歳を重ねていくと筋肉が衰えるように、老化は歯茎や骨にも影響があります。歯を支えている骨が減ることで、歯茎が下がり隙間ができます。今までなかった隙間ができるので、食べ物が詰まりやすくなるのです。
かといって、加齢だけが原因ではありません。今回は、食べ物が歯に詰まりやすくなる原因と対策について解説していきます。
「最近、食べ物が歯に詰まりやすくなった」「同じ箇所に何度も食べ物が残る」と悩んでいる方は是非、この記事を参考にしてくださいね。
目次
食べ物が詰まりやすくなる4つの原因と対処法

歯茎の老化以外で、食べ物が歯に詰まりやすくなる原因は大きくわけて4つあります。ここでは、4つの原因とそれぞれの対処法について紹介していきます。
虫歯・歯周病
虫歯は、虫歯菌が歯を溶かして穴を開けていきます。特に虫歯が進行している場合には、歯の中で穴が広がっていることが多く、食べ物が詰まりやすい状態になります。
一方で歯周病は、歯の周り(歯茎や骨など)の病気です。歯周病になると歯を支えている骨が溶けていくと同時に、歯茎の位置が下がるため食べ物が残りやすくなります。また、歯周病が重度になると、歯と歯茎の隙間も広くなり、食べカスが入りやすくなるので、歯磨きで取り除くのが難しくなっていきます。
対処法
虫歯や歯周病が原因の場合には、歯科医院での治療が必要です。
虫歯治療:
虫歯を除去してプラスチックなどの詰め物や被せ物をすることで、歯に詰まる症状は改善します。
歯周病治療:
炎症を起こしている歯茎を引き締める治療になります。ただ、歯周病で一度、下がった歯茎は治療をしても元の位置には戻りません。歯茎が引き締まっても歯と歯の間の隙間は空いているので、食べ物が詰まる症状を完全に解消するのは難しいです。
歯間ブラシやタフトブラシなど、歯と歯の間を掃除する道具を使って食べカスを取るようにしましょう。
いきなりですが、歯磨きは、歯ブラシだけでは不十分です。実際、歯ブラシだけの使用では全体の約6割しか汚れが落ちないと歯周病学会の調査で報告されています。参考:歯周病学会誌 また歯周病、虫歯、口臭といった病気は、歯と歯の間から発症するこ[…]
治療後は、虫歯や歯周病が再発しないよう、自分に合った歯磨きのやり方を歯科医師や歯科衛生士から教えてもらいましょう。
隙間のある見た目や食べ物が歯に詰まるのが気になる場合には、「再生治療」という別の治療を行うと症状が改善するケースもあります。
歯の動揺(グラグラ)
歯ぎしりや力仕事、スポーツなどで歯を食いしばることが多いと、一部の歯に強い力が継続的に加わるため、その歯を支えている骨が減っていきます。過度な力は、骨の負担にもなるのです。骨が減ると、歯の支えがなくなるのでグラグラした動きが大きくなります。噛むたびに歯が大きくズレて動くため、食べ物が歯と歯の間に詰まりやすくなります。
対処法
一部の歯に強く力がかかっている場合には、噛み合わせを調整します。歯全体の噛むバランスを調整することで、歯の動揺が収まり、食べ物が詰まる症状も改善します。また、歯の動揺は歯周病でも起こるケースがあり、グラグラしていた歯が歯周病治療後には安定することもあります。
詰め物や被せ物の劣化
歯の詰め物や被せ物は、年々劣化していきます。例えば、プラスチックの詰め物は、水分を吸収しやすい性質なので、年数が経つと歯とプラスチックの間にズレが生じやすくなります。
被せ物も、経年劣化ですり減ったり、歯と被せ物の間に隙間ができたりして、食べ物が残りやすい環境になります(被せ物の種類によって、すり減りや段差のできやすさは違います)。
対処法
古い詰め物や被せ物は、新しく作り替えることで症状が改善します。詰め物や被せ物の劣化は自分では気づきにくいため、定期的に歯科医院でチェックしてもらいましょう。定期的なチェックは、被せ物と歯の段差から発生する虫歯や歯周病を防ぐことに繋がります。
親知らず
親知らずが前の歯を押すように斜めに生えている場合には、前の歯との間に隙間ができたり、段差が生じたりして、食べ物が詰まりやすくなります。
対処法
親知らずを抜歯すると、食べ物の詰まりが改善します。
こんな現象があれば要注意!

いつも通りに歯と歯の間をデンタルフロスで掃除しているのに糸が切れたり、歯間ブラシがいつもより動かしにくく使用後に毛がボサボサになったりするときは、その部分が虫歯になっていたり、詰め物や被せ物がズレたり外れたりしている可能性が高いです。
いつものケアのちょっとした違和感は、何かしらの理由があることが多いです。そのままにせず歯科医院で確認しましょう。
早めに受診すれば、簡単な処置で済むことも多いですよ。
食べ物が歯に詰まる原因は老化だけじゃない!

食べ物が歯に詰まりやすくなるのは、老化以外で今回紹介した4つのことが原因になっているケースも多くあります。食べ物が歯に詰まった状態が長いと、口臭を引き起こす原因にもなるので、早めに歯科医院で診てもらうことをおすすめします。
記事監修:林 徹(歯科医、はやし歯科医院院長)

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