レンコンは食感が楽しい。
あのシャキシャキとした歯ざわりを楽しみたくて、私はよくきんぴらを作ります。うちのきんぴらに欠かせないのは、ゴマ。口の中でシャキッ、プチッと異なる音が響き合うのがたまらない。
薄切りにしてサッとゆでて、キュウリやハムとマヨネーズ和えにするのもいいですな。ここにちょっと辛子を混ぜると、鼻に抜ける香りとシャッキリ食感がダブルで楽しいアテになります。厚めに切って煮れば食感はがらりと変わり、ホクホク、ホックリ。和だけじゃなく、ポトフなんかに入れてもうまい。
レンコンといえば以上のような料理が私の定番でしたが、茨城を訪ねて「おろし揚げ」なる料理を知りました。その名のとおり、レンコンをおろして揚げるシンプルなもの。すりおろして加熱することでほのかな粘りが生まれ、レンコン自体のやさしい甘さが感じられます。レンコンにはこんな魅力もあったんですね……!

「小さい頃、祖母がよく作ってくれたんです。形のあまりよくないものや、小さなものをまとめておろして、素揚げにして。晩のおかずによく出てきましたね」
と、地元のレンコン農家だった方が教えてくださいました。おかずにもいいけど、ビールのつまみにも最高で。ポテトフライがビールに合うのと同じような感覚ながら、芋よりも軽く、胃に重くないのも嬉しいところ。

茨城県は日本一のレンコン産地。国内で2番目の広さを誇る湖、霞ケ浦周辺が栽培に好適で、昭和45年の減反政策を機に転作する農家さんが増えたのだそう。「茨城産のレンコンは肉厚で繊維が細かく、煮もの揚げもの炒めもの、なんでも向くのが特徴だよ」とは生産者さんの談です。
牛久市にある和食料理店『連根屋』のご店主、佐藤栄次さんが実際におろし揚げを作るところを見せてくださいました。
「すりおろしたらざるにとって、軽く水気を切ります。切りすぎると食感が悪くなるので、あくまで軽く。そこに薄口醤油、小麦粉、少々の砂糖を入れて混ぜて、丸めて素揚げします」

ピンポン玉ぐらいの大きさに丸めて、ほどよくキツネ色になったら完成。佐藤さんはアクセントとしてヒジキを混ぜ込まれていましたよ。地元の方々にうかがえば、ニンジンのみじん切りや、鶏ひき肉を混ぜる人も。家々によって様々にアレンジがあるんでしょうな。
「ちょっと平たくして、海苔を巻いて揚げてもおいしいんですよ。あんかけ仕立てにしてね」と佐藤さん。
うーん、聞いただけでたまらない。早速やってみます!
さて今晩のビールはどれにしようかな……?
連根屋
所在地:茨城県牛久市神谷1-6-8
電話番号:029-871-3094
公式サイト: http://renkonya.com/
【当記事につきまして】
ライター白央篤司さんが企画し、掲載許可を得て記事を作成しました。