保育園や学校の歯科検診で、歯肉炎を指摘されたお子さんもいると思います。
しかし、歯肉炎は虫歯ではないため、気になりつつ受診を後回しにしてしまうことも。また単純に、歯肉炎のケアの仕方がわからず、そのままになっている……という保護者の方もいると思います。
でも、歯肉炎をそのままにしておくと、将来的に歯周病になるリスクが高くなります。そこで今回は、子どもが歯肉炎になる原因やケアの仕方について解説していきます。
子どもの歯肉炎の対処法について知りたい人は、是非この記事を参考にしてください。
目次
歯肉炎はどんな病気?
子どもの歯肉炎の原因や対策の前に、歯肉炎の症状そのものについて知っておきましょう。歯肉炎の症状を知ることで、健康な歯茎の状態を理解しやすいからです。
歯肉炎とは歯茎に炎症が起きている状態のことで、次のような症状が出ます。
- 歯茎がブヨブヨと赤く腫れる
- 食べ物をかじったり歯磨きしたりすると血が出る
- 歯茎に痒みを感じる
一方で、健康な歯茎の状態は以下の通りです。
- 歯茎が薄いピンク色をしている
- 歯茎がキュッと引き締まっている
- 食べた時や歯磨きの時に出血しない
子どもが歯肉炎になる原因
子どもが歯肉炎になる原因は、主に次の4つが考えられます。
歯磨きや口呼吸などは大人の原因と同じですが、成長期特有の原因もあります。
不十分な歯磨き
歯の表面についている白っぽい汚れを歯垢といいます。歯垢には多くの細菌が存在し、この細菌が歯肉炎を引き起こします。歯磨きは歯垢を取るために行いますが、歯磨きが不十分で歯垢が多く残ると、細菌が増殖して歯茎に炎症が起きやすいです。
歯並びの問題
歯並びが凸凹していると、歯ブラシの毛先が歯の面にしっかりと当たらず、磨き残しが多くなります。特に、乳歯と永久歯が生えている時期(混合歯列期)は歯肉炎になりやすいので、注意が必要です。乳歯と永久歯が生えていると段差や隙間などができて磨きづらく、歯垢が溜まりやすいためです。
口呼吸
唾液には食べかすや歯垢を洗い流したり、細菌の繁殖を抑えたりする働きがあります。しかし、口呼吸をしている子どもは口の中が常に乾燥状態で唾液の働きが弱いため、歯垢が溜まりやすくなるのです。その結果、細菌が活発になり歯肉炎を引き起こします。
ホルモンの影響
ホルモンが影響して歯肉炎になりやすい時期があります。子どもの場合、ホルモンの分泌が盛んになる思春期は、歯茎に炎症が起きやすいため歯肉炎にもなりやすいです。
子どもの歯肉炎の種類
子どもの歯肉炎は、年齢や口内の変化がある時に起きやすいです。ここでは、子どもの歯肉炎の種類について紹介していきます。
不潔性歯肉炎
不潔性歯肉炎は、歯垢が溜まっていると起こる歯肉炎です。子どもの歯肉炎のほとんどが不潔性歯肉炎で、歯磨きが不十分なのが原因です。
萌出性歯肉炎
萌出性(ほうしゅつせい)歯肉炎は、歯が生えてくる途中に起きる歯肉炎です。歯が完全に生え終わるまでは、歯の一部分に歯茎が被っている状態が続きます。ここに食べかすや歯垢などが溜まると、歯肉炎になりやすいです。ただ、この歯肉炎は一時的なもので、歯が完全に生えると炎症は治ります。
思春期性歯肉炎
思春期性歯肉炎は、成長のためのホルモンが増える小学校高学年〜中学生の時期になりやすいです。特に女性ホルモンは、特定の細菌を増殖させるのを促す、歯茎に炎症を起こすといった影響を及ぼします。習い事や試験勉強などで、体に疲れが溜まると炎症が起きやすいので注意しましょう。
歯肉炎をそのままにしているとどうなる?
歯肉炎を治療せずにそのままにしていると、次のような悪影響が出ることがあります。
歯周病になるリスクが高くなる
まず、子どもの歯肉炎をそのままにしていても、すぐ歯周病になって歯が抜けるといったことはないので安心してください。子どもの体は成長中で大人に比べて損傷した組織の修復能力が高く、歯周病にまで発展しにくいと言われているためです。
しかし、歯肉炎の治療をしないでいると、将来的に歯周病になるリスクは高くなります。
特に、大人になる前の13歳〜15歳頃に発症する若年性歯周炎のリスクがあります。若年性歯周炎は通常の歯周病に比べて、顎の骨の溶けるスピードが速いのが特徴です。
若年性歯周炎や歯周病になると、歯を支えている組織や顎の骨が溶けてしまい、最悪の場合には歯が抜けるまで進行することがあります。
口臭がひどくなる
細菌は食べかすや歯茎から出る血液などをエサにして、悪臭がするガスを出します。この嫌なにおいのするガスが、口臭の原因になります。
子どもの歯肉炎の治療方法
子どもの歯肉炎は、次のような治療をすることで改善します。
歯科医院でクリーニングをする
歯垢は時間が経つと硬くなって歯石になります。歯石はザラザラしていて、食べかすや歯垢がさらに溜まりやすくなります。
歯肉炎の子は歯磨き不足で歯垢や歯石があることが多いので、歯肉炎を指摘された場合は歯科医院でクリーニングを受けるのがおすすめです。
歯にこびりついた歯垢や歯石を取って口内をキレイな状態にすると、汚れや歯垢などが溜まりにくいです。
歯科医院で歯磨き指導を受ける
歯肉炎の改善には、歯磨きで歯垢を取り除くのが効果的です。正しい歯磨きの仕方は、歯科医師や歯科衛生士に教えてもらいましょう。一人ひとりに適した歯磨き方法を教えてもらえるため、磨き残しが少なくなって口内を清潔に保つことができます。
子どもの歯肉炎は歯磨きで治る?
子どもの歯肉炎の主な原因は歯垢にいる細菌なので、歯磨きで改善できるケースがほとんどです。歯磨きで歯垢をしっかりと取ることで、歯茎が引き締まった健康な状態になります。
歯肉炎が治るまでの期間は状態によりそれぞれですが、数週間で改善が見られる場合がほとんどです。また、子どもだけで行う歯磨きは、磨き残しが多くなってしまい歯肉炎のリスクが高まります。小学校低学年まではしっかりと歯磨きできているかを確認をし、必要であれば保護者の方が仕上げ磨きを行うと良いでしょう。
毎日の歯磨きは歯肉炎を治すためだけでなく、歯肉炎予防にもなります。歯肉炎が治った後もしっかりと歯磨きをする習慣をつけるのがおすすめです。
子どもの歯肉炎は早めの対処がおすすめ
子どもの歯肉炎をそのままにしておくと、将来的に歯周病のリスクが高くなるため、早めに歯磨きのやり方を見直すのがおすすめです。磨き方がわからない時には、歯科医院で教えてもらうと良いでしょう。
また、歯肉炎の状態や磨き残しがないか、かかりつけの歯科医院で時々診てもらうと安心ですよ。