地元・三重で訪れた、私の包丁革命 #加藤紀子のおいしい畑

三重で触れた熱い人、熱い会社 #加藤紀子のおいしい畑

これまで“包丁”に重きを置いてこなかった、私の人生。
「人気のメーカーだし」「お義母さんの形見をありがたく」と、切ろうとしている食材に注目することばかりで、包丁自体に意識が向くことはあまりなく、ひとまず「安全に切れたら、それで十分!だって包丁ってそんな感じでしょ?」な捉え方で長年過ごしてきました。

そんな私に起きた“包丁革命”。

全然違いました…驚くほど、気持ちよいほど軽やかな切り心地!
頑張らず力まず、こうも気持ちよく切ることが出来るなんて!
キッチンに立つのが、料理をするのが、包丁一つでまた楽しく感じられるなんて!!
そんな出会いもあった、地元、三重県でのお話です。

遡ること昨年末、打ち合わせで三重に久しぶりに帰った時、「紀子さん、今の三重にも、熱い人、熱い会社がいっぱいあって、せっかくの機会だし」と、これまた熱き三重県人の小林君がアテンドしてくれることに。

最初に訪れたのは、羽毛専業メーカー『河田フェザー』。
こちら日本はもとより、世界中で人気の羽毛素材メーカーさんで、この日は河田社長自らが工場の中を案内してくださり、羽毛の歴史から、これからの未来に良質な羽毛を残すべくラボではどのような研究を進めているか、また新たに生まれ変わる羽毛のリサイクル工程など、興味深いお話をたくさん聞かせてくださいました。

河田フェザーさん

河田社長に言われて目を閉じ手を差し出していると、気づかないうちに手のひらにはこんもりとした羽毛が。
それほどまでにフワフワと軽いのに、なんと100年以上も使い続けることができる、とても丈夫な素材なんだそう!
「要らなくなったから捨てちゃおう!」ではなく、繰り返し使い続けていくことの豊かさも教わる、嬉しい時間となりました。
河田フェザーさん公式サイト:https://kwd.jp/

そして次に連れて行ってくれたのは、大きな工場のような建物の『鍛冶安大徳』さん。
「ここは数少ない鍛冶屋さんで、五代目が今、頑張ってるんです!」
昔話でしか鍛冶屋という存在に触れたことがなかったので、どのような方かとちょっと緊張気味に伺うと、ココアのような甘さ溢れる佇まいの若職人、赤畠君!

鍛冶安大徳

「作業場ってどこですか?」とさっそく中を見せてもらうと、どこに座ってどう動くのが正解なのか、素人にはさっぱり謎(ごめんなさい)なスタイル。
それでも、『トンカンカンカンカン……』なんて、硬そうな音が聞こえてきそうなアイテムの配置に、「間違いなく鍛冶屋さんなのだな」と、初めて訪れるシチュエーションに、こちらのテンションも上がります。

「すべて、手作業です。便利に機械使うのもいいんですけどねー。生き物と一緒で、熱さなんかでストレスかけた後にはきちんと寝かせたり、でも『寝たままじゃ駄目だ!』って起こしてまた伸ばしたり…。毎日気温も違うし、音を聞いたり触って確認して、最後の最後まで手で研いで仕上げるんです」

鍛冶安大徳さん手作業

この日は火を使っての作業は見られず、口頭でご説明いただくばかりでしたが、赤畠君の言葉と手から「真剣に物作りをする人」が溢れていて、ここで作り出された包丁は幸せだなー…そんな気持ちが心の中に湧いてきました。
そして実際に、仕上がった包丁をいくつか見せてもらうと、さらにびっくり!

包丁

「もしかして、柄の部分って彫ってます??」
柄の素材となるウォールナットを、一本ずつ手で削っていくのだそう。
「この凹凸のおかげで包丁を握っていても、手が疲れにくいかもですね」

包丁って切るときには握るもの…何十年もこんなことにすら気づいていなかった私は、赤畠くんにいろいろ質問する資格があるのか…と思いながらも、実際に包丁を持たせてもらうと、持ち心地は軽く、手の中にすっぽり収まる、完璧な掴みやすさ(口輪の真鍮の美しさもまた魅了ポイント)。


家にはパン切り包丁を含め、五本も包丁がある…
お義母さんの包丁もすこぶる使いやすい…
でも出会ってしまった、赤畠職人が作る包丁で私の野菜を刻んでみたい…。

名入り菜切り包丁

人生初の菜切り包丁、名入り!(反対側には赤畠職人の銘切りも!)
私の一生物として迎えるつもりが、たまたま仕上がったタイミングが誕生日だったからか、熱き男、小林君が「お誕生日に!」とプレゼントしてくださいました!!(一生、より大切に使わせていただきます)

菜切り包丁で刻む

包丁の左右の角度が均等になるよう、何度も調整されているおかげで、びっくりするくらいに切りやすく、調理の腕が上がったような気がしています(あくまでも気がするだけ)。

どんな人がどんな思いで物を作るのか、物が溢れるこの時代の中で、どうチョイスしていくのが自分らしいのか。
顔を見て、耳を傾け言葉を聞いて、心がときめくものに正直に触れていくべきだなあ… なんて。

地元三重で出会えた、素敵な物作りをされる方のおかげで、ありがたくも迎えることが出来た私の“包丁革命”。
「全体で感じるんですよ、包丁のこと」
赤畠職人のこの言葉を心に、畑の野菜をより軽やかに刻んでいけたら…
そしてお家にある羽毛もまた、大切に長く大切に続けていこうとも思います!

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