ガスボンベに充填された状態で運搬され、契約先に設置されるLPガス(プロパンガス)。その可搬性で日本の国土の100%を網羅しています。
この記事ではLPガスの用途と、家庭用ガスボンベを安全に使うための注意点を解説します。
目次
LPガスの用途
LPガス(Liquefied Petroleum Gas)は、液化石油ガスのこと。プロパン、ブタンを主成分とし、冷却・圧縮により、常温で液化させられるガス燃料です。
都市ガスは液化天然ガスで、主成分はメタンやエタン。家庭用ガスとしては同じように使われますが、業務用・工業用としては用途が分かれます。
家庭用エネルギー

一般家庭では屋外にガスボンベを設置し、調理や給湯、暖房器具などの用途で使われます。
都市ガスの供給が困難な(=ガス導管の引き込みができない)山間部や離島などのエリアにも供給できるのがメリット。
家庭用LPガスの主成分はプロパンなので、プロパンガスとも呼ばれます。
また、カセットコンロで使うカセットボンベやアウトドア用のガス缶もLPガス。こちらの主成分はブタンです。
業務用エネルギー

店舗などで使われる業務用も、主成分はプロパン。LPガスは都市ガスの2倍の発熱量なので、中華料理店など強火力が必要な飲食店では選ばれています。
(家庭用のLPガス器具では、業務用ほどの強火力は出ません)
産業用エネルギー

LPガスの需要の半分は、産業用です。
- 工業用:金属・非金属、食品、繊維、紙器、窯業、農林水産業など
- 化学原料用:エチレン・プロピレンなどの化学製品の原料
- 都市ガス用:都市ガスの増熱用
- 電力用:発電所での熱源
と、多岐にわたる業種で使われています。
その他の石油燃料に比べると二酸化炭素の排出量が少ないため、重油等の液体燃料からLPガスに転換されることも増えています。
空調用エネルギー
GHP(ガスヒートポンプ)エアコンといえば、都市ガス。そんなイメージもあったのですが、近年はLPガスのGHPを導入する施設も増えています。
節電に繋がることや環境性能、災害時に強い分散型エネルギーであることがメリットです。
分散型エネルギーとして注目されるLPガス

地震や台風などの災害時に、電線や水道管、ガス導管などがダメージを受けると電気・水道・都市ガスは影響が広範囲に及ぶ可能性があります。一方、LPガスはガスボンベとガス機器があれば使用可能なので、災害に強い分散型エネルギーとしても注目されています。
非常用のエネルギーとして公共施設に備蓄しておくほか、被災地へガスボンベを運んで炊き出しや避難所の準備、仮設住宅の建設を進めることも可能です。
LPガス(プロパンガス)を安全に使うためのポイント

LPガスボンベの設置は資格のある作業員が行いますし、LPガス会社には保安業務を行う義務がありますので、基本的には安全です。
しかし、住民がうっかり触ったり移動させたりすると危険が伴いますので、基本的なことは知っておくと安心です。
直射日光が当たらない、水はけの良い場所に置く
LPガスボンベが腐食したり高温になったりすると、ボンベの内圧が上がり、爆発の危険性があります。定期的に交換するものなので腐食の心配はほぼいりませんが、直射日光の当たらない場所に設置しましょう。
雨や雪を避けられる、水はけと風通しの良い場所がベストです。
車両事故のリスクがない場所に置く
頑丈なガスボンベとはいえ、車と接触すると危険。道路沿いなど、車両事故のリスクがある場所は避けましょう。他に置く場所がなければ、柵やポールを設置するなどの工夫が必要です。
火気から2m以上離れた場所に置く
ボイラーや給湯器などの火気からは2m以上離して設置してください。
水平な場所に鎖で固定する
坂や段差など、傾斜部分にLPガスボンベを設置すると、転倒や破損のおそれがあります。また、転倒や破損は強風・地震などでも起こり得ます。水平な場所に設置し、鎖を二重掛けして固定します。
ガス漏れ警報装置を設置する
義務ではありませんが、万が一のガス漏れ時に対応できるようガス漏れ警報装置の設置が推奨されています。
LPガスはさまざまな用途で使われている
クリーンエネルギーとしても注目度が高まっているLPガスは、家庭用以外のさまざまな場所で使われ、わたしたちの生活を支えています。
家庭用LPガスを使われている方は、これからも安全に使い続けてください。