二人暮らしなのに、毎年山のように作ってしまう“おせち”、本年も1月半ばにてようやく食べきりました。
今年はお客様がいらっしゃることもなく、おすそ分けするタイミングもなく、毎食夫婦で向かい合い、まずはお重に詰めたものを、そこに飽きれば「今日からはお皿で」なんて、徐々に日常の食事の中にある“おせち”みたいなおかず、もしくはアレンジをして無事に胃の中へと納めました。
昨秋の畑で「そろそろおせち用に植えようか」と準備しておいた大根や金時人参は、栗原はるみさんレシピの“なます”でふんだんに使ったり、飾り切りにアレンジしたり。山形で毎年漬けているお味噌を使って、“焼きブリの味噌漬け”にしたり。
数年前に大好きすぎてマイスターの資格を取ったお豆腐は、鶏のひき肉と合わせて“松風焼き”に仕上げ、末広がりを意味し、縁起物と呼ばれている八つ頭(ヤツガシラ、里芋の一種)は塩とお砂糖で淡い味に。畑師匠ファミリーの皆さんが育てた聖護院大根は、千枚漬けとして、箸休めに。
我が家のお雑煮は、夫の故郷である鹿児島風。鹿児島の中でも地域によって様々なレシピがある中、夫の記憶の味は”焼きエビだし”だそうで、年末になると鹿児島のお出汁屋『丁子屋』さんが毎年わざわざ送ってくださり(ありがたくもクリスマスに届くナイスな演出に感動!)、大晦日から干し椎茸とともに水で戻し、薄口醤油(もちろん『丁子屋』さんのもの)とお塩(以前紹介した『坊津の塩』)とお酒で味付け、そこに青菜、豆もやし、かまぼこなどの具材も載せて出来上がり!
出来る限りの素材を鹿児島産にしているものの、一つ悔やまれるのが、リアルな鹿児島雑煮の味を知る前に、義母は他界してしまい、この味が正解か不正解かが分からないこと。
結婚当初に比べれば、立体的な味になってきたような気はしているものの…どうなんだろう?と毎年。「鹿児島のお料理教室、お雑煮編!」なんてクラスがあればなあ…。
そして今年のおせち、お雑煮に合わせて頂いたのは、エチケットのデザインも素敵なナチュールの日本酒「せんきん」!
こちらの日本酒は「木桶仕込み」「天然酵母」「オーガニック」「ドメーヌ」「テロワール」といった仕込み方で、まさにナチュールワインと近い(というか同じですよね)製法!…となれば嫌いなわけがなく、爽やかな酸味と柔らかな発泡感が楽しく、おせち作りを終えた達成感と新年を迎えられた喜びに包まれるかのよう、幸せなお屠蘇として喉を潤わせてくれました。
ちなみに、一昨年からおせちアレンジで一番のお気に入りは、八つ頭のコロッケ!
お重に詰めてもなかなか減らない悲しさから、八つ頭をマッシュしてパン粉を付けて揚げてみると、芋の食感がより一層とろとろに感じられて、何個でも食べられそうになる不思議。
(数日後、また八つ頭コロッケが食べたくなり、わざわざ作ってしまうほど!)
こうして「美味しいねえ」「また食べたいねえ」「あと一口、飲もうかねえ…」を繰り返した結果、“お正月太り”という言葉が刺さるというのも、これまた毎年のこと。
2月になったら…旧正月が過ぎたら動き始めるとして、それまではまだこの寒さに耐えるためにも、必要な脂肪の維持を!しないほうがいいってこと…分かってるのになあ…。
2021年もまた、この「おいしい畑」にお付き合いの程、よろしくお願いいたします!