こんにちは、和菓子コーディネーターのせせなおこです。
秋がやってきました!暑さも和らぎ、気持ち的にも少し穏やかな日々を過ごせる季節。ただ、秋がやってくると、今年のゴールが見えるようになって少しさみしくも感じます。
さぁ、今月はどんな1ヶ月が待っているでしょうか。
目次
10月の呼び名「神無月(かんなづき)」
全国の神様たちが出雲大社に集まることから「神が無い月」すなわち「神無月」と呼ばれるようになりました。出雲大社に祀られているのは「大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)」。この神様にはたくさんの子供がいて、子供たちを各地に配置し、国を管理させたといわれています。毎年1回、出雲大社に集まって今年の振り返りや来年の相談をしているうちに他の神様も一緒に集まるようになったといわれています。いわば神様会議。今年はどんな話で盛り上がるのでしょうか。

そんな出雲大社では神様がやってくる期間「神在祭」が行われます。そしてこのお祭りの「神在(じんざい)」がなまり、ぜんざいの由来になったといわれています。だんだん寒くなってくるこの季節、ぜんざいを食べるのにぴったりな気候です。
甘味屋さんに行くと、メニューを見ずに「ぜんざいをください!」と頼むほどぜんざいが好きです。寒い季節はこんがり焼けたお餅がどん!と浮かんだあたたかいぜんざい。暑い季節はアイスがのったクリームぜんざい。あぁ、書いてるだけで食べたくなってきてし[…]
お月見、再び
お月見といえば9月、「中秋の名月」のイメージ。昔は十五夜と十三夜がセットで行われるのが普通で、どちらか片方し見みないのは「片見月」といい、縁起が悪いとされていました。
十五夜は里芋を供えることが多く「芋名月」、十三夜は栗を供えることが多いので「栗名月」とも呼ばれています。

その名前を知った時、食いしん坊な私は「お月見ってそんなおいしい行事だったの!?」とびっくりしました。栗にちなんだお菓子と一緒にお月見を楽しむのも楽しそう。今年の十三夜は10月18日。十三夜を楽しんでみてください。
食欲の秋
スポーツの秋、読書の秋、いろんな秋がありますが、私は毎年迷わず「食欲の秋」です!!たくさん食べられることは元気な証拠!和菓子屋さんでも“いも・栗・かぼちゃ”の秋の味覚が店頭に並びます。見ているだけで癒されます。では早速見ていきましょう。
まずはおいも。最近はさつまいもスイーツが人気です。さつまいも味のお菓子をはじめ、焼き芋が丸ごとスイーツになっていたり、専門店も増えています。
今まで食べた和菓子で印象に残っているのが大阪・末廣堂の「さつま焼」です。もともと住吉大社でさつまいもを配っていたことをきっかけに生まれたお菓子。今では他の産地の方が有名になってしまい、さつまいもは作られていませんが、こうしてお菓子に形を変えて残っています。

このさつま焼で驚いたのは、表面がカリッとした、ふかふかの皮生地。竹串をさして焼いて作られるので、中に空洞ができています。こしあんだけの商品でしたが、本店ではつぶあんとさつまいもあんも購入できます。
さつまいもの形をしているのに、さつまいもを使っていないお菓子は他の地域でも売られています。どうやら昔から、さつまいもは愛されている食べ物のようです。
次に栗。栗の和菓子ときいて思い浮かべるのは「栗きんとん」。おせち料理の栗きんとんではなく、栗とお砂糖でつくられる秋の和菓子です。栗きんとんは、私の出身地の九州ではあまり馴染みのないお菓子です。栗といえば栗の甘露煮、正直あまり得意ではなかったのですが、栗きんとんを初めて食べた時、栗の概念を覆されました。

栗をそのまま食べているような、モンブランの栗の部分だけを食べているような、とにかく存分に栗を堪能できる最高の贅沢。栗きんとん発祥の地である岐阜の中津川や恵那にあるお店では「栗きんとんの解禁日」などもあって、毎年楽しみな行事の一つです。
そして、この時期に旬を迎えるかぼちゃ。さらに最近ではハロウィンの盛り上がりも重なり、和菓子屋さんでもハロウィンのお菓子を見る機会が増えてきました。もともと日本は海外からの文化をうまく取り入れて独自の文化へ育てていくのが上手なので、ハロウィンもいい感じの日本の文化として浸透していくんではないかなと思っています。

さらに、忘れてはいけないのがあずき。多くのあずきの収穫時期は10月はじめ。10月下旬ごろから和菓子屋さんでも「新あずき」の文字を見かけるようになります。北海道のお菓子屋さん「もりもと」では毎年新小豆を使ったボジョレーヌーボーならぬ、どら焼きヌーボーが販売されています。収穫したてのあずきで作った、出来たてあんこ!やわらかくコクがあり、ほくほくとした旬の味わいを堪能できます。

まとめ
待ちに待った秋がやってきました。「食欲の秋」を言い訳に食べすぎないように気をつけなければ…!!10月は比較的行事が少ないですが、行事がない時こそ、ぼーっとゆっくりする時間を作って、空を眺めたり、お散歩に出かけて小さな変化を楽しみたいなと思っています。