子供に安心して飲ませることができる野菜ジュースや果汁100%ジュースなら、虫歯にならないと思っていませんか?実は、これらの飲み物なら虫歯にならないというわけではありません。今回は、一見大丈夫と思われがちな野菜ジュースや果汁100%ジュースと虫歯の関係について解説していきます。
目次
虫歯になる原因

そもそも、虫歯になる要因は大きく分けて2つあります。
糖質(ショ糖)
糖質(ショ糖)は、虫歯になる直接的な原因ではありません。でも、良く甘い物を食べ過ぎると虫歯になるといったことを聞きますよね。それは、虫歯菌が糖質を取り込んで、栄養にしているからです。つまり、糖質が口の中にあるだけでは虫歯にはならず、虫歯菌と糖質の2つが揃った時に、虫歯が発生します。
酸性度
口の中は、酸性、中性の2つの状態を繰り返しながら濃度を保っています。酸性か中性かを表す度合いの単位のことをph(ペーハー)といいます。
- 食前(口の中が安定している時):ph7で中性
- 食中:phが7以下から酸性の状態に変わっていく
- 食後:唾液の効果で中性に戻る
口の中が酸性になると「脱灰」といって歯の表面が溶け始める症状が始まります。それと同時に虫歯菌の働きも活発になり、虫歯の進行を加速させます。食事が終わると、唾液が口の状態を中性に戻していきます。唾液には「再石灰化」といって、口の中が酸性に傾いた時に溶けた歯を元に戻す効果があるのです。
しかし、ダラダラと食べたり飲んだりしていると口内の酸性状態が長い時間続くため、虫歯菌はどんどん増殖しながら虫歯を作っていきます。再石灰化が間に合わず、虫歯が進行していくのです。特に、酸性度が高い飲料水を飲むことで、口の中が急速に酸性に傾いて歯の脱灰と虫歯が進行する場合があります。
野菜ジュースや果汁100%ジュースの糖質と酸性度は?

次に、野菜ジュースと果汁100%ジュースの糖質の量や酸性度について説明していきます。
野菜ジュース
野菜ジュースは、野菜の青臭さを消すために果物を使っていることが多いです。果物には、果物由来の糖質(ブドウ糖・果糖・ショ糖)が含まれています。野菜ジュースの種類によりますが、平均でスティックシュガー1本~5本分の糖質が入っていて、酸性度はph3.7になります。
果汁100%ジュース
果汁100%ジュースに豊富に含まれる糖質にもショ糖が含まれるので、やはり虫歯誘発能力があります。一般的な精製された砂糖に比べると弱いですが、果汁100%ジュースでも虫歯を引き起こす原因の1つになるのです。果汁100%ジュースの糖質の量は、スティックシュガー約5本分で、酸性度はph3.6になります。
コーラなどの清涼飲料水と比べると?

では、野菜ジュースや果汁100%ジュースの糖質やphは、他の清涼飲料水と比べるとどうなるのでしょうか。
- カルピス スティックシュガー 19本分 ph3.4
- ポカリスエット スティックシュガー 10本分 ph3.5
- 野菜ジュース スティックシュガー5本分 ph3.7
- 果汁100%ジュース スティックシュガー5本分 ph3.6
- コーラ スティックシュガー19本分 ph2.2
参考資料:http://plaza.jinai.jp/technology/img/nomimono1508.pdf
phが低い数値になるほど酸性度が強いので、この中ではコーラが歯を溶かす濃度が最も高いことになります。また糖質の量も多く、虫歯を作り出す条件をより満たしています。
とはいえ野菜ジュースや果汁100%ジュースも糖質は多くはないもののphは高く、口の中を酸性状態にしやすい飲み物なので、気をつける必要があります。
与えすぎに注意しよう!

虫歯の原因になるのは糖質の中でも主にショ糖なので、単純に糖質の量で比較はできません。しかし、野菜ジュースや果汁100%ジュースには、野菜由来・果物由来とはいえショ糖が含まれています。また、ダラダラと飲んだり、頻繁に飲ませたりすると口の中が酸性に傾きやすく、虫歯の進行を早めることになりかねません。
しかし、子どものジュースを完全に禁止するのはなかなか難しいですよね。ジュースは頑張った時のごほうびにしたり、飲んだ後はすぐに歯磨きしたりなど工夫すれば、虫歯になるのをかなり防ぐことができます。与えすぎだけには注意するようにしましょう。