください。それを知っていると、歯磨きの回数やタイミングについて理解しやすくなるからです。

口の中には、300~700種類の細菌がいます。
その細菌のひとつである「ミュータンス菌」が虫歯を作り出す原因菌です。

糖が含まれる食べ物を摂る
食べカスが口内に残る
ミュータンス菌が、糖を栄養にして酸を出す
ミュータンス菌の出した酸が、歯を溶かし、虫歯になる

というのが、虫歯ができる基本的な仕組みです。

ミュータンス菌が口内に留まる仕組み

ミュータンス菌の住み家は、歯垢(しこう)です。歯垢は、歯の表面に付いている白っぽい汚れのことで、食べカスではありません。

ミュータンス菌は口内で数を増やすために、ネバネバした歯垢を作り出して歯に留まりやすくします。そして、歯垢ができてから時間が経つと、歯垢の表面にバイオフィルムという膜ができます。

歯垢を取るには、歯磨きが効果的です。しかしやっかいなことに、歯の表面に強くくっついて離れないバイオフィルムは、歯磨きでも取り除くのが難しい場合もあります。
バイオフィルム下では、ミュータンス菌が増えたり、酸を出したりして虫歯の範囲を広げていくので、このガンコな膜ができる前に歯垢を歯磨きで除去するのが大切なのです。

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子どもが歯磨きをするタイミング

子どもが歯磨きをするタイミング
(画像出典)PIXTA

では、歯磨きをするタイミングは、いつがよいのでしょうか。
子どもの場合、

  • 虫歯になりやすい歯であること
  • 大人の仕上げ磨きが前提であること
  • 「嫌がる」というハードルがあること

などの事情があるので、その点を考慮して考えるとよいでしょう。

食後

食後は、ミュータンス菌の大好きな糖が口の中に残っていることが多いです。糖がいつまでもある状態は、虫歯ができやすい要素のひとつです。特に乳歯や生えたての永久歯はエナメル質が未熟なため、虫歯の進行も早く重症化する傾向があります。
虫歯にならないためにも食後は歯磨きする習慣を付けましょう。

夜寝る前

睡眠中は唾液が出にくく口の中が乾燥し、細菌が増えやすい環境になります。つまり、寝る前に歯垢や糖が残っていると、ミュータンス菌が繁殖して虫歯になりやすいということです。
夜寝る前の歯磨きで汚れをしっかりと落とすことには、虫歯を防ぐ効果があります。

起床後の歯磨きは?

寝ている間に細菌が増えるから、起きてすぐに歯磨きをした方がいい!
と指導する歯科医院もあり、たしかに効果はあります。

ただ、起きてすぐの歯磨きは、

  • 寝起きの子どもが嫌がることもある
  • 朝食後にまた歯磨きをするのは保護者の負担が大きい

など、少しハードルが高いように感じるのではないでしょうか。

より重要なのは食後なので、子どもが口の中が気持ち悪いと訴えてきた場合にうがいをする、時間があれば歯磨きをする、というくらいでも大丈夫です。

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歯磨きの回数は4回が基本。増やしたほうがいいケースは?

歯磨きの回数は4回が基本。増やしたほうがいいケースは?
(画像出典)PIXTA

歯磨きの回数は、食後の3回+就寝前の1回=4回。起床時を加えるなら5回です。

しかし、いろんな家庭があり、人それぞれに生活のリズムや習慣があります。保護者の帰宅時間の都合で、夕食後にすぐ寝ることもありますよね。家庭の生活リズムに合わせて歯磨きの回数を決めていくのがおすすめです。
歯科医院で相談すると、子どもの食生活に合わせて必要な歯磨きの回数やタイミングをアドバイスしてもらえます。

また、次のような生活習慣がある場合には、歯磨きの回数を増やすことを検討してください。

間食が多い

歯は、「脱灰(表面が溶ける)」と「再石灰化(溶けた部分を新しくする)」を繰り返しています。
しかし、間食の頻度が高いと、脱灰のスピードが早くなって再石灰化が追いつかなくなるため、歯の表面がどんどん溶けて虫歯になってしまいます。

間食後にも歯を磨くのがベストですが、ブクブクうがいで糖を洗い流すだけでも、虫歯予防の効果があります。
間食の回数を減らしたり、時間や曜日を決めたりという習慣の見直しも大切です。
一気に減らすと子どもがストレスに感じることがあるので、焦らず改善していきましょう。

甘い物やジュースをよく摂る

間食の回数だけでなく、間食に甘い食べ物やジュースをよく摂る場合にも注意が必要です。

キャラメルや飴などの食べ物や炭酸ジュース、野菜ジュースなどには、大量の糖が使用されています。特にショ糖はミュータンス菌の栄養源になって多くの酸を作り出して、歯を溶かしてしまいます。
こちらも、ブクブクうがいだけでも効果があります。

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口呼吸

口呼吸をしていると、唾液が乾いてしまい口の中が乾燥しやすい状態になります。
唾液には、歯を再石灰化する働きや細菌を抑制させる効果があるので、唾液が少ないと虫歯になりやすいです。
子どもが口呼吸をしている場合には、歯磨きの刺激で唾液を出させるのも効果的です。より乾きやすい起床時の歯磨きもいいでしょう。
口呼吸の原因を歯医者さんで診断してもらうとより対策しやすいです。

食後すぐの歯磨きはしないほうが良い?

食後すぐの歯磨きはしないほうが良い?
(画像出典)PIXTA

「食後すぐは口内が酸性の状態なので歯が溶けやすく、食後30分は空けてから歯磨きしたほうがよい」というのを聞いたことがある方もいるでしょう。

しかしこの件に対し、日本小児歯科学会は

通常の食事の時は早めに歯みがきをして歯垢とその中の細菌を取り除いて脱灰を防ぐことの方が重要です。

小児歯科学会

という見解を示しています。

歯の表面のエナメル質は、骨よりかたくて丈夫なのが特徴。米や肉、野菜などの一般的な食事で歯の表面が大きく溶け出すことはなく、食後すぐに歯磨きをしても歯へのダメージはほとんどないです。
炭酸飲料やレモンなど酸性の強い食品を摂って心配になった場合でも、歯磨き前に口の中を軽くすすぐくらいで充分です。

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回数よりも、歯垢をしっかり落とすことが重要!

歯磨きの回数は、食事をした回数+寝る前を基本に考えるとよいでしょう。
とはいえ、回数だけ増やしてもしっかりと歯垢を落とせてないと虫歯になるリスクが高くなります。

子どもが歯磨きを嫌がるなか、1日に何回も歯磨きをさせ、仕上げ磨きも…となると保護者の方も疲れてしまいますよね。そうなると親子ともに歯磨きの時間が苦痛になってしまい、歯磨きが適当になったり、回数が減ってしまったり…ということも。そんな時は、「寝る前だけはしっかりと仕上げ磨きする」というだけでも虫歯になる可能性はグッと減ります。

また、あまりしっかりと歯磨きができない場合には、定期的に歯医者さんで診てもらったり、歯磨きのアドバイスをもらったりするのもよいですよ。
どんな状態か把握できると、安心につながります。

記事監修:林 徹(歯科医、はやし歯科医院院長)

林徹先生

三重県津市 高茶屋小森町356-2林歯科ビル1F
059-234-0118
https://hayashi-dentalclinic.net/
小さなお子様からお年寄りまで、幅広い層の患者さまに信頼していただける医療を提供することを心がけています。

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