土地が育む恵み、素朴でふくよかなお豆腐の話 #加藤紀子のおいしい畑

止まらないお豆腐愛、いつでもお豆腐パトロール #加藤紀子のおいしい畑

この連載にお付き合いいただいている読者の皆様なら、ご存知だと思いますが、
私は一旦「好きかも!」と興味を持つと、何事も飽きるまで、もしくは納得するまで、
どこまでも掘ってしまうところがあります。

例えば、フランス音楽が好きになったのをきっかけに「フランス語を学びたい!」なんて留学したり、テレビでの野菜作り番組への出演がきっかけとなって始めた畑はもう9年、山形でのお味噌作りは7年目…。

情熱が!といえば響きは良いけど、ある種の「好きがしつこい人」のような気もしないではないですが、これら以外にも、見かけると無視できず、立ち止まり、しかと味わっておきたいものがあります、それは…“お豆腐”!

木綿、絹、寄せ、油揚げ、豆乳、おから…、どれも素朴な佇まいなのに、ふくよかな味と大豆からの栄養はありがたく、どんな調理にも寄り添ってくれて、全国、行く先々に、その土地が育んだ素材で作られていることの多い、素晴らしい食べ物。
夫が買って帰ってきて一緒に食べるようになり、いつしか私もお豆腐に魅了され、今では夫以上に好きになってしまいました。

一旦お豆腐に意識が行くと、マンションの前を通る車から聞こえるあの笛の音は、お豆腐屋さんの移動販売だ!とか(10年前の渋谷ではそんな買い方が出来てました)、これまで目にも入ってこなかった、商店街のお豆腐屋さんが発見できたり、スーパーのお豆腐コーナーに並ぶ種類の豊富さ、値段の差に驚き、「当たり前に食べていたお豆腐のこと、全然知らずに口に運んでた!」と、いてもたってもいられなくなり、お豆腐の歴史や作り方、調理法などが学べるという、「豆腐マイスター」講座を受講し、2017年に“豆腐マイスター”の資格を取得しました!

豆腐マイスター
(無事、取得した記念に、豆腐マイスター協会代表理事、磯貝氏と一緒に!)

改めて学んでみると、国産大豆一つとっても様々な産地、種類があったり、豆腐を固めるために必要なにがりにも、いくつかのタイプがあったり、大豆イソフラボンが持つエネルギーは女性ホルモンの働きと似ていると学んだり、冷奴が美味しく食べられる温度って一般論では17〜19度だって!と、誰かに教えたくなることを知ったり。

ちなみに、受講後、復習を兼ねて家で大豆を茹でるところから作ってみると、温度管理や軽量、お豆腐1丁仕上げるまでに必要な細かで繊細な作業がいくつもあって、「これまで、とりあえず豆腐買っとくか!その上、なんとなく口に運んでて!」と、全国でお豆腐を作ってらっしゃる方々に全力で「ごめんなさい!」、猛省です。

お豆腐作り

昔は今のコンビニほどの件数があったというお豆腐屋さんは、年々その姿を減らしていっているそうで、せめてもの応援を!の気持ちで、旅やロケ先で“お豆腐パトロール”と称して出来る限り立ち寄り、買える場所では購入するようにもなりました。

おとうふ工房 いしかわ

愛知県にあるお豆腐屋さん「おとうふ工房 いしかわ」さんでは、食べる買うだけでなく、工場見学ツアーに参加したり、

地釜炊き製法

昔から続く地釜炊き製法や、にがりが本島と違うという沖縄の宮古島のお豆腐屋「しまとうふ」さんでは、仕込み中にもかかわらず、いろいろな工程を見せて頂いたり(仲間が海で楽しむ中、私はお豆腐の海に浸るかのよう)。

しまとうふ

こちらは、若い方々が楽しそうに作ってらっしゃった姿が、とても印象的でした!

地元三重県、多気町にある「園田豆腐店」さん。

園田豆腐店

写真の奥様は、ご主人のご両親亡き後、見よう見まねで作り方を学び、今では予約しないと買えない日もあるくらい、遠くからも買いに来るファンの多い人気のお豆腐屋さんなんだそう。
予約して買ったこちらのお豆腐、1丁の大きさと重さがハンパなかった〜。

上口屋

富山県も様々なお豆腐文化があるとのことで、この日は上口屋さんへ仕事終わりでパトロール。

「私の住んでいるところには、どんなお豆腐屋さんがあるのかしら?」
こんな意識でお豆腐が並ぶコーナーに行くと、お豆腐のパックに書かれた商品説明から意外や意外、「え?そこで??」の発見があったりします!
(実際実家の近所にも、とても美味しいお豆腐を作ってらっしゃるお店があり、長年気づいていなかったことを後悔しました)

好きなお豆腐をチョイスして、お塩や醤油で食べるもよし、(にがり成分が生かされているのが塩だから、合わないわけないし、豆腐の原料である大豆を使ったお醤油もまた、合わないわけがない)カボスやわさびで頂くも良し!

肌寒くなってくるこれからの季節には、湯豆腐と一緒にキリリと冷えた日本酒?熱燗?もしくは焼酎お湯割りにしようか… 。
食欲の秋、しっぽりお豆腐で晩酌…が始まると、秋の夜長をより深く、楽しめそう。
さてまずは、どのお豆腐、チョイスしましょうかね??

【関連リンク】

一般社団法人 日本豆腐マイスター協会:https://mytofu.jp
おとうふ工房 いしかわ:http://www.otoufu.co.jp
しまとうふ:https://shimatofu.com/
上口屋:http://kamiguchiya-japan.com/

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