こんにちは、フリーライターの山田志桜里です。イギリス在住中に、現地の紅茶文化に興味を持ったことがきっかけで、紅茶教室のティーインストラクター科を修了しており、よく紅茶やアフタヌーンティーにまつわる記事を担当させていただいてます。
“アフタヌーンティーを楽しむ活動”を略した「ヌン活」という言葉が登場するほど、私たちの身近になってきたアフタヌーンティー。ホテルやカフェで実際にアフタヌーンティーを嗜まれたことがある方も多いと思いますが、「どこから食べたらいいのだろう?」と迷ってしまった経験はありませんか?
今回は、知っておきたいアフタヌーンティーの作法として「食べる順番」についてお話ししたいと思います。ヌン活をされている方、アフタヌーンティーの予定がある方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
目次
基本的なアフタヌーンティー

基本的なアフタヌーンティーは、
- サンドウィッチ
- スコーン
- ペストリー(デザート)
を盛り付けた3皿が、3段のティースタンド(スリーティアーズ)で提供されます。
一番下にサンドウィッチ、真ん中にスコーン、上段にデザートのお皿が乗せられているのが一般的です。

スコーンは焼きたての方が、添えられたクリームやジャムが塗りやすく、バターの香りも立って美味しく食べられるため、焼きたてでの提供にこだわっているお店も。
そのため、スコーンが別皿となっていて、サンドウィッチを食べ終わる頃に、焼きたてを運んできてくれる店などもあり、イギリス現地でも、必ずしも基本に忠実な形で提供されるわけではありません。

日本でも、基本に忠実なアフタヌーンティーより、お店によってアレンジを効かせたものが多く、ティースタンドを使わず、ワンプレートやお重などの食器で提供される場合もあります。
また、セイボリー系が充実していたり、スコーンの提供がなかったりと、お店によってメニューも様々です。
基本的には“下から上”の順番で
下段から上段へ、サンドウィッチ、スコーン、デザートと盛られている基本的なアフタヌーンティーであれば、下から順番に食べていくのがマナー。
サンドウィッチ、スコーン、デザートの順番で食べ進めることで、1枚の取り皿できれいに食べることができるのです。
スコーンは、イギリスの伝統的なクリームであるクロテッドクリームとジャムを塗りながら食べるため、取り皿にクリームやジャムがついてしまうこともあります。
ケーキやショートブレッドなどのデザートであれば、残ったクリームやジャムを付けて食べることもできますが、クリーム、ジャムがついたお皿でサンドウィッチ(セイボリー系)を食べると味に影響してしまいます。
お皿の中の食べる順序については、味の濃いものから食べると味がわからなくなってしまうため、比較的味の薄いものから食べ進めるのがおすすめです。
手で運んでOK、手掴みで食べてOK!
ティースタンドに並んでいるサンドウィッチやスコーンを手で取って良いのか、そのまま手掴みで食べて良いのかと悩んでしまい、ナイフとフォークを使ってサンドウィッチを食べた……という経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
最近は凝ったメニューが出てくることも多いですが、元々アフタヌーンティーは、手で取って食べることができる“フィンガーフード”で構成されていたもの。
サンドウィッチやスコーン、デザートのいずれも、手で取れるものに関しては、自分のお皿まで手で運び、そのまま手掴みで食べて構いません。
知っておきたいスコーンの食べ方
アフタヌーンティーに行く前に知っておきたいのが、アフタヌーンティーには欠かせないスコーンの食べ方。

まずは、“オオカミの口”と呼ばれるスコーンの割れ目から、スコーンを半分に割ります。硬くて割りにくい場合はナイフを使って構いませんが、手で簡単に割れるものがほとんどです。

スコーンを割ったら、クロテッドクリームとジャムを塗り、手掴みで食べます。
どちらを先に塗るか厳密な決まりはなく、クロテッドクリームを先に塗るのが「デヴォン式」、ジャムを先に塗るのが「コーンウォール式」と呼ばれています。どちらも試してみて、お好みの塗り方を探してみてください。
また、クロテッドクリームとジャムは、備え付けのスプーンで自分のお皿に取り分けておき、一気に全部塗るのではなく、一口ずつ塗るのがマナーとされています。
“美味しく食べる”を優先し、臨機応変に対応しよう

今回は“アフタヌーンティーの食べ方”に着目し、基本的なマナーをお伝えしましたが、伝統的なスタイルとは大きく異なり、提供方法もメニューも様々なアフタヌーンティーが登場しています。
現代のアフタヌーンティーでは、食べ方に厳密な決まりはなく、一つひとつのメニューを“美味しく食べる”ということが優先。
マナーを気にしすぎるがあまり、焼きたてで提供されたスコーンが冷たくなってしまった、アイスクリームを使ったデザートが溶けてしまった、お腹いっぱいでデザートが一つも食べられなかった…となってしまっては本末転倒です。
マナーは厳守しようとこだわるものではなく、美味しく・気持ちよく時間を過ごせるために心得ておくべきものだと感じます。
基本的なマナーは頭にいれつつ、「焼きたての味を楽しむためにスコーンを先に食べる」「溶けてしまいそうなデザートを優先する」「セイボリーでお腹いっぱいになる前に先にスコーンへ……」など、提供されたアフタヌーンティーを“美味しく”食べることができるよう、臨機応変に対応してみてくださいね。
また、過去のコラムではアフタヌーンティーの歴史も紹介しています。
優雅なティータイム!女性の憧れ「アフタヌーンティー」って?
https://hito-tema.net/recipe-and-column/column/840
アフタヌーンティーがどのように始まったのか、貴族の間でどんなサンドウィッチが人気だったのか、アフタヌーンティーの際の小話にぴったりなエピソードも満載です。
ご興味がある方は、ぜひご覧くださいね。