
八ヶ岳や甲斐駒ヶ岳などの山々に囲まれた山梨県北杜市。全国トップクラスの日照時間を誇り、名水の里としても知られるこの土地で、2014年から農業に取り組んでいる企業があります。
『株式会社リコペル』は、代表取締役社長の米田茂之さんがたったひとりで立ち上げた農業法人。金融やIT業界などで経験を積んだのち、” ものづくりで社会に貢献したい”と30代半ばで農業参入をしました。
主力商品は、「おもいろトマト」や「あけいろベリー」。創業6年目と若い企業ながらも、そのおいしさは評判を呼んでおり、県内外のスーパーほか、飲食店やパティスリーへも多く卸されています。2019年には「若手農業者経営コンクール」で関東エリア優勝を飾り、新聞やテレビにも多数出演歴をもつ、今注目の農業ベンチャーです。
今回は米田社長に、リコペルの商品や起業への想いをお聞きしました。後半では、「おもいろトマト」や「あけいろベリー」を使ったレシピも紹介します。
目次
「自分で作ったものでお客様に喜んでもらいたい」とひとりで始めたトマトづくり
九州大学大学院農学研究員出身の米田さん。卒業後は証券会社やIT企業で働いていましたが、「目に見えない商品やサービスではなく、これからは自分で作ったものをお客さんに提供し喜んでもらいたい」と一念発起。農学部に通うほど植物好きであったこと、農業に携わる人が年々少なくなっていることから、リコペルを立ち上げました。

選んだ場所は山梨県北杜市。南アルプスの高い山々が雨雲を阻んでくれるため、日照時間が全国トップレベルを誇る環境です。さらに、その山々で磨き上げられる名水で栽培できること、東京から近く、流通がスムーズであることも決め手のひとつになりました。

育てる作物はトマトを中心にしよう、と早い段階から決めていたそう。トマトは野菜の中で多く消費されていること、また作り手の工夫次第でいくらでもおいしく育てられることから「やりがいがあるのでは」と考えたためです。
栽培から収穫まで一連の作業をまずは自分で体験したいと、米田さんはたったひとりでトマト栽培を始めました。しかしなかなかうまく行かず、1年目は葉カビ病にかかり収穫量が激減してしまう苦い経験もしました。
その後、地元の農家さんにアドバイスをもらったり、勉強会に参加したりして、農業の知識と経験を毎年重ねていった米田さん。今では30人ほどのスタッフを抱えるまでになっており、データに基づいた科学的栽培も取り入れ、安定した品質と収穫量を誇ります。
昼夜の寒暖差は20℃以上にも。厳しい環境がおいしさを生む

富士山や八ヶ岳などの絶景が臨める高台にあるリコペルの農場。トマトは7,000平米、いちごは2,000平米という広大な場所で、湿度などを細かくチェックしながら大切に育てられています。

標高が高い北杜市は昼夜の寒暖差が大きく、特にハウスの中だと季節によっては20℃ほどの差になるとか。「昼は半袖、夜はブルゾンを着込んで作業しています。体調を崩さないよう気を付けることも私たちの大切な仕事です」と話す米田さん。
そのような厳しい土地で育つ植物はストレスを感じ、より強く生きようと果実が甘くなったり、味が良くなったりするそう。気象も有効に活用しながらおいしい農作物を作れることがリコペルの強みです。

そうして育てられたリコペルのトマトは、高糖度なだけでなく、酸味もしっかりと感じられるバランスの良い味わいに。「おもいろトマト」という名前は、日本の伝統色である「思色(おもいいろ)」に近かったこと、おいしいトマトを作りたいとの「想い」をあらわすために、米田さんが命名しました。

近年では、7月~1月まで長く収獲できる「四季なりイチゴ」の栽培をスタート。日本の伝統色「緋色(あけいろ・ひいろ)」、いちご栽培の幕「あけ」から名付けた『あけいろベリー』は、甘味、酸味だけでなく味の濃さや香りから、スイーツとの相性もぴったりで、都内のパティスリーへも多く卸しています。
今後は海外進出や観光農園化も視野に

リコペルの企業理念は「おいしい食べものを生産し、世界中の人々の幸せに貢献すること」。今後は海外への農場展開をも視野に入れています。
また、おもいろトマトを使ったケチャップ製造や、一般のお客さんが「トマト狩り」や「いちご狩り」ができるようにと観光農園を整備することも考えているそう。
「色々な方に、野菜をもっと身近に感じてもらいたい」と話す米田さん。愛情込めて育てられるリコペルの農作物は、これからますます注目を集めるのではないでしょうか。
リコペルのトマト&いちごを使ったアレンジレシピ

リコペルの商品は公式オンラインショップのほか、Amazon、Yahoo! ショッピング、ポケットマルシェでも購入が可能です。中でもAmazonはプライム対応。注文が入ったその日に収穫し、首都圏なら翌日に届く新鮮さが魅力です。
リコペルが手間ひまをかけて育てている「おもいろトマト」。そして、今一番力を入れているいちご「あけいろベリー」。米田さんにお聞きしたところ、「おもいろトマト」は甘味と酸味のバランスが良く、特有の青臭さがないので、加熱せず生で食べるのがおすすめなのだそう。
そこでここからは、リコペルの「おもいろトマト」や「あけいろベリー」のおいしさを色々な角度から楽しめるフレッシュなレシピをご提案していきます。

ちなみにリコペルさんのトマトはこれくらいのサイズ感。
左から大玉・中玉・ミニトマトとしますので、材料表記の参考にしてください。
※2020年9月現在、ミニトマトのみの販売です。
おもいろトマトと押し麦のサラダ

トマトには栄養だけでなく旨み成分も含まれています。このおいしさを余すことなく押麦が吸い込んでくれるので、食べ応えたっぷりです。
材料(2~3人分)
- おもいろトマト(ミニトマト) 10~12個
- きゅうり 1/2本
- 紫玉ねぎ(なければ玉ねぎ) 1/4個
- 押し麦 スティックタイプ 1袋(45g)
- サニーレタス(あれば) 2~3枚
<A>
- オリーブオイル 大さじ1
- バルサミコ酢 小さじ1.5
- しょうゆ 小さじ1
- レモン汁 小さじ1/2
- 砂糖 小さじ1/4
- 塩 小さじ1/4
- こしょう 少々
作り方
1ミニトマトは半分にカット、きゅうりは3cm程度の角切りに、紫玉ねぎはみじん切りにする。
2<A>をよく混ぜ、トロっとしたら1と和える。冷蔵庫で冷やしておく。
3小鍋にお湯を沸かし、押し麦を10分ほどゆでる。ザルにあげ、水で洗い水切りしておく。
42と3を合わせ、サニーレタスをしいた器に盛り付ける。
おすすめアレンジ
生ハムや、イカ・タコなどの魚介類を和えても合います。
おもいろトマトのかき氷

凍らせたトマトをすりおろしただけのお手軽レシピ。暑い日や食欲のない日もさっぱり食べられます。お好みでひとつまみの塩を振っても。
材料(1~2人分)
- おもいろトマト 大玉1個(またはミニトマト8~10個)
- 塩 ひとつまみ(お好みで)
- ベビーリーフ(飾り) 1~2枚
作り方
1トマトを一晩冷凍庫で凍らせる。
2おろし金ですりおろし、器に盛り付ける。
コツ
すりおろす間、トマトをおさえる手が冷えてきます。タオルで押さえたり、手を温めながら行いましょう。
おもいろトマト飴

近年大人気のフルーツ飴。おもいろトマトで作ってみたところ、意外な好相性!パリッとした飴からはじける甘味と酸味が楽しめます。
材料(5個分)
- おもいろトマト(ミニトマト) 5個程度
- 上白糖 40g
- 水 20ml
作り方
1ミニトマトはよく洗い、水気をしっかり拭き取って常温で置いておきます。しっかり乾いたらつまようじを2本、貫通させないようゆっくり刺しておきます。
※1本でも良いですが2本の方が、飴をつける時や置く時に安定します。
2トマト飴を置くためのクッキングシートを皿の上に広げておきます。
3耐熱容器に上白糖と水を入れ、混ぜ合わせたら、電子レンジ500wで3分半加熱します。砂糖水が入った耐熱容器は、一回り大きめの平皿にのせると加熱後に取り出しやすくなります。飴の目安は薄い茶色に色づく程度。まだ透明なら20秒ずつプラスしてください。この時、かき混ぜるとシャリシャリとした砂糖に結晶化してしまうので、混ぜずに加熱します。
4ヤケドしないよう注意して取り出し、1のトマトに3の飴をつけます。
何度も付けると飴が固くなるので注意しましょう。飴をつけたら2のクッキングシートにそっと置きます。
5常温で10分程度置くと乾きます。時間が経つとトマトから水分が漏れ出てくるので、早めに食べましょう。
コツ
- 飴が余ったら、クッキングシートに小さく広げておきましょう。乾くとおいしいべっこう飴ができます。
- 耐熱容器についた飴は洗剤ではなかなか落とせません。水をたっぷり入れて、沸騰する程度まで電子レンジで加熱したのち、常温まで放置しておくと、飴が溶けて洗いやすくなります。
おもいろトマトのジュースはお酒と割っても◎

原料はトマトのみ、水・食塩・糖類等は一切不使用。おもいろトマトの旨みをギュッと凝縮した、リコペルの無添加トマトジュース。トロっと濃厚で、トマトの味わいがストレートに楽しめます。
そのまま飲んでももちろんおいしいのですが、暑い日にぴったりなのが、お酒と割る方法。
私のおすすめはスパークリングワインとの組み合わせです。「おもいろトマトのジュース」とワインを1対1で割るだけ。お好みでレモンスライスを浮かべると、スッキリとしたおいしさを楽しめます。
その他、ビールと合わせて「レッドアイ」や、ウォッカを加えて「ブラッディメアリー」など、色々なトマトカクテルが作れます。
米田社長おすすめ!ひんやりおいしい「削りいちご」
夏から冬にかけ収穫する、リコペルのいちご「あけいろベリー」。

生食用では柔らかすぎて出荷が難しい過熟いちごなどは冷凍販売をしています。
ジャムやスムージーなどに利用ができますが、米田さんおすすめの食べ方は「削りいちご」!

かき氷機や、刃のしっかりしたフードプロセッサーなどでいちごをそのまま削るだけ。削りたてはサクサク&ふわふわの食感、溶けてくるとトロッとした食感に変わっていき、いつものかき氷とは違ったリッチな味わいが楽しめます。練乳をかけて食べてみてくださいね。

串つきの冷凍いちごは、溶かしたチョコレートをつけてフォンデュのように食べてみました。温かなチョコレートがあっという間にパリパリになるのが面白いですよ!
想いのこもったトマトやいちご。おいしさを体感してみてください!

届いた箱を開けた時、ピンと上を向いたトマトのヘタに、新鮮さを実感したリコペルの商品。
収獲したて、鮮度抜群の味わいを自宅で楽しめます。ECサイトではトマトほか、ベリーやレモンなどの取り扱いもあります。みなさんもぜひ、そのおいしさを体感してみてくださいね。
リコペルの基本情報
農業生産法人 株式会社リコペル
長坂農場(本社):山梨県北杜市長坂町塚川2658
白州農場:山梨県北杜市白州町鳥原57-2
公式サイト:https://lycoper.co.jp/