お菓子作りにおいて、フルーツは、見栄えが良くて美味しいというありがたい存在。
しかし、変色してしまったり、ゼリーが固まらなかったり、水分量に誤差が出て思った仕上がりにならなかったりと、思わぬ失敗につながることがあります。
そこで今回は、製菓衛生師の資格を持つ筆者がフルーツの基本について解説します。
目次
【お菓子の種類別】向いているフルーツ・不向きなフルーツ
成分も味も多種多様なフルーツを、食材として一括りにするのは難しいです。
お菓子の種類によって相性が変わることを知れば、より美味しいお菓子ができますよ。
デコレーションケーキ
ショートケーキやタルトなどのデコレーションケーキは、基本的にどんなフルーツとも相性が良いです。
あえて相性の良いフルーツの特徴を挙げるなら、
- 酸味がある
- 瑞々しく口溶けがいい
- 時間が経っても水気が出にくい
ということでしょう。
甘みのあるクリームやスポンジと合わせるため、さっぱりと食べられるいちごや柑橘類などの酸味のあるフルーツがおすすめ。
また、口溶けのよいフルーツの方が、クリームと一緒に口に入れた時に違和感がありません。
美味しさという意味では、旬であることも大きなポイント!
旬のフルーツを使うことで、季節を感じつつ芳醇な香りのデコレーションケーキになりますね。特に、香りの強いモモやメロンは生クリームとの相性が抜群です。
ぶどうやスイカなど水気が出やすいものは、サンドするフルーツとしては不向き。生クリームやスポンジが水っぽくなるためです。水気の多いフルーツを使用した場合は、早めに食べきりましょう。
焼き菓子
フルーツを使った焼き菓子を作りたいのであれば、
- ドライフルーツ
- ジャム
など、水分を減らす加工がされたフルーツがベター。
そして、焼き菓子にはバナナも定番ですね。
バナナは焼き菓子に向いていますが、その他の生のフルーツは基本的には不向き。生のフルーツを使うと、焼いている間に水分が染み出しフルーツの周りの生地がベタついたり、水分の含有割合が変わって食感が悪くなったりするからです。
「でもやっぱり、もう少しフレッシュさを取り入れたい」という場合は、先にフルーツにだけ火を入れて、ある程度水分を飛ばしてから混ぜ込んでもいいでしょう。
ゼリー
ゼラチンで作るゼリーの場合、たんぱく質を分解する酵素が含まれているフルーツを使うと、やわらかすぎたり固まらなくなったりするので注意が必要です。
たんぱく質分解酵素を多く含むのは、以下。
- パイナップル
- パパイア
- メロン
- キウイフルーツ
- モモ
- イチジク
- マンゴー
その他、
- レモン
- グレープフルーツ
- ウメ
の果汁も、酸味がとても強いため、やわらかいゼリーになります。
上記のフルーツでゼリーを作りたい場合は、ゼラチンではなく植物由来の凝固剤であるアガーや寒天を使うといいでしょう。ただアガーや寒天は、ゼラチンより少しかたく、口の中でほぐれるような食感になります。
ムースやプリン、ゼリーなどを作るときは、ゼラチン、アガー、寒天などの凝固剤を使います。「結局固まるならどれを使っても同じじゃないの?」と思う方も多いのではないでしょうか。 ですが、ゼラチン、アガー、寒天は、原材料や食感、凝固温度など[…]
変色しやすいフルーツと対処方法
ポリフェノールや酸化酵素が多いフルーツは、空気に触れることで酸化し黒っぽく変色してしまうこともあります。
お菓子作りによく使われるフルーツで変色しやすいものといえば
- リンゴ
- バナナ
- ナシ
- モモ
が挙げられます。
一般的に塩水や砂糖水、レモン汁などで対策することが多いですが、お菓子作りの場合はナパージュを塗るのがおすすめです。
ナパージュは少し甘いゼリーのようなもので、つやを出したり乾燥を防いだりするのが主な役割ですが、空気を遮断するので、酸化を防げます。
見た目がつややかになるのに加えて、冷えると固まるのでカットフルーツの形状を保てるメリットもありますよ。
ナパージュは市販されていますが、少量であれば自作するといいでしょう。
ナパージュの材料
- 水 50ml
- 砂糖 10g
- 粉ゼラチン 5g
作り方
1水にゼラチンを入れてふやかします。
2小鍋に水と砂糖を入れて沸騰させ、火を止めます。
31を加えてよく混ぜます。
4粗熱がとれたらハケでフルーツに塗り、よく冷やします。
フルーツのことを知るとお菓子作りがより楽しくなる!
フルーツの特徴や使い分けを知ることで、お菓子作りの失敗が少なくなるはず。失敗が減ると、ますます楽しくなりますね。
ぜひ、旬のフルーツを使って美味しいケーキや焼き菓子を作ってくださいね。