肌寒い季節に恋しくなるぜんざいの魅力 #和菓子女子の日記

肌寒い季節に恋しくなるぜんざいの魅力 #和菓子女子の日記

甘味屋さんに行くと、メニューを見ずに「ぜんざいをください!」と頼むほどぜんざいが好きです。寒い季節はこんがり焼けたお餅がどん!と浮かんだあたたかいぜんざい。暑い季節はアイスがのったクリームぜんざい。あぁ、書いてるだけで食べたくなってきてしまいました……。

そんな大好きなぜんざいの記事を絶対に10月に書こうと決めていました。暑くも寒くもない10月になぜでしょうか。さぁ、今回はぜんざいの謎と魅力に迫ります!

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始まりは10月の別名「神無月」にあり!?

和菓子の始まり、歴史を知ることでもっとおいしくなったり、魅力的になるものだと思っています。さて、ぜんざいはどこで、どのように生まれたのでしょうか。

出雲大社
(画像出典)PIXTA

島根県出雲(いずも)にある出雲大社は日本一の縁結びの神様。そして旧暦10月にはこの神社に日本全国から八百万の神たちが集まると言われています。そのため、10月の別名「神無月(かんなづき)」は神様がいなくなってしまうため神が無い月とされ、出雲大社のある島根県でのみ「神在月(かみありづき)」と呼ばれます。なるほど……!

そこで行われるのが、「神在祭(かみありさい)」です。神様をお迎えする神迎神事(かみむかえしんじ)に始まり、旧暦10月11日から17日まで7日間行われます。縁結びや来年の収穫など諸事について神様同士で話し合うんだそう。どんな話をするか想像するだけでちょっとワクワクしますね。また、出雲大社御本殿の両側にある十九社(じゅうくしゃ)は神様たちが宿泊する場所。こちらでも連日お祭りが行われます。そして、最後に神等去出祭(からさでさい)で神様たちを見送り、神在祭は終わりを迎えます。

ぜんざい

さて、これのどこがぜんざいと関係あるの?と思ってしまいますよね。この神在祭の一番最後、神等去出祭では神前に供えていた餅と小豆を一緒に煮て小豆のお雑煮を作り、再び供えるんだそう。これを「神在餅(じんざいもち)」と呼び、“じんざい”がなまり、“ぜんざい”になったのがぜんざいの始まりとされています。

そんな歴史から、出雲はぜんざい発祥の地となり、カフェや喫茶店、お蕎麦屋さんでもぜんざいを楽しむことができます。また、お正月に食べるお雑煮も島根ではぜんざいが食べられるんだとか。う、うらやましい……!!

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地方で異なる?ぜんざいの謎

さらに解き明かしたい謎は、各地方でぜんざいを指すものが違うということ。私の育った九州ではぜんざい=つぶあんの入った汁気のあるもののこと。「じゃあお汁粉は?」と言われると「えっと、こしあん……?」という感じで、お汁粉、という表現はあまり使いません。

さて、初めて関東の甘味屋さんに行った時のこと。メニューに「御膳汁粉・田舎汁粉・御膳ぜんざい・田舎ぜんざい」を発見!「え!お汁粉とぜんざいと4種類あるけど何がなんだかわからない……!!!」と、とてもびっくりしました。

関東のメニュー

関東では汁気があるものを「お汁粉」、汁気のないあんこを「ぜんざい」と呼びます。御膳はこしあん、田舎はつぶあん。そのため4パターンの組み合わせができるわけです。

関西では九州と似ていて、汁気のあるつぶあんをぜんざい、こしあんをお汁粉と呼びます。また、汁気のないあんこを亀山と呼ぶんだそう。これは小豆の産地である丹波・亀山を指す説と大阪で「亀山屋」というお店が出していたぜんざいが大人気だったことからこの名がついたという2つの説があります。

ぜんざい

さらに、沖縄ではまた違ったぜんざいを楽しむことができます。戦後、アメリカから入ってきた金時豆を甘く煮てその上に氷をのせたスタイルで「沖縄ぜんざい」と呼ばれています。また、もっと古くから伝わる「あまがし」と呼ばれるぜんざいもあります。こちらは押麦、緑豆、黒砂糖を使って作られるんだそう。沖縄独特の文化はとても魅力的です。

沖縄ぜんざい
(画像出典)PIXTA
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まとめ

シンプル、と思っていたぜんざいは知れば知るほど歴史があふれてくるとても奥深い和菓子。心も体もほっと温めてくれるぜんざいの季節の到来です。

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