日本酒バルの店主がおススメする 正月の日本酒の選び方5つ

日本酒バルの店主がおススメする、正月の日本酒の選び方

正月はやはり、「めでたい」のだ。

お歳暮や年賀状をやめてしまったり、おせち料理が洋風化したりと、習俗やしきたりの形は少しずつ変わっても、人に会えば「おめでとう」と挨拶する。そして、普段はあまり飲まないという人も、正月ばかりはお屠蘇気分で日本酒を飲む機会が増えるのではなかろうか。

めでたい正月にどんな日本酒を選んだらよいか、どう飲んだら美味しいか、日本酒バルの店主より5つの提案をしたい。

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大吟醸・純米大吟醸

「お正月だもの。ちょっと特別なお酒で迎えたいわ」
そう思う方も多いでしょう。多くの日本人にとって、正月は1年の中でも最も大切なハレの日。そんな日をいっそう演出してくれる日本酒たちがある。

日本酒の銘柄名とは別に『純米』『吟醸』『本醸造』などの表記をみたことがあるかと思う。これは『特定名称酒』といい、原料と精米歩合によっていくつかに分類される。

なかでも『大吟醸』や『純米大吟醸』と名のつく酒は、酒米を50%以上も精米し(磨いて削り)、より多くの時間と手間がかけられている。そうして丁寧に造られた酒は、フルーティで品格のある香りや、雑味のない透明感のある美しい味わいが特徴だ。「ワイングラスで飲みたくなるような」と表現されることも多く、テーブルに一本あれば華やかさをもたらしてくれる。日本酒が苦手な人にも飲みやすいものが多いことから、乾杯や食前酒として、まさにお屠蘇のように飲んでもいい。

もちろん料理にも合わせられるので、親類や仲間が集まった場でも。どちらにしても、特別な一本として在ってくれるだろう。普段から日本酒で晩酌をしている方でも、自分で買って毎晩のように飲むことは多くないだろうから、贈答にもおススメだ。

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縁起の良い名前の酒

「正月は縁起の良い酒で迎えたい。」これもあるでしょう。
年の初めに1年の無病息災、多幸を願い、縁起や験(げん)を担ぐのも日本の文化。おせち料理にも縁起を担ぐ意味があり、紅白の蒲鉾はめでたさと神聖さ、栗きんとんは金運。伊達巻きも黒豆もみな、それぞれ意味がある。

だったら、伴にする酒もそうしたい。ここでは単に縁起の良い名というだけでなく、飲むシーンも考えながらいくつか紹介したい。

開運 特別純米

言わずもがなめでたい酒。純米らしいコクとスッキリな後味は、魚介や鶏肉、出汁の利いたものまで幅広い料理と合わせやすく、どう飲んでも旨い。

明鏡止水 La vie en Rose

「バラ色の人生」という想いから造られた酒。アルコール度数は13%と日本酒としては少し低いこともあり、日本酒に馴染みがない方にも飲みやすい。軽やかな甘味と柔らかい旨味は、お燗にしても美味しい。

初亀 純米吟醸 辛2(からから)べっぴん

長寿の象徴である亀。甲羅の六角形は吉兆を表す。赤いラベルに金の文字がなんともめでたい気分。辛口でありながら、最高峰の酒米で造られた上品で優しい甘味と旨味も感じられる。食中酒として料理に寄りそってくれる一本。

縁起物づくしの正月を、いっそう美味しく楽しくしてくれる酒たち。
今から正月が待ち遠しくなってきた。

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新酒・しぼりたて

新酒しぼりたて
新酒を知らせる杉玉(画像出典)shutterstock

日本酒が他の酒類と違う特徴のひとつに、日本酒には季節がある、ということが言える。
酒造りの多くは米が収穫されたあとの秋から始まり、寒さの残る春頃まで続く。搾った生のままの酒は『新酒』『しぼりたて』、春の『春酒』、夏まで貯蔵した『夏酒』、さらに秋まで熟成させた『秋あがり』『ひやおろし』などがあり、同じ銘柄でも季節によって味わいの違いを楽しめるのが、日本酒の大きな特徴だ。

冬の『新酒』『しぼりたて』は、シュワシュワとした微発泡感のある舌触りや、まだ角を感じる若々しい味わいで、フレッシュそのもの。また、アルコール度数がやや高めの『原酒』や、あえて澱(おり)を残した『にごり酒』など、飲み応えを感じる酒であることも多い。季節の酒かどうかは、『新酒』『しぼりたて』などと瓶にラベルが貼られているので、わかりやすい。

新年にあやかり、酒にも季節を感じながら『新酒』を楽しんでみるのもいい。

お燗

お燗
(画像出典)shutterstock

親戚への挨拶を終えて我が家へ帰ったら、張っていた気を緩めたい。「寒いし、簡単に鍋にしよう」。そういう日もあるでしょう。鍋は手軽で温かく、そして美味しい。正月をゆっくり過ごしたければ鍋だ。鍋とくれば、酒は燗だ。

ところが、日本酒に馴染みのある人でも「お燗はちょっと苦手」という人がけっこう多い。あなたもそうだろうか?それならちょっと待ってください!
お燗の良さを聞いてくださいよ。

まず、お燗は体に優しい飲み方。すぐに体を温めてくれる。そして、体温に近いので冷やよりも吸収するときの体の負担が少ない。さらに、吸収が早いので飲んだ分だけ酔いが実感できる。一方、冷やは吸収に時間がかかるために酔いが遅れる。だから、つい飲み過ぎてしまう。「親父の小言と冷や酒は、後になって効いてくる」というのはこのため。

次に、お燗は美味しい飲み方。酒は、温度が上がると苦味や酸味がやわらぎ、甘味や旨味が引き出され、まろやかな味わいになることが多い。 鰹や昆布、具材の旨味が溶け込んだ鍋の出汁には、同じく旨味成分であるアミノ酸が豊富な日本酒のお燗が合う。 また、口の中が温まっていると、肉の脂がとろけていく様がよく味わえる。だから「生ハムにお燗」も実は相性が良い。

さらに、お燗は情緒的な飲み方。じんわりと湯気の立つ鍋に、気に入った焼き物の徳利とお猪口。もう、この景色だけで情緒的だ。気持ちがゆっくりし、温かい気分になれる。徳利は、温かい鍋の近くへ置いておこう。

しかし、なぜお燗は苦手という人が多いのか。その一因は、アルコールのツンとした感じが際立っているからかもしれない。そうさせないためには酒の温度を急激に上げず、ゆっくり上げて。面倒だから電子レンジでという場合は500wで40~60秒程度。マドラーで少し混ぜて温度のムラをなくそう。お燗に合う酒が分からなければ、まずは純米酒でためしてみよう。

「 神亀 ひこ孫 純米吟醸 」は、 50℃の熱燗でも常温でも楽しめる酒だ。

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樽酒

樽酒
(画像出典)shutterstock

樽酒といえば、このような樽を思い浮かべるかもしれない。
しかし今回ご紹介するのは、樽酒といっても鏡開きでみるようなものでなく、木の樽で数日間保存し、杉や檜の香りづけがされた酒のことだ。

この香りとともに、伊勢神宮にあるような立派な杉の木々たちを想えば、森林浴のようなリラックスした気持ちや神聖で厳かな気持ちにもなれる。お燗にして楽しめたり、年末に売り出されるものは軽快な飲み口のものもあったりと、意外と飲むシーンの幅も広いのだ。
売場の人に訊いてみれば、適した飲み方を教えてくれるはず。

まとめ

正月を華やかに、厳かに、特別に。一人でも、皆とも。そこに日本酒を合わせれば、いっそう正月が美味しく楽しく、めでたくなる。みなさんの正月に合った日本酒に出会えると嬉しい。良いお年をお迎えできますように。

【当記事につきまして】
ライターTOMokiさんがおすすめ商品を選定し、記事を作成しました。

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