LPガス料金は高いもの、と諦めていませんか?
でも実はLPガス料金は自由化されていて、ガス会社を切り替えられるケースも多いんです。
ガス料金が高いと感じたら、まずは現在の料金プランが適正なのかチェックしてみましょう。相場よりも高い場合は、LPガス会社の切り替えを検討することをおすすめします。
この記事では、LPガスの都道府県別ランキングを「事業者数」「平均価格」「適正価格」の3つのパートに分けてご紹介! さらに、LPガス会社の選び方やLPガス料金の仕組みなどのお役立ち情報もまとめてお伝えします。
目次
LPガス料金は高い? 安くする方法は?

LPガス料金は高い、というイメージがありますよね。確かに都市ガスと比べると、LPガスの方が高いのは事実です。都市ガスは地下にある導管を通じて供給されますが、LPガスは基本的にガスボンベで供給されます。ガスボンベの配送費用がかかる分、どうしても割高になってしまうのです。
しかし、LPガスには、都市ガスにはないメリットがいくつもあります。なかでも、災害時の復旧が早いことは、私たちの生活において大きなメリットといえるでしょう。
そんなLPガスを今より安く、お得に使うには、LPガス会社を切り替えるという手があります。あまり知られていませんが、LPガスは契約する会社を自由に選べるようになっています。
LPガス料金は会社ごとに大きな差があるのですが、相場より高い料金であることを知らないまま契約し続けている場合も少なくありません。まずは、地域のガス料金の相場を知り、相場より高い場合は、LPガス会社の変更を検討すると良いでしょう。
但し、住宅の種類によっては選べないこともあります。以下を参考にしてください。
戸建ての持ち家、新築予定
一戸建てなど自身で所有する物件にお住まいの方、あるいはこれから新築予定の方は、LPガス会社を自由に選べます。
但し、無償貸与契約(※)でLPガス会社が器具を入れている中古物件の場合は、変更できないこともあります。
※無償貸与契約とは、給湯器やガスコンロなどをLPガス会社が無償で設置するかわりに、10~15年の契約期間を設ける方法。契約期間中に解約する際には違約金が発生します。
戸建ての賃貸物件
戸建ての賃貸物件にお住まいの場合は、大家さんの許可があればLPガス会社の変更が可能です。まずは大家さんに相談してみましょう。
マンション・アパート
分譲、賃貸にかかわらず、マンション・アパートの場合は、あらかじめ決められたガス会社と建物全体で契約しているため、個別での変更はできません。管理会社や大家さんに相談はできますが、マンション・アパートの住人全員が契約を変更することになるので、あまり現実的ではありません。
LPガス料金の仕組みや計算方法を知ろう

LPガス都道府県別ランキングに入る前に、LPガスの料金体系や計算方法をご紹介します。現在LPガスを契約中の方は、どの料金体系に当てはまるのかをまず確認してください。
検針票に基本料金や従量単価などが書かれているので、料金をチェックしたいときは捨てずに保管しておきましょう。
LPガスの料金体系
LPガスの料金体系は主に「二部料金制」「三部料金制」「最低責任使用料金制」の3種類に分けられます。言葉だけ見ると何だか難しそうな気がしますが、仕組みはとてもシンプルです。
二部料金制
LPガスの料金体系で最も多いのが、二部料金制。二部料金制とは、毎月固定の「基本料金」と、使用量に応じて支払う「従量料金」を合算する計算方法です。
ガス料金=基本料金+従量料金(ガス使用量×従量単価)
基本料金には、LPガス供給に関する設備使用料金(ガスボンベやメーターなど)、保安や検針にかかる費用などが含まれ、毎月固定で支払う金額となります。一方、従量料金はLPガス使用量に応じて変動し、使用量が増えるほど、比例して料金も上がっていきます。なお、従量単価とは、LPガス1m3あたりの金額(○○円/m3)のことです。
三部料金制
三部料金制は、「基本料金」と「従量料金」に「設備使用料金」を加えた計算方法です。二部料金制との違いは、設備使用料金の扱い方。二部料金制では設備使用料金が基本料金に含まれていましたが、三部料金制では別立てとなっています。
ガス料金=基本料金+従量料金(ガス使用量×従量単価)+設備使用料金
料金の考え方は、二部料金制と同じです。単純にLPガス使用量が増えるほど、支払う料金も高くなります。設備使用料金を別枠扱いとすることで、料金の内訳がより明確になっています。
最低責任使用料金制
最低責任使用料金制とは、ある一定の使用量までは固定額(最低使用料金)で請求される仕組みで、一定の使用量を超えると、超えた分だけ料金が加算されていきます。
ガス料金=最低使用料金+超過分(ガス使用量×従量単価)
最低使用料金=二部料金制における基本料金+一定量までのガス使用料金、と考えるとわかりやすいです。
固定料金にするかわりに「一定量」の部分のガス単価を安く設定しているLPガス会社もあり、使用量と価格設定によってはお得になります。
逆にデメリットもあり、月々のLPガス使用量が少ない方には向いていません。たとえば、出張や旅行で長く家を空けてガスをほとんど使わなかった月でも一定の料金が発生してしまうので、割高になってしまいます。
従量単価の決め方にも違いがある
従量単価は、「LPガス1m3あたり〇〇円」と固定額で設定されている場合と、変則的に設定されている場合があります。LPガス使用量に応じて従量単価を変動させる「スライド制」、LPガスの輸入価格が販売価格に反映される「原料費調整制度」などさまざまです。
従量単価の決め方はLPガス会社ごとに異なるので、契約の際にしっかり確認しておきましょう。
ライフスタイルに合ったものを選べば、コスト削減も期待できます。
次の項目からは、LPガス業界の都道府県別ランキングをご紹介していきます!「販売事業者数」「平均価格」「適正価格」の3つのジャンルを見ていきましょう。
LPガス業界【販売事業者数】都道府県別ランキング

まずは、経済産業省の調べによるLPガス販売事業者数の都道府県別ランキング(※1)ご紹介します。
1位:北海道(1,035社) 2位:埼玉県(788社) 3位:茨城県(756社) 4位:福岡県(638社) 5位:千葉県(582社) 6位:静岡県(545社) 7位:愛知県(544社) 8位:神奈川県(541社) 9位:福島県(528社) 10位:栃木県(520社) |
2020年12月末時点でのLPガス販売事業者数は日本全国で17,170社。都道府県別の数を見ていくと、一番多いのが北海道で1,035社。続いて、埼玉県が788社、茨城県が756社、福岡県が638社の順となっています。
逆に少ない方から見ていくと、鳥取県が91社、島根県が95社、佐賀県が137社で、上位と大きな差があるのがわかります。
※1:経済産業省「全国の販売事業者数・保安機関数等」
https://www.meti.go.jp/policy/safety_security/industrial_safety/sangyo/lpgas/anzen_torikumi/jigyousha.html
LPガス業界【平均価格】都道府県別ランキング

続いて、プロパンガス料金消費者協会によるLPガスの都道府県別の平均価格ランキング(※2)を安い県から順にご紹介します。
なおランキングは、基本料金+従量単価(円/1m3)の合計で決めています。
1位:東京都(1,746円/519円) 2位:埼玉県(1,730円/535円) 3位:千葉県(1,771円/540円) 4位:神奈川県(1,761円/545円) 5位:栃木県(1,682円/555円) 6位:山梨県(1,742円/550円) 7位:三重県(1,831円/547円) 8位:茨城県(1,744円/556円) 9位:愛知県(1,828円/549円) 10位:群馬県(1,769円/556円) |
関東エリアの県が多く上位に入っているのが特徴です。一方、平均価格が高いのは下位から順に、北海道、青森県、岩手県、山形県、富山県で、北の地域が多く入っています。なお、北海道の平均価格は、基本料金が2,146円、従量単価が786円で、トップの東京都と最下位の北海道では大きな差があります。
※2:プロパンガス料金消費者協会「LPガス料金都道府県別ランキング大公開」
https://www.propane-npo.com/column/cts060.html
(沖縄、離島は除く)
LPガス業界【適正価格】都道府県別ランキング

プロパンガス料金消費者協会による資料をもとに、都道府県別のLPガス適正価格ランキング(※3)をご紹介します。
適正価格とは、都市ガスの価格を基準にプロパンガス料金消費者協会が定めた独自の価格帯のこと。
こちらも、基本料金と従量単価(円/1m3)合計が安い順です。
1位:栃木県:(1,650円/319円) 2位:東京都:(1,650円/330円) 2位:神奈川県:(1,650円/330円) 2位:埼玉県:(1,650円/330円) 2位:千葉県:(1,650円/330円) 2位:茨城県:(1,650円/330円) 2位:群馬県:(1,650円/330円) 8位:静岡県:(1,650円/374円) 8位:愛知県:(1,650円/374円) 8位:岐阜県:(1,650円/374円) |
上位10都県の基本料金はすべて同じで、関東7都県のうち栃木県以外は従量単価も同じです。反対にLPガスの適正価格が一番高いのは北海道で、基本料金が1,760円、従量単価が550円という結果に。平均価格よりかなり安いものの、ここでも上位が関東エリア、最下位が北海道になっています。
※3:プロパンガス料金消費者協会「LPガス料金都道府県別ランキング大公開」
https://www.propane-npo.com/column/cts060.html
(一戸建てのみ。沖縄、離島は除く)
LPガス会社の切り替えを検討しよう!

LPガス料金が地域の相場よりも高い場合は、ガス会社の切り替えを検討することになります。
しかし、ここで気になるのは「平均価格」と「適正価格」の考え方ではないでしょうか。
地域の平均価格よりも安いけど適正価格よりも高い――そんなとき、どう判断すればいいのか迷いますよね。実際、適正価格については触れずに「平均価格より安いです!」と営業するLPガス会社も少なくないようです。
基本的に、適正価格より高ければ検討の余地はあります。
とはいえ、適正価格より高いから“ぼったくり”とは言えず、地域によって輸送コストなどかかる経費に差もあります。
見積もりの際に、納得できるまで料金の根拠を聞くようにしましょう。
LPガス会社を選ぶときのポイント

ここでは、LPガス会社を選ぶときのチェックポイントをご紹介します。
料金がお得なだけでなく、安心して契約できるLPガス会社を選びましょう。
料金
今まで説明してきた内容と重複しますが、やはり一番のポイントは料金です。
今お住まいの地域、あるいは引越し先で、LPガスの料金相場がどれくらいなのか確認しましょう。比較的安い料金プランを提供するガス会社がある一方で、高額な料金設定のガス会社も存在します。
割高な料金で損をしないよう、事前に情報を集めておきましょう。
保安体制やサポート
消費者としては安ければ安いほどうれしいものですが、保安体制やサポートがしっかりしているLPガス会社を選ぶことも重要です。
ガスのトラブルや、ガス機器の不具合など、何か問題が起こったときにすぐに対応してもらえると安心です。最近では、ガスだけでなく、お家のトラブル全般をサポートするサービスを提供するガス会社もあるので、どんなサポート体制が設けられているかも検討材料に加えてみると良いでしょう。
料金の明瞭さ
ガスの検針票や請求書に料金の明細がきちんと書かれているか、ガス料金が値上げ・値下げされたときにきちんと通知してもらえるかも大事なポイントです。LPガスは原油価格の高騰や為替の変動が起こると、販売価格に影響することがあります。
知らず知らずのうちに料金が徐々に値上げされていた、という事態を避けるためにも、利用者に誠実な対応をしてくれるガス会社を選びましょう。
保証金・解約金・違約金
LPガスを契約する際、ガス会社から保証金の支払いを求められることがあります。保証金は利用者の未払い対策のためのもので、もし、利用者がガス料金を滞納した場合、保証金から引かれます。契約中に滞納などがなければ、解約時に全額返還される仕組みです。
また、トラブルの原因になりやすいのが、解約の際の解約金と違約金。契約内容によっては、解約時に高額な料金を請求されるケースもあるので注意が必要です。ガス会社と契約する際は、解約金、違約金の有無も含め、契約書をすみずみまで確認するようにしてください。
お得なセット割やサービスの有無
近年、お得なセット割やサービスを提供するLPガス事業者も増えてきています。電力やインターネットとのセット割引や、利用額に応じたポイント付与などがあり、家計の節約につながるのがメリットです。お得なサービスを上手く活用して、浮いたお金を貯蓄にまわしたり、家族とのレジャー費に充てたりするのも良いですね。
支払い方法
LPガスの支払い方法は、口座振替・クレジットカード・払込書の3種類が基本です。しかし小さな会社の場合、まれにクレジットカードに対応していないことがありますので、カード払いを希望している場合は可否を確認しておきましょう。
LPガス会社を切り替える手順

LPガス会社を切り替えるときの一連の流れをご紹介します。主な手順を一覧にまとめました。
1居住地域内のLPガス会社を探す
2料金プランなどを比較検討して決定する
3新しく契約する会社に連絡を入れる
4LPガス供給設備の設置・切り替え工事の調整をする
5設置工事後、安全点検を経て使用開始する
ここからは、各項目ごとのポイントをお伝えしていきます。順を追って見ていきましょう。
居住地域内の料金相場のチェックは終わっているという前提で始めますね。
1居住地域内のLPガス会社を探す
まずは、居住地域内で契約できるLPガス会社を探すところからです。
市区町村名+LPガス(又はプロパンガス)でインターネット検索すると見つかります。
2料金プランなどを比較検討して決定する
契約可能なLPガス会社をいくつかピックアップして比較を行います。料金の安さだけでなく、保安体制やサポートが充実しているかも大事なポイントです。信頼できるLPガス会社を選びましょう。
3新しく契約する会社に連絡を入れる
引越しではなく切り替えの場合は、新しく契約するLPガス会社に連絡するだけでOK。一般的には、新しいガス会社が解約の連絡などを代行してくれます。
解約時に発生する費用があるかどうかは、必ず確認しておきましょう。
4LPガス供給設備の設置・切り替え工事の調整をする
解約するガス会社の設備(ボンベやメーター)を撤去後、新しいガス会社の設備取り付け工事が行われます。基本的に同日の作業となるため、それぞれの会社と日程調整が必要です。新しいガス会社が日程調整を請け負ってくれる場合もあります。
5設置工事後、安全点検を経て使用開始する
ガスボンベやメーターの設置工事後、ガス漏れ検査や点火確認などの安全点検が行われます。点検時は必ず立ち会いが必要です。確認が終わると、LPガスの使用を開始できます。
ぜひこの機会にLPガス料金の見直しを!
この記事では、都道府県別のLPガス事業者数や平均価格、適正価格のランキングをはじめ、LPガス料金の仕組み、LPガス会社の選び方など、LPガスに関連するさまざま情報をご紹介しました。
繰り返しになりますが、LPガス会社は自由に変更できます。現在の料金プランが適切か、もっとお得なプランはないか、ぜひこの機会にチェックしてみてはいかがでしょうか。