日本酒にも四季の味わいがある。春に飲みたい日本酒

日本酒にも四季の味わいがある。春に飲みたい日本酒

「春は、あけぼの」と清少納言は謳い、北宋の詩人、蘇軾(そしょく)は「春宵一刻値千金」と詠んだ。あけぼののひんやりとする澄んだ空気の頃から電車に乗って、春宵の花見のために桜の下に陣取る日本人の様を思えば、春は明け方も夜もいい。

日本酒には、造りと熟成のタイミングによって四季の味わいがある。晩秋から冬にかけての新酒・搾りたて。春には爽やかな春酒。夏は軽快な甘味の夏酒。秋はひと夏を越えて旨味がのった秋あがり・冷やおろし。

陽だまりの温かさを感じるようになる3月頃から、日本酒は春の酒が出回るようになる。蔵はまだまだ造りの最盛期で、搾りたてのピチピチとしたフレッシュな酒もあるが、新酒の荒々しさがとれた爽やかな酒、装いも春らしい華やかな酒、ピンク色を思わせるような甘酸っぱさのある酒など、春はバラエティに富んだ日本酒が芽吹いてくる。この季節ならではの日本酒を、さっそく紹介させていただきたい。

※以下に紹介する銘柄は2019年までの出荷に基づいたものであり、2020年も同じとは限りませんので、ご参考の一助であること、予めご了承下さいませ。

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1、フレッシュ感を楽しめる酒

火入れをしていない生酒のフレッシュさを残しつつ、冬に搾られた新酒の荒々しさが和らぎ、角が取れてくる。そんな特徴の酒たちだ。食中酒としても幅広く楽しめる。

鳥海山 花ラベル 純米吟醸生

「春宵一刻」の肩ラベルは、まさに春の宵のための酒。爽やかな香り、かすかで上品な甘味は、淡い桜の花びらを思わせるような儚さを感じさせる。

紀土 純米吟醸 春ノ薫風

ここ数年の注目度の高まり著しい、和歌山の平和酒造さんが醸す紀土(キッド)の春酒。瑞々しい口当たりの中に柔らかな旨味、かすかな苦味が心地よい余韻。

2、舌触りが心地よい。微発泡感のある酒

舌をくすぐるようなシュワシュワとした『ガス感』がキーワード。春野菜の天ぷらを連想してしまうような爽やかで心地よい苦味を楽しむことができるものも多いが、他にも様々な味わいのものがある。

一ノ蔵 花めくすず音

スパークリング日本酒を身近にした先駆的な存在である一ノ蔵が、『すず音』をベースに、黒豆と紫黒米の色素による淡いピンク色に醸したスパークリング酒。かすかに香る黒豆の香ばしさとベリーのような甘酸っぱさ、アルコール度数は5%前後と飲みやすいのも嬉しい。カンパイにも、スウィーツと一緒にデザート酒としても。

大盃 特別純米 春しぼり

お米のしっかりとした甘味と旨味を、搾りたてらしいガス感が締めてくれる。鶏もも肉など、脂のある料理と合わせたい一本。

あたごのまつ 純米吟醸 はるこい生

ラベルだけでなくお酒自体が鮮やかなピンク色。これは赤色酵母で醸されたからで、イチゴを思わせる甘酸っぱさは、初恋の記憶のようにキュンとしてしまう。瓶内二次発酵のため、ガス感が強い場合があるので、開栓の際は念のためご注意を。

3、春らしい華やかなラベルの酒

春は、華やかで艶やかなラベルの酒たちが一気に増える。見た目の華やかさと同様に、味わいもジューシーなお酒の一部をご紹介。

栄光冨士 純米大吟醸 愛山 無濾過生原酒

華やかなピンクの背景に大きく「愛山」の文字が記されたラベル。愛山とは酒造好適米の一つで、溶けやすいため濃醇な味わいになることが多い。その独特の風味から近年は需要が高まっているが、栽培が難しく、入手困難とも言われているお米。見た目から感じられる印象のとおり、とても華やかでジューシーな味わい。

まんさくの花 純米吟醸 MK-X

艶やかなロゼ色の大きな「X」の文字が目に飛び込むラベルは、斬新さの予感。違う種類の麹をブレンドした新たなチャレンジの酒は、バナナ系の香りと爽やかな酸のハーモニーで、見た目も味わいも強い独自性が感じられる一本。

4、うすにごり、おりがらみ

冬の白濁としたにごり酒に比べ、春は澱(オリ)をうっすらと残していることが多く、フレッシュな軽快さの中に芳醇さも相まってくる。そのバランスを楽しみたい。

山本 うきうき

うっすらとした澱にサラリとした口当たり、優しく心地よい甘味と旨味。全体的に軽快さがあって、もう名前のとおり、うきうきしちゃう。

五橋 RIDE 純米大吟醸 桃色にごり

これも赤色酵母で醸された、ピンク色のうすにごりの酒。甘味と円やかな舌触りながら酸味のバランスがよく、やや濃醇に感じられつつ、スッキリとした余韻を楽しめる。

5、常温・お燗

花見は、気分とは裏腹にけっこう寒い。「そうそう」とうなずける方も多いことでしょう。そんな時は、冷やではなく常温、できるならお燗で楽しめるお酒もおススメ。

花垣 山廃純米

全国燗酒コンテストにて最高金賞のこの酒。米の旨味に苦味や酸の複雑味が重なってバランスがよく、熟成感がありながらも、柔らかさやキレイさがある。お燗がおススメだが、常温でも。お弁当の厚焼き玉子や唐揚げがもっと美味しくなりそう。

出羽桜 三年熟成大古酒 枯山水

「吟醸酒」という名前を広く世に知らしめた出羽桜。元々は淡麗な味わいのお酒を3年かけて熟成させてあり、円熟で柔らかいコクを持つ。熟成酒の初心者にも先ずは飲んでもらいたい一杯。ぬる燗や上燗(40~45℃)が、その円みをもっとも感じられるが、常温でも美味い。名前からして、桜を観ながら飲みたい。

まとめ

まとめ

春酒は、早ければ2月下旬頃から出回り始め、3~4月頃にピークを迎える。卒業や入社、異動に引越しなどの節目や花見など、何かと人とグラスを交える機会が増える春。爽やかさの中に儚い甘美さのある春の日本酒で、食を楽しんで頂けたら嬉しい。

【hitotema編集部注】
当記事は広告記事ではありません。
ライターお気に入りの日本酒をご紹介しています。

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