【かつお・昆布・しいたけ・煮干し】和風だしを使い分けてみよう

【かつお・昆布・干ししいたけ・煮干し】和風だしを使い分けてみよう

料理に奥深いうま味を生み出してくれる「だし」。
“うま味”は甘味、酸味、塩味、苦味と並ぶ五味(5つの基本味覚)のひとつで、味の決め手になるだしは料理に欠かせない存在です。

料理を作る時、私たちは普段から「だし」を使い分けていますよね。
和食には和風だし。洋食ではコンソメ、中華では鶏ガラスープなど。
しかし、特に和風だしは種類が多く、どの料理には何が合う…?と、分からなくなることも多いのではないでしょうか。

今回は和食に合う代表的なだし「かつお・昆布・干ししいたけ・煮干し」の4種に注目してみました。各種のだしが生きる料理も併せてご紹介していきます。

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だしにはそれぞれ、うま味成分が含まれている

だしはかつおや煮干しなどの動物性と、昆布やしいたけなどの植物性に分けられます。

それぞれのだしにおいしさを感じるのは、うま味成分が豊富に含まれているから。
かつおや煮干しなどの魚だしには「イノシン酸」、昆布だしには「グルタミン酸」、干ししいたけのだしには「グアニル酸」。それぞれ異なる風味や味わいがあり、同じ味噌汁でも使っただしによって印象が変わります。

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芳醇な香りと複雑なうま味が特徴の「かつおだし」

削りかつお節からとる「かつおだし」は、うま味成分のイノシン酸が豊富。
芳醇な香りと奥行きのある味わいが楽しめるので、お吸い物や茶碗蒸しなど、淡い味付けの料理におすすめ。かつおのおいしさを満喫できます。

また、野菜との相性も良いですね。シンプルなおひたしやサッと煮などに使うと、野菜のおいしさを引き立ててくれます。

うま味が濃いかつおだしは、2回に分けてだしがとれます。
お湯が沸騰したら火を止め、5分ほど置いて濾したものが「一番だし」。
もう一度お湯を沸かし、先ほどのかつお節を入れたら、今度はごく弱火で5分ほど煮ます。同様にザルで濾したら「二番だし」の完成です。

1リットルのお湯に対し、使うかつお節は30gほど。左が一番だし、右が二番だしです。
風味が強い一番だしは、先ほどのようにお吸い物など、かつおの味を表に出すような料理に。二番だしは穏やかな風味なので、他のだしとの組み合わせや、味噌や醤油と合わせて煮物や炒め物など万能に使えます。

だしをとるのが面倒だなあ…なんて時は、急須や耐熱ガラスのコップ+小さなかつお節パックを使った即席だしも便利です。250mlのお湯に、5gのかつお節パックを入れて5分ほど置くだけ。一人分の汁物を作る時に重宝します。
かつおの香りが残るので、お茶用の急須とは分けて使ってくださいね。

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上品で控えめ。料理にコクをプラスする「昆布だし」

控えめでどんな素材とも相性が良い「昆布だし」。うま味成分のグルタミン酸が含まれており、上品な味わいを感じることができます。

強い主張をしないので、魚や肉などうま味の強い食材と合わせるのがおすすめ。煮物、汁物、つゆの素、鍋物など、さまざまな料理に使えます。

先日ご紹介した変わりおでんのひとつ「あさりだしおでん」にも昆布を使いました。

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暖かくなるこれからの季節は、昆布だしで冷たい豚しゃぶもおすすめ。豚肉のうま味にコクをプラスしてくれます。
醤油やかんきつ類と一緒に昆布を漬けて、自家製ポン酢もいいですね。

だし昆布の主な産地は北海道ですが、同じ北海道でも産地によって特徴が異なります。

例えば、左は北海道の南側、日高地方の沿岸でとれる「日高昆布」。やわらかい食感で海の香りも強く感じられるため、昆布そのものを食べるような佃煮や昆布巻きがおすすめです。
右は北海道の最北端、利尻島や礼文島などでとれる「利尻昆布」。昆布特有のほのかな香りと粘り気があります。クセのない上品な味わいなので、どんな料理にも合います。

鍋でだしをとることもできますが、日常使いするなら水出しが便利。
1リットルの麦茶ポットに昆布10~15gを入れ、冷蔵庫でひと晩置くと、すっきりした味わいの昆布だしが楽しめます。

独特な香りと凝縮したうま味の「しいたけだし」

特有の香りと強いうま味が楽しめる「しいたけだし」。
しいたけは生でもよく食べられますが、生の状態のうま味は昆布と同じグルタミン酸によるもの。しいたけを干すことでグルタミン酸が増えるだけでなく、新たなうま味成分であるグアニル酸が生まれます。

干ししいたけはお湯で戻すと風味が飛んでしまうので、水やぬるま湯で時間をかけてだしをとるのがコツ。ひたひたの水に入れ、浮きを抑えるための落としラップをしてから冷蔵庫で保存します。短時間でだしをとるなら、スライスしいたけを使うのも一案です。

ひと晩以上置くと、しいたけはふっくら。だしも色濃く出ています。
せっかく料理するなら、このどちらも楽しめる煮物がおすすめです。

煮物なら大根やにんじんなど、しいたけだしのうま味をしっかり吸い込むような根菜が合います。また、高野豆腐やがんも、厚揚げなどもいいですね。
そのほか、炊き込みご飯にもぴったり。醤油やみりんにも負けない強い味わいなので、つゆの素にすると独特のおいしさが楽しめます。

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濃厚でパンチのある「煮干しだし」

同じ魚でも、かつおだしとはまったく異なる風味が楽しめる「煮干しだし」。関西では“いりこだし”とも呼ばれています。
ポピュラーなのは「かたくちいわし」ですが、「うるめいわし」や「あじ」、「あご(とびうお)」など、さまざまな煮干しだしがあります。
うま味成分であるイノシン酸を多く含む煮干しだし。濃厚でパンチがあり、どんな料理にも存在感を示すような強さがあります。

そのため、うどんやラーメンなど麺類のつゆに使うと抜群!
味噌との相性もいいので、お味噌汁にもいいですね。

煮干しだしをとる時に悩ましいのは「頭や内臓を取った方がいいかどうか」。たしかに魚の内臓はえぐみや苦みがあるので、取り除いたほうが繊細な味わいになります。

ただ、その苦み自体も味に深みを生み出すうま味の一部。
一度試してみて、苦みが気になるようなら取り除くなど、好みで使い分けてみてはいかがでしょうか。自分で調整できるのも、家庭料理の醍醐味ですね。

煮干しは水出しがおすすめ。昆布や干ししいたけ同様、冷蔵庫でひと晩以上置きます。このまま使うと繊細な味わいが楽しめますし、水出しの水と煮干しを一緒に弱火で煮出すと、より濃厚な味わいになります。

相乗効果でうま味を掛け合わせる「合わせだし」

かつお、昆布、干ししいたけ、煮干し。
これまで、単体でのだしをご紹介してきましたが、よりうま味の強い味を楽しむなら「合わせだし」を試してみませんか。

相性が良いのは、動物性と植物性との組み合わせ。かつおと昆布の合わせだしが代表的ですね。かつおのイノシン酸と昆布のグルタミン酸、異なるうま味成分が掛け合わされ、料理のおいしさをより一層引き立てます。

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味わい深い「和風だし」を楽しく使いこなそう

ちょっと面倒そうに思えるだしですが、水出しなら意外と簡単です。
忙しい平日は顆粒などの便利なだし、休日は自分でとっただしで料理する…など使い分けると、料理の楽しみが増えそうです。
ぜひ色々なだしの種類にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

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