会社員と個人事業主の社会保険の違いは? #FPの家計塾

会社員と個人事業主の社会保険の違いは? #FPの家計塾

近年、「自分の得意を生かして起業したい」「フリーランスとして働きたい」と考える人が増えています。

  • 起業しやすい環境が整い、起業する人が増えた
  • IT環境が整備され、働く場所を選べるようになった
  • 1円でも会社設立できるよう法改正された
  • 終身雇用制度の崩壊や経営不振の企業増加

といった、環境や法律の変化が影響していると思われます。
しかし、特に社会保険と税金関係(確定申告)は、支払額、事務処理の両面で優遇されていたことを実感するはずです。

というわけで今回は、個人事業主と会社員の違いを社会保険に絞って説明します。会社を辞める決断をする前に、しっかり知識を蓄えておいてください。

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社会保険とは?

社会保障制度のイメージ
(画像出典)写真AC

「保険」と聞くと、生命保険や自動車保険といった民間のサービスと、会社員が利用する健康保険を思い浮かべる人が多いかもしれません。

しかし「社会保険」という場合、以下の5種類を指します。年金保険という呼称はなじみがないかもしれませんが、「年金」も社会保険の一種なんですよ。

  • 健康保険
  • 年金保険
  • 介護保険
  • 雇用保険
  • 労災保険

この記事では健康保険と年金保険をピックアップして解説しますが、その他も簡単に触れておきましょう。

介護保険

介護保険は、会社員か個人事業主かどうかにかかわらず、40歳以上は加入必須。
会社員は保険料を会社と折半するので、個人事業主になると支払額が増えます。受け取る際の金額に差はありません。

雇用保険

雇用保険は雇用されている人のための保険なので、個人事業主になると加入できません。その代わり、個人事業主になると小規模企業共済に加入できます。節税やもしもに備えて検討してみてください。

労災保険

労災保険も雇用されている人のための保険なので、原則加入不可です。但し、建設業など一部の業種では労災保険への特別加入が認められています。

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健康保険

診察券
(画像出典)PIXTA

会社員であれば、健康保険料の半分は勤務先の企業が負担します。これに対して、個人事業主が加入する国民健康保険は、納付額全額を個人が負担します。

納付額は前年の所得額と住んでいる自治体によって決まるので、退職の翌年は前年の会社員の収入(所得)をベースに健康保険料が算出されることになります。独立したばかりでまだまだ収入が低い、という状態でも高額の請求が来る可能性があります。
突然の請求通知に驚かないよう、次年の保険料はあらかじめ試算しておきましょう。

会社都合や倒産による退職なら減免

自己都合による退職では、翌年の健康保険料は全額自己負担です。しかし退職の事由が解雇や倒産ならば、健康保険料は減免される措置があります。
まずは自治体に確認しましょう。

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年金保険

公的年金の仕組み
(画像出典)PIXTA

公的年金の仕組みは、図のように「2階建て」です。
会社員は定額の国民年金と所得に応じた厚生年金を支払っていますが、厚生年金部分の半分は会社負担。また、配偶者が専業主婦(夫)である場合、保険料の負担はありません(※)。
※第三号被保険者の保険料は、第二号被保険者全体で負担する仕組み。

そんな会社員が個人事業主になると、国民年金のみの第一号となり、自分で国民年金を納付することになります(2021年度は月額16,610円)。また、第三号であった配偶者も第一号となり、国民年金を支払います。
では、会社員が個人事業主になる場合に注意する点をみていきましょう。

第三号の配偶者は、第一号になる

会社を辞めると、国民年金の支払いを免除されていた第三号の配偶者は第一号になります。つまり、2021年度なら月額16,610円支出が増えるということです。

年金の受け取りに差が出る

(画像出典)厚生労働省

そして大きな違いが、年金受給額です。厚生年金加入者と国民年金加入者では大きく変わります。令和3年4月の月額受給額を比較すると、国民年金(1人)は65,075円で、夫婦2人なら約13万円(65,075×2)です。厚生年金では収入によって支給額は変わりますが、夫婦2人分標準的な年金額で220,496円です。

もちろん会社に所属していた期間の厚生年金は受け取れますが、国民年金の方は年金額を踏まえて老後を見据え、iDeCoや国民年金基金等を検討するとよいでしょう。

参照:日本年金機構 令和3年4月分からの年金額等について
https://www.nenkin.go.jp/oshirase/taisetu/2021/202104/202104nenkingaku.html

年払いやカード払いで少しでもお得に

国民年金は年払いや2年払いもでき、月払いよりも割引が大きくなります。また、金額が大きめなのでクレジットカード払いにしておくとポイントも貯まりやすいです。

お金の知識で身を守ろう

私たちの生活を支えてくれる社会保険制度。会社員と個人事業主では加入形態が異なり、納付額にも受給額にも大きな違いがあります。
しかし、「社会保険のために会社員でいる方がよい、個人事業主にはならない方がよい」、ということではありません。
働き方を変えることでどんな影響があるのか知り、想定外の事態にならないよう自分の身を守ることが大切です。

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