過去2回でMCTオイルがどんな油なのか、選び方や使い方、注意点などお話ししてきました。
今回はよく問い合わせのあるMCTオイルとココナッツオイルの違いと使い分けについて再確認しておきましょう。
目次
ココナッツオイルとは

まずはMCTオイルの原料の一つでもあるココナッツオイルのおさらいから。
ココナッツは別名ココやし。フィリピンやタイなど、東南アジア諸国で採れるヤシの木の実です。大きな実の中の白い部分、胚乳を乾燥したものをコプラといい、これを搾ったものがココナッツオイル。
精製、脱色、脱臭したRBDグレードのオイルは昔からアイスクリームやチョコレートをはじめとする製菓材料や石けん原料、また化粧品や工業用としても多く使われてきました。
一般の方でも石けんを手作りされる方には定番のオイルですね。

その後、胚乳を乾燥させずフレッシュなまま搾ったエキストラバージンココナッツオイルが輸入されるようになり一時は大ブームとなりましたね。
エキストラバージンタイプはココナッツの甘い香りが残っていますが、精製されたココナッツオイルは香りや癖がなく和食にも使うことができます。脂肪酸組成に違いはありません。
ココナッツオイルの融点は25度前後なので、夏は液状で冬は白く固まるのが特徴です。固まっていたらスプーンなどですくってバターのように使えます。
脂肪酸の90%以上が飽和脂肪酸なので、植物油の中では酸化しにくい油の筆頭格と言えます。加熱調理に使えますが、あまり高温の揚げ物などでは泡が立ちやすいのでご注意ください。
買う時はエキストラバージンタイプなのか、無香オイルかのご確認を。

左からエキストラバージンココナッツオイル・プレミアムココナッツオイル(無香)・ココナッツMCTオイル
ココナッツオイルとMCTオイル、チェックポイントはラウリン酸含有量

ココナッツオイルとMCTオイルを構成する脂肪酸を比べてみましょう。
MCTオイルはココナッツオイルやパーム核油から中鎖脂肪酸(C8カプリル酸とC10カプリン酸)を取り出したものです。
中鎖脂肪酸は長鎖と代謝経路が違い、速やかに吸収、分解され体にたまりにくい、そしてケトン体を産生しやすいことが特徴でしたね。
MCTオイルをご存じですか?アスリートの方のCMなどでご覧になったことがあるかもしれませんね。またダイエットのためにMCTオイルコーヒーを飲んでいる方もいらっしゃるでしょう。 MCTとはMedium Chain Triglyceri[…]
ココナッツオイルにもC8とC10の中鎖脂肪酸がありますが、それ以外も入っています。
特にC12のラウリン酸が多く含まれていますよね。
このラウリン酸ですが、実は中鎖脂肪酸と長鎖脂肪酸のどちらにもカテゴライズされる場合があるんです。今では代謝経路が長鎖脂肪酸の方に該当するとされ、長鎖に入れられることが多いように思いますが、中鎖にカウントすると、ココナッツオイルの中鎖脂肪酸含有量は13.5%から58.1%に大きく変わります。
ココナッツオイルの中鎖分は厳密には13.5%ですのでココナッツオイル=中鎖脂肪酸=体にたまらないと早合点しないようにご注意ください。
ただ代謝は早くないとは言えラウリン酸にも注目です。母乳にも含まれる成分で抗菌、抗ウイルス作用や腸内環境を整える働きもあるとされています。
まさにコロナ禍の今、体調維持のためにも積極的に取り入れたいオイルと言えます。
お料理にはもちろん、鼻腔に塗ったりオイルプリング(うがい)をしたり、マッサージ、スキンケアにも使えます。

MCTオイルとココナッツオイルの使い分け
ちなみにMCTオイルにも抗炎症、抗菌作用などがあります。加熱はできませんが、エネルギー代謝はココナッツオイルより早く液状で固まりません。
こんな時はどちらが向いているかまとめてみました。
ココナッツオイル | MCTオイル | |
運動時のエネルギー補給に | ◎ | |
ダイエット中に | ◎ | |
ボディケアに | ◎ | |
お菓子作りに | ◎ | |
加熱調理に | ◎ | |
ドレッシングや飲み物に | 〇 | ◎ |
MCTオイルは無味無臭のものが多いですが、自然製法で香りが残っているものもあります。またエキストラバージンココナッツオイルは甘い香りがありますが、精製タイプのココナッツオイルは無味無臭。
よく確認して用途に応じて使いましょう。
私は炭水化物が少なめの時は、スープやサラダにMCTオイルを加えエネルギーチャージします。また小腹が減った時、コーヒーにMCTオイルを入れて飲むことも。
ココナッツオイルは、炒め物には無香タイプを、カレーなどスパイスを使った料理やマフィンなど甘い香りを楽しみたい時はエキストラバージンを、という風に使い分けています。
ココナッツオイルとココア、甘味料を混ぜて固めるローチョコレートや、乳製品を使わないヴィーガンバターやケーキ作りにもいいですし、リンゴやバナナをソテーしたり、マンゴーアイスなどフルーツと組み合わせたりしても楽しめますよ。

中鎖脂肪酸を摂りたいけれど胃腸がとても弱いという方は、含有量は減りますが刺激が少ないココナッツオイルを使われるといいと思います。
ダイエットや健康のために摂るならMCTオイル、健康も気にするし加熱調理や甘いものも楽しみたいならエキストラバージンココナッツオイルという感覚でぜひ取り入れてみてください。
焼きはんぺんとゆで卵の明太MCTオイル和え
卵もはんぺんも身近な食材ですが、良質なたんぱく質が摂れます。ミネラルやビタミンも豊富な明太子とMCTオイルをあわせてヘルシーなおつまみにしました。

材料(3~4人分)

- はんぺん 1枚
- ゆで卵(固ゆで) 2個
- パクチー(苦手な方は大葉や葱、スプラウトでも) 1株
<タレ>
- ほぐした明太子 大さじ1
- MCTオイル 大さじ1
- 塩麹 小さじ1~2で調整
商品情報
B.B.CoCo C8 HYPER MCT OIL
https://item.rakuten.co.jp/god-foods/c8-mct/
作り方
1はんぺんを両面焦げ目がつく程度に焼いて一口大に切る。
2ゆで卵も一口大、パクチーは茎の方は細かめに、葉の方はざっくり切る。
3<タレ>の材料を混ぜ、1と2とあわせ、卵の黄身を崩さないように全体を混ぜる。
ポイント
- はんぺんと明太子は塩分も強いので塩味まろやかな塩麹を使いましたが、明太子をもっと使う場合はその塩分だけでも大丈夫です。
- ゆで卵をピータンにするとまた雰囲気が変わりますよ。日本酒、焼酎や紹興酒のお供にもどうぞ。
- 辛いのが好きなら七味唐辛子や山椒を振るといいです。