家庭で使用するガスのひとつに、LPガスがあります。1人暮らしや転勤、マイホーム購入などの引っ越しのタイミングで、
プロパンガスとは違うのか?
都市ガスとは何が違うのか?
と、ふと気になることもあるでしょう。ここでは、LPガスとプロパンガスの意味、都市ガスと比較したときの特徴や違いについて解説します。
目次
LPガス、プロパンガスとは?

まずは、LPガス・プロパンガスの言葉の定義から。家庭用ガスを指す場合は、LPガス=プロパンガスという認識で問題ありません。都市ガスは別物です。
LPガスは液化石油ガスのこと
LPガスは、液化石油ガスのこと。英語の“Liquefied Petroleum Gas”の略称です。冷却・圧縮することで容易に液化できる石油由来原料のガス。液状にすることで気体の1/250の体積になります。
ちなみに都市ガスは、液化天然ガス(Liquefied Natural Gas)。主成分はメタンやエタンで、冷却・圧縮により液化し、こちらは体積が約1/600になります。
なぜプロパンガスとも呼ぶ?
家庭用LPガスの主成分はプロパン、工業用LPガスの主成分はブタンです。家庭用と工業用を区別する意図もあり、家庭用LPガスはプロパンガスとも呼ばれています。
LPガス(プロパンガス)の特徴

次に、LPガスの特徴を見ていきましょう。都市ガスの違いも併せて解説します。
ガスボンベで供給される
LPガスは冷却・圧縮により液化されてガスボンベに充填され、契約者の自宅や店舗、事業所などに運搬、設置されます。屋外の屋台や炊き出しで使われることもあります。
一方の都市ガスは地下のガス導管を通じて各家庭に届けられます。
75%は、アメリカや中東から輸入
LPガスの約75%は海外からの輸入。残りの約25%は原油精製時や化学製品の生産時に発生する国内生産分です。
輸入元は、以前はサウジアラビアやカタールなどの中東地域が中心でしたが、2012年ごろからはアメリカ産のシェール随伴LPガスの輸入が大幅に増加。2020年度のLPガス輸入構成比は、アメリカが67.1%で第1位なっています。
参考:https://www.j-lpgas.gr.jp/genzai/supply.html
空気より重い
LPガスは、空気より重いため、万が一のガス漏れ時には下に溜まります。逆に都市ガスは空気より軽く、天井部分へ。いずれも、ガス漏れに備えて臭いがつけられています。
LPガス(プロパンガス)のメリット、デメリット
続いて、LPガスのメリット、デメリットを解説します。
メリット

災害時に役立つ
LPガスは各家庭ごとに個別にボンベを設置するので、災害復旧が比較的早いのが特長(都市ガスのほうが早いこともあります)。また、LPガスのボンベを設置しさえすればガスが使えるようになるため、炊き出しや仮設住宅の建設もスピーディーです。
熱量が高い
LPガスの1立方メートルあたりの熱量(カロリー)は、24,000kcal。都市ガスが11,000kcalなので、約2倍以上です。
家庭用ガス器具は同じ要領で使えるように調整されているので差を感じませんが、工業用・業務用では高い熱量が必要なときにLPガスが選ばれます。
二酸化炭素の排出量が少ない
炭素排出係数 (t-C/TJ) | 指数 | |
石炭(一般炭) | 24.42 | 1.29 |
A重油 | 19.32 | 1.02 |
原油 | 19.00 | 1.00 |
ガソリン | 18.72 | 0.99 |
灯油 | 18.71 | 0.98 |
LPガス | 16.38 | 0.86 |
都市ガス | 13.80 | 0.73 |
LPガスの二酸化炭素排出量は、石炭や他の石油製品と比べるとかなり少なめ。都市ガスもさらに少なく、どちらも環境にやさしいクリーンエネルギーです。
出典:http://www.nichidankyo.gr.jp/toku/dl/ch01.pdf
デメリット

ガス料金が都市ガスよりも高い
LPガスは運搬や設置にコストがかかるため、都市ガスよりも料金が高くなります。また、自由料金制で割高な料金にする業者も一部あるため、平均値も高めになりがちです。
LPガス(プロパンガス)へ切り替えるときの注意点
引っ越しにあたり、都市ガスからLPガスに切り替える際、まず気を付けなければいけないのがガス機器です。同じガス機器は使えないので、LPガス用を使うようにしてください。
また、LPガスは自由化されているので、ガス会社を選べるのであれば料金やプランを比較してみましょう(条件により選べないことがあるので、大家さんや施工会社に確認してください)。