今回は一番聞かれるテーマ、油の保存についてずばりお答えします。
目次
油を長く美味しく楽しむために
残念ながら油は、何年寝かせてもお酒のように熟成いたしません。もったいないからと取っておいて忘れたらだめですよ。記載の賞味期限は未開封での期限です。
生鮮食品の消費期限ではないので、少し過ぎたからと言って急激に酸化したり食べられなくなる訳ではありませんがご注意くださいね。
未開封で期限切れになった油の使い道もたまに聞かれますが、クルミオイルやえごま油などは家具のお手入れや艶出しにもいいですし、油汚れは油で落とす原理で換気扇などのお掃除にも。またクレンジングやヘアパック、ハンドクリーム代わりにできるものもあります。
※食用油をお肌に使う場合は自己責任になります。パッチテストをしてからお試しください。
保存容器について
油の容器の賞味期限の長い順番は、缶・紙パック・遮光瓶が2年、透明瓶が1年半、プラスチックが1年となっていますが、メーカー独自の試験データに基づき設定される場合もあります。
油の賞味期限は、保存容器によって違うということです。あ、意外ですかね?同じ時期に作った油も、缶なら2年、瓶なら1年半といった賞味期限になるんです。
また前回の記事でも書きましたが、特有の抗酸化成分を持つごま油は他の植物油より賞味期限を半年長く設定できます。ちなみに未開封できちんと保管し、10年経ったごま油を研究所で分析したら、ほぼ酸化が見られなかったという話もありますが、逆に通常保管でも酸化しやすい油もありますのでご注意を。
油の敵3つ―酸素、光、熱
はい、油の保存の原則です。「酸素」と「光」、「熱」を避けること。
どんな油も、
- 開封後空気が入ること
- 光に晒されること
- 温まること(または加熱)
により酸化します。
こんな保管方法はNG
やりがちなNG保管1位は、ガスコンロ周りに置くこと。それからオリーブオイルなど仕上げにかけたりパンにつけたりするオイルをテーブルに出したままにしておくこと。
油は未開封でも開封後でも、涼しくて暗い棚の中へ保管してください。ただし、何でも冷蔵する必要はありません。開封後冷蔵すべきはオメガ3の油です。
前回は油を構成する脂肪酸の分類についてお話ししました。今日はその中のオメガ3についてみてみましょう。 えごま油入りマスタード味噌ダレのレシピはこちら オメガ3オイルはなぜ大事? さて少し復習ですが、身体の生理機能を保つた[…]
おすすめの保管方法と買い方
大きな缶で買った油は半分くらい空気が入るようになったら瓶などに移し替えてもいいですが、とにかく開封したら1~2か月、最低でも3ヶ月以内には使いましょう。
オリーブオイルなど繊細なものは、開封後時間が経つほど香りがどんどん飛んでしまいます。そういう意味でまとめると、2ヶ月程度で使い切れる量の油を買う、残っている油があれば優先して炒め物や揚げ物などに使う意識を持ってください。
また特に光酸化しやすいクロロフィルなどが含まれるオリーブオイルは遮光瓶や箱入りで売られることが多いと思いますが、店内でも光がなるべく当たっていないものを選んだり、箱から出したらアルミホイルを巻いたりしてもいいでしょう。開封した日を書いておくのもおすすめ。
油の保管場所と開封後の期間をこの機会に確認してみてくださいね。
揚げ油の注意点
揚げ油も何回使えますかとよく聞かれますが、これも揚げる内容や程度、油の種類によります。
衣のついた肉や魚を揚げるより野菜の素揚げの方が油は汚れません。
保管するなら、
- なるべく熱いうちに揚げカスをきれいに取り除くこと
- なるべく空気を入れずに保管すること
活性炭フィルターつきのオイルポットなどを使ってもよいでしょう。
ただし揚げた時点で熱と酸素による酸化は始まっていることをお忘れなく。揚げ物を量は食べ過ぎていないのに胃もたれやムカムカするという経験があると思いますが、加熱酸化した油が原因のことが多いです。
油の酸化度合いの観点からすると、揚げ物がやはり一番となってしまいます。私は少量ずつ小鍋で揚げるかフライパンに数cmの油で揚げ焼きにするようにしています。
おすすめの揚げ油については、また別の回でお話ししますね。
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