暖房器具の活躍する冬。夏の冷房と冬の暖房、どちらもコストがかかりますが、エアコンに関しては暖房の方がコストがかかります。
しかし、エアコンなしで乗り切るのが難しい夏に比べると、冬は他の器具も充実しており、選択肢が豊富。省エネの工夫がしやすいシーズンでもあります。
エネルギー資源を守るためにも、家計を守るためにも、暖房器具の使い方を見直してみませんか?
目次
暖房器具の種類

暖房器具の種類はさまざま。エアコンのように部屋全体を暖めるものもあれば、こたつや湯たんぽのように直接的に体を温めるものもあります。まずは種類を知り、自分のライフスタイルに合った製品を選ぶことが省エネに繋がる一歩になることでしょう。
エアコン
まずは「エアコン」。最近のエアコンには人感センサーやAIが搭載され、効率よく部屋を暖めてくれます。
ただ、暖かい空気はどうしても部屋の上の方に溜まってしまい、足元が冷えづらいのは弱点。エアコンにも循環機能は付いていますが、サーキュレーターやこたつとの併用も有効です。
ファンヒーター
石油ファンヒーター
灯油を使う、定番の暖房器具。近くにいるととても暖かいこと、暖まるまでの時間が短いことがメリットです。逆に、定期的に灯油を購入し、補給しなくてはいけない点はどうしても面倒です。着火時や給油時のニオイが苦手な人もいるでしょう。
また、灯油の価格は社会情勢の影響を受けやすく、2021年はかなり高めです。
ガスファンヒーター
灯油ではなくガスを燃料とするファンヒーター。こちらも暖房力が強いのが特徴で、石油ファンヒーターと比べると給油の手間がいらないというメリットがあります。
ただ、暖房器具を置きたい場所にガス管がないと使えませんので、新築時や賃貸の入居時に判断することになります。灯油に比べるとガスは光熱費がかかるので、ガス代は気にしておきましょう。
セラミックファンヒーター
セラミックに電気を通して、その熱をファンによって送り出す「セラミックファンヒーター」。他のファンヒーターのように送風口が熱くなることがないので、小さなお子さんがいる家庭でも安心して使えます。
消費電力が大きく電気代が高くなりやすいので、必要なときだけつけるなど使い方を工夫する必要があります。
ストーブ
石油ストーブ
石油ファンヒーター同様に灯油が燃料ですが、こちらは電源不要なので停電時でも使えるのが大きなメリットです。灯油臭さや灯油の補給については、ファンヒーターと同様の不便さがあります。
圧倒的な火力で暖かさは抜群。暖を取るだけでなく、天板の部分にやかんや鍋を置いて湯沸かしや保温調理、加湿を兼ねられる機種もあります。
ガスストーブ
ガスの燃焼によって熱を発生させて暖める「ガスストーブ」。大きく分けて2種類あり、「ガス式」と「ガスボンベ式」があります。ボンベ式はカセットボンベが燃料のため、ストーブの置き場所を選びません。
灯油に比べ、ガス代・ボンベ代のコストがかかります。
電気ストーブ
電気を使って熱線を温めて遠赤外線で暖を取るのが「電気ストーブ」です。すぐに熱線が暖まるなるので、即暖性に優れています。
広範囲を暖めるのは難しいですが、スポット的にすぐに暖めたい時に便利です。
床暖房
床暖房は、床を熱伝導によって暖め、部屋全体を暖かくする方法。「温水式ヒートポンプ式」「石油ボイラー式温水式」「電気式」と種類があり、ライフスタイルにあったタイプを選べます。
しかし床暖房は初期費用、維持費がかかりますので、寒冷地やオール電化でない家庭には現実的な選択肢ではありません。
オイルヒーター
日本では馴染みの薄い暖房器具ですが、海外では定番。オイルを電気で温め、放出される熱で部屋を暖める仕組みです。
暖まるまでに時間がかかるのが難点ですが、温風が出ないので小さなお子さんや高齢な方でも安心して使えること、乾燥を感じづらく、快適に過ごせるのがメリットです。
こたつ
日本の冬の風物詩ともいえる、「こたつ」。1~2人用やテーブル型など、現代の生活様式に合わせてバリエーションも増え、人気が再燃しています。
電気こたつは暖まるまでに少し時間がかかる印象ですが、ハロゲンヒーターのタイプはすぐに暖かくなります。消費電力が少ないのも魅力です。
光熱費の安い暖房器具ランキング

光熱費については少し言及しましたが、整理して見たいところですよね。
ここからは今までにご紹介した暖房器具が1時間あたりどれくらい光熱費がかかるのかをランキング形式でご紹介していきます。
とはいえ、エアコンや石油ファンヒーターは強か弱かでかなり違い、明確な順位付けは難しいのですが、参考にしてください。
暖房器具 | 1時間あたりの 光熱費 | 数値の根拠 |
こたつ | 約2.2~4.6円 | ユアサプライムス(110WT) 商品仕様に料金記載 |
ホットカーペット | 約6.2~9.0円 | Panasonic(DC-2NKC10-T) 商品仕様に料金記載 |
石油ストーブ | 約22円 | コロナ(RX2218Y) 取扱説明書-0.218L/h |
エアコン | 約2.8~53.4円 | Panasonic(CS-X281D) 商品仕様に料金記載 |
石油ファンヒーター | 約6~35円 別途電気代 約0.2~0.4円 | コロナ(FH-WZ3621BY) 取扱説明書 0.057~0.350L/h |
電気ストーブ | 約12.1〜24.3円 | 山善(DC-SW091) 強:900w 弱:450w |
オイルヒーター | 約12.6~15.4円 | デロンギ 電気代説明ページに料金記載 |
セラミックファンヒーター | 約18.1~33.8円 | Panasonic(DS-FKX1205) 商品仕様に料金記載 |
ガスファンヒーター | 約42.48円 別途電気代 約0.5円 | リンナイ(RC-Y4002E) 暖房能力 4.07 kW |
ガスストーブ | 約58円 | リンナイ(R-852PMSIII) 暖房能力 4.07 kW |
部屋の広さや設定温度によっても光熱費は変わりますが、一般的には安い順に「こたつ」「ホットカーペット」「石油ストーブ」。
なお、床暖房は初期費用や維持費がかかって単純な比較は難しいため、ここには入れていません。
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光熱費やシーンを踏まえて、暖房器具を選ぼう

光熱費のランキングは「こたつ」「ホットカーペット」「石油ストーブ」となりましたが、目的も違えば、タイプも違う種類の暖房器具。
ここからおすすめの使い方を具体的にご提案していきます。
エアコン+他の暖房器具で効率的に!
真冬の帰宅時など、冷え切った部屋を暖めるなら石油ストーブや石油ファンヒーターがおすすめ。室温が上がってきたらエアコンに切り替え、部屋全体を暖めましょう。
エアコンは設定温度に達するまでの消費電力が大きいので、部屋が暖まってから使うほうが電気代は少なくて済みます。光熱費が安くすぐに暖まる石油ストーブやファンヒーターで暖を取り、その後エアコン、というのは、効率的な使い方です。
エアコンしかない場合は、ホットカーペットやこたつを購入するのも手。直接体を温められるので室内が暖まるまで待つのがつらさが軽減されます。また、ホットカーペットやこたつで足元を温まればエアコンを弱められるので、省エネになります。
エアコンの設定温度を1度下げると、年間で1,500円ほどの節約につながります。
寒冷地の場合
寒冷地の場合は、床暖房がおすすめ。北海道や東北地方では多くの家が取り入れています。床暖房はランニングコストがかかるので、石油ストーブとの組み合わせが一般的。少し暖かい日なら石油ストーブだけにしたりと、こまめに使い分けることもできます。
子どもが小さい場合
子どもが小さい場合は、やはり安全性が重要。石油ファンヒーターやガスファンヒーターなど送風口が熱くなるもの、石油ストーブやガスストーブなど熱源に手が触れやすいものはやはりリスクがあります。ガードを置くなど対処しましょう。
セラミックヒーターやオイルヒーターなどは比較的安全ですが、こたつやホットカーペット同様に低温やけどには気を付けてください。
光熱費の節約なら、電力会社の乗り換えも!

暖房器具を組み合わせるコツは、それぞれの暖房器具の欠点を見つけて「どうしたら補えるか?」を考えること。全体を暖めるものと局所的に温めるものを併用したり、即効性のあるものと持続性のあるものを併用したり、ということです。
ただ、電化製品の省エネ性能が向上した今、工夫だけでは目覚ましい節約効果を得るのは難しいかもしれません。光熱費を抑えたいのであれば、電力会社やガス会社の乗り換えも検討してみてください。
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