日本の夏、日本酒の夏。アレンジも自由に楽しもう

日本の夏、日本酒の夏。アレンジも自由に楽しもう

今年の夏は、どうしようか? オリンピックも甲子園もない。花火も祭りもない。一旦は解除されたコロナによる緊急事態も、人と経済が動き出していくと、果たしてどうなっていくだろう。

一方、働き方が変わったことで、お酒への向き合い方も徐々に変わってくる予感。仕事としての飲みが減り、オンライン飲みが一定の文化になりつつある。となると、お酒が大好き!というほどではなく、誰かが頼んだ注文に乗じてとりあえず一緒に飲んでいた人も、オンライン飲み会となれば、自宅で飲むお酒は自分で選ばなければならない。
大勢でワイワイしながら雰囲気で楽しんでいたお酒の味わいは、少人数になっていくと、お酒そのものの味がよりダイレクトに感じやすくなる。自分で選んだお酒が美味しいか、好みかどうか、これまで以上にお酒そのものに焦点が向かいやすくなる。そんな傾向が出てくるかもしれない。

日本酒バルの店主としては、今年の夏は、これまでよりもちょっと、日本酒に向き合っていただきたい。
日本酒には四季があることは過去にもお伝えさせて頂いたが、夏の日本酒にはどんな特徴があるのか。また、夏らしいお酒の楽しみ方も提案させて頂きたい。

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「夏酒」とは

夏酒とは
(画像出典)pixta

「夏酒」という言葉、意味は想像できるが、実は「夏酒」に明確な定義はない。冬に比べればどうしても需要が落ち込みがちだった夏の日本酒を盛り上げようと、2000年代後半あたりから使われ始めた言葉が「夏酒」だ。うなぎ屋さんの業界で言われる「土用の丑の日」と似たような背景ではあるが、しかし日本酒には、ちゃんと夏らしさがある。

冬に造られた搾りたての酒の荒々しさは、春には角が取れたフレッシュ感になり、やがて熟成されて落ち着きと旨味が乗ってくる秋を迎える 。その途中にある、フレッシュと熟成の間にある夏。軽快でスッキリとした甘味が出てくるのが特徴の一つ。
同一銘柄を、新酒・搾りたて、春酒、夏酒、秋あがり・冷おろしと、四季を追って飲み比べてみると、そういう傾向・印象を感じることができる。自然や食材だけでなく、お酒にも四季を感じることができるのは日本の誇りの一つで、ボトルやラベルからもそれを感じ取れる。

軽快でスッキリな夏のお酒

まずは前述のような夏らしさを感じるお酒をいくつかご紹介する。
なお、以下に紹介する銘柄は2019年までの出荷に基づいたものであり、2020年も同じとは限りませんので、ご参考の一助であること、予めご了承下さいませ。

紀土 純米吟醸 夏ノ疾風(平和酒造)

ラムネやソーダを思わせる軽やかな甘さのある香りは、夏休みに行った川遊びの風景を連想させ、思わずわくわくしてしまう。優しい口当たりに軽快な甘味と旨味は、茹でた枝豆やお刺身、レンジでチンしたとうもろこしもいいかも。幅広く料理に合う懐の深さもある。

いづみ橋 生もと純米酒 火入 夏ヤゴ13(泉橋酒造)

ラベルにキュン!トンボシリーズや雪だるまシリーズなど、季節を感じさせるラベルで目でも楽しませてくれる泉橋酒造の季節のお酒、夏のヤゴ。アルコールは13%と低めながら酸度が高く、軽快でありながらも程よい甘旨味を感じさせてくれる。
ライト?ボリューミィ?
スッと飲めばスムース、じっくり飲めばしっかり、それが分かりやすいお酒の一つ。

文佳人 夏純吟(株式会社アリサワ)

透明のボトルにかわいらしい妖怪たちの絵が描かれたラベル。これも夏を感じさせてくれる。。今年は発売10周年ということで、夜になるとラベルの妖怪たちが光る仕様のようです。ラムネのようなジューシーさと爽やかな酸で、白身魚にちょっとすだちと塩など、料理に少し柑橘を加えても合いそう。

夏らしい飲み方のご提案

夏らしい飲み方のご提案
(画像出典)pixta

次に、『夏らしい飲み方』と、それにおススメなお酒たちもご提案。日本酒の飲み方は冷やか常温、お燗と思うところだが、実はいろいろ試せる。日本酒カクテルはちょっと冒険だけど、これなら自宅でも手軽に試せる、という内容なので、ぜひご覧になって。

まだまだ未開、日本酒ハイボール

ウィスキーハイボールが文化となって久しく、近年は日本酒ハイボールもちらほらと見聞きするようになってきた。日本酒ハイボールの良さは、

カンパイでうまい
純米であれば料理にも合わせやすい
アルコール度数が下がり飲みやすくなる

といった点がある。
基本は日本酒:炭酸が1:1の割合を前提に、おすすめの日本酒を早速ご紹介したい。

隆 純米吟醸 若水白ラベル(川西酒造)

青みの柑橘類 の奥に白桃のような果実香が優しく隠れている。甘・旨・酸がバランスよくあって幅広い料理に合うお酒。これを1:1の割合で割ってみると、かすかな甘味を残しつつ爽やか!

イメージとしては、 ライムかすだちの果汁を一滴垂らすと、その特徴の良さが際立つ。これさえあれば冷奴、お刺身、天ぷら、そうめん、どんな料理でも美味しくしてくれる、そんな一杯。やがて「ビールよりも合うんじゃない?」と思えてくるくらい。

ゆきの美人 純米大吟醸 吟の精(秋田醸造)

今度はレモンやグレープフルーツなど黄色のイメージ。少しオレンジも思わせる香りが上品に香る。これも同じく1:1の割合で炭酸を注ぐ。シュワシュワとした泡とともに柑橘の爽やかさがキレイに口の中を満たしてくれる。これも料理に合うが、豚や牛などお肉にもイケる味の存在感がある。

なお、販売元はごく一部の酒販店に限られている。
http://horikoshi-s.com/shop/html/products/detail.php?product_id=650

ハイボールに合う日本酒は貴重!

ハイボールに合う銘柄は、今のところそうは多くない。私も色々と、およそ50種類ほど試したが、殆どのお酒は単に味が薄まってしまうだけで、「良さを活かしつつ美味しい!」と思えたのは上記の2種だけ。ということは、 なにやら共通点がありそう。

一つは、元々のお酒に爽やかさがあること。ソーダ割=爽やかになるため、日本酒にもその特徴が欲しい。

二つ目は、お肉やオイルにも合うような骨格や芯、腰があること。前述の隆は生ハム、ゆきの美人はアヒージョや豚のグリルなどに合わせても美味しいと思っていたが、ソーダで割ってもお酒の良さを活かすには、そういう強さが要りそうだ。

上記は私が試したうえでの見解だが、もし、注いだ日本酒が重く感じて進まなくなってしまったら、ソーダ割を試してみるのもいい。決して邪道ではなく、より美味しく飲むための工夫、発見なのだ。

キリッと日本酒オンザロック

「氷室の氷、熱き月に当たりて、水酒に浸して用ふ」。これは日本書紀にある記述で、暑い季節には氷室の氷を酒にいれて飲む、ということだ。つまり、ずっと昔から日本酒オンザロックはあったのである。氷を入手しやすい 現代ならなおさらアリだ。

氷を入れる=冷たくなる。冷たいと甘味や旨味は感じにくくなる。相対的に苦味や酸味を感じやすくなるのだが、これをネガティブに捉えず、爽やか・瑞々しい・かすかに・キリッと、そういう表現で美味しいと思えればいい。但し、 氷が溶けすぎると単に味が薄くなってしまうため、お酒はいっぺんに注がず、飲み切りながら少しずつ加えたい。一方で、氷が溶けて薄まる ことを前提に、原酒のようにボリュームのある味わいのお酒を選ぶという手 もある。

玉川 純米吟醸 Ice Breaker(木下酒造)

氷の上にペンギンのラベルをみれば、オンザロックがアリなことは一目瞭然。木下酒造の酒の多くは、どれも旨味や奥行のある濃醇な味わいのものが多いが、これはオンザロックを前提に造られた一本。氷の溶け具合次第で「しっかりキリッと」から「軽やかに爽やかに」、飲み手次第で幅広く楽しめる。そしてツウなら、実はお燗も試して欲しい。暑い人も冷房で冷えた人も、これ一本で夏を乗り切れる。

菊姫 山廃純米 無濾過生原酒(菊姫合資会社)

原酒はバナナや洋梨のような甘い香りに、とろりとした口当たり。まるで熟成酒のような厚みや複雑味がある。その濃さゆえ、慣れていないと好みが分かれそうなお酒 だが、ファンも多い。実は冬に発売されるものであるが、もし夏の今に見つけたら、オンザロックでも試して欲しい。ウィスキーのオンザロックのように楽しめる。

まとめ

まとめ
(画像出典)pixta

まだまだ紹介したいお酒が沢山あるのだが、これはもうキリがない。他にも、冷凍庫に保管して作るみぞれ酒や、この時期に搾りたてとして出る微発泡酒など、夏の日本酒の楽しみ方は実に多様だ。エアコンで冷えた体にはぬる燗もいい。

また、器でも味わいは変わるもので、冷たくして美味しいお酒なら、シュッと細長い江戸切り子で飲むと、味わいも雰囲気もより爽やかだ。日本酒はお猪口で、冷かお燗、という既成概念を覆し、楽しみ方の可能性を広げるにはうってつけの夏。美味しさの気づきが広がる夏になってくれたら嬉しい。

【hitotema編集部注】
当記事は広告記事ではありません。
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