寒くなってくると飲みたくなるホットドリンクに、グリューワインがあります。
ワインにスパイスや柑橘類などを入れて煮るホットなワインで、ヨーロッパの冬には欠かせない飲み物!
ヨーロッパのクリスマスマーケットでは必ず出される飲み物で、クリスマスの頃には路面店のスタンドバーでも販売されます。

ドイツでは、グリューワインと呼ばれていますが、国によってさまざまな呼び方があります。
- ドイツ: グリューワイン(glüh wein=赤く燃えて熱を帯びるワイン)
- イギリス: モルドワイン(mulleded wine=mulledは、砂糖や香料を入れて温めるという意味)
- フランス: ヴァンショー(vin chaud=温かいワイン)
ちなみに「ホットワイン」は和製英語。海外では通じないこともあるそうですよ。
目次
グリューワインの起源

中世のヨーロッパ、ドイツでは修道院で薬草が栽培されていました。当時は庶民の「かけこみ寺」として修道院が医療施設の役割を果たしており、そこで薬草が薬として使われていたからです。
(修道院はヨーロッパでの病院の始まりと言われています)
修道院の庭で独自に育てられた薬草は、さまざまな方法で薬として役立てられました。その方法のひとつが、アルコールに薬草を漬け込んで成分を抽出する方法です。ワインに薬草や果実を漬け込んでアルコールと熱の作用で植物の成分を抽出したことが、グリューワインの起源として知られています。
現代のリカーショップでも、数十種類のハーブやスパイスなどの薬草が使われているリキュールをたくさん見つけられます。
ぜひ一度、リキュールのラベルをチェックしてみてください。
デザインも素敵ですし、どんなスパイスやハーブが使われているのかも書いてあります。薬草酒から、歴史を紐解いていくのも楽しいですね。中世の修道女たちの恩恵を垣間見ることができるでしょう。
グリューワインのレシピ
さあ、そんな歴史に想いを馳せてグリューワインを味わってみてください。
作り方はとってもシンプル!心も体も芯からあたたまりますよ。
材料(2人分)

- 赤ワイン 375ml(フルボトル1/2本またはハーフボトル1本)
- 温州みかん 2個(オレンジでもOK)
- レモンスライス 2枚
- はちみつ 大さじ1
- ステビアパウダー 耳かき1さじ (なくてもOK)
<スパイス類>
- シナモン スティック1本(短ければ2本)
- クローブ 6粒
- スターアニス 2粒(なくてもOK)
★スパイスはパウダーを使ってもOKです。パウダーの場合はお好みの量で入れてください。
比率の目安としては、シナモン:クローブ:スターアニス=2:1:1
★本場ではオレンジですが、今回はお手頃価格で購入できる温州みかんを使いました。
★今回はステビアパウダーを微量使いましたが、これもハーブから作られています。葉に強い甘さのあるハーブです。耳かきひとさじで充分甘いです。
★アルコールが苦手な方は100%のぶどうジュースで作ることもできます。
★はちみつは砂糖でも代用できます。きび砂糖や甜菜糖もいいですね。
作り方
1 鍋にすべての材料を入れて沸騰しないように煮る。グラっと来たら火を止めてそのまま5分ほど置いておき、スパイスの香りを抽出させる。

2 ぬるくなっていたら、再度温めて、耐熱グラスに注いでいただく。

★お好みに合わせて、甘さやスパイスの量や種類は調整してください。カルダモンやブラックペッパーも、ワインとの相性がいいですよ。
今回使ったスパイスとハーブ

改めて、今回使ったスパイスとハーブをご紹介しておきましょう。
シナモン
科名:クスノキ科 使用部位:樹皮 別名:桂皮
体を深部から温めて、すぐれた保温効果により下半身の冷えにも良い。独特の香りは胃腸を活性化して消化機能を高めてくれる。また抗菌作用が高く、風邪予防や吐き気を止める効果もある。
クローブ
科名:フトモモ科 使用部位:蕾 別名:丁字
体を温める作用があり、冷えからくる諸症状を改善してくれる。強力な抗菌作用と鎮痛、解毒作用もある。胃腸薬、口腔清涼剤としても使われている。歯医者さんの香りとしても知られている。
スターアニス
科名 シキミ科 使用部位 実 別名:八角
星型でビジュアル的にも使えるスターアニス。体を温めて新陳代謝を活発にする。胃腸の働きを活性化する、中華料理によく使われるスパイス。咳止めにもよい。名前は香りがアニスシードに似ていることからつけられている。
みかん
科名:ミカン科 使用部位:果皮
ビタミンCが豊富で免疫力をアップしてくれるので風邪の予防に役立てられる。果皮に含まれている香り成分には体を温める作用がある。皮を乾燥させたものは陳皮(ちんぴ)というスパイスとして七味などにも使われていて、薬膳にも多用される。
ぜひ手作りで作ってみてください

市販のグリューワインもありますが、本当に簡単なので、自分の好みにあわせて手作りするのがおススメです。ホームパーティーでも間違いなく人気者になります。基本は赤ワインで作りますが、白ワインでもOK。白ワインならコリアンダーシードや、フェンネルシードなんかも相性がいいですよ。
そして、グリューワインが出来上がった後の果物は、捨てないでワインと一緒に食べてみてください。とっても美味しいです。先日のローズマリーチキンでもご紹介した、ドライクランベリーを入れたりもしますが、ワインが染み込んで本当に癖になるくらい美味しいです。甘さと酸味があるので、お砂糖や蜂蜜を控えて、ドライフルーツの甘みを生かしてもいいですね。
今回のレシピをもとに、お好みのフルーツやスパイスをプラスして、アレンジも楽しんでみてください。
はじめまして。ハーブとスパイスのレシピを担当させていただくことになりました、岩本りかです。(ニックネームは、りかりんご) ハーブとスパイスの料理研究家として、料理レシピの開発や、普段は、ハーブやスパイスを使った講座や教室などを開催し[…]