愛媛県の松山あげ #日本おつまみ漫遊記 vol.11

愛媛県の松山あげ #日本おつまみ漫遊記 vol.11

路面電車が現役のまちって、日本各地にまだまだ結構あるものですね。
私が旅して直接目にしたところで言うと、北海道に富山、福井、大阪、岡山、広島、高知に愛媛、熊本、そして鹿児島。そもそも東京にもさくらトラム(都電荒川線)が走っているし。冒頭の写真は、愛媛県松山市を走る伊予鉄道の路面電車です。クラシックな車両が今も現役、先日取材で松山を訪ねた折に撮ってきました。

松山ってね、いいところなんですよ。市街地の中心に松山城があって、有名な道後温泉も中心部からほど近い。現代的に整備された都市なのですが、そこかしこに過去と繋がれるような風情のあるスポットが残り、全体に悠然とした空気が漂っている。年中気候も穏やかで、散策していて、なんとも気持ちがよくて。瀬戸内海周辺の都市って、独特の穏やかな雰囲気がありますね。

さてそんな松山でも「おつまみ漫遊記」のネタ、きっちり探してきました。

地元名物のひとつに「松山あげ」なるものがあります。豆腐をごく薄く切って油で揚げ、パリパリの状態にしたもの。江戸時代から作られているようで、昔は「干し油揚げ」と呼ばれていたそう。明治時代から続く老舗の『程野商店』さんが昭和39年に地元の名をとって「松山あげ」と名付けられたのだとか。

以前にとある雑誌で、「故郷を離れた東京在住者が恋しがる地元の味とは?」的なテーマの特集を作ったんです。各県100人ほども訊いたでしょうか。そのとき愛媛県人から最もよく挙がったのが「松山あげ」。これ、「味噌汁に入れるもの」として愛されてるんですよ。

「松山あげ」って、汁気を吸うとパリパリの食感がしっとりと変わり、なんともなめらかになるんです。「毎日のように味噌汁に入れてますよ」「地元離れて売ってないのに驚いた」「帰省したらまとめ買いしてる」といった声の多かったこと。私も自分で試してみて以来、ファンになりました。食感がなんとも心地よくて。

今回の松山行では、「松山あげ」を生産されている程野商店のかたに直接お話をうかがうことができました。そのとき教えてもらったのが「ここ最近、松山あげの上にチーズやらのせて、ピザみたいに食べるのが人気あるんです」というお話。

「松山あげ」って、揚げたままのものと、使いやすいよう刻まれたものが売られているのですが、刻まれてないほうをピザ生地代わりにするんですな。

帰って早速やってみたら、おお……確かにいい!サクサクと食感は軽く、胃にも軽い感じがたまりません。「おつまみにピザもいいけど、糖質が気になる」という人にぴったり。作り方はごく簡単、「松山あげ」の上に、とろけるチーズにスライスしたミニトマト、マッシュルームなどをのせ、オーブントースターにかけるだけ。ツナとコーンとチーズもよかったですよ。ビールが進みました。

「松山あげ」、四国以外でも販売されているエリアが増えており、関東のスーパーでも見かけることが多くなってきてます。
「うちから特に営業はしていないんです。口コミが広がって、スーパーの方から注文が入ることが増えてきて。ありがたいことです」とは、程野商店のかたの談。
もし手に入ったらまずは味噌汁の具に、そしてピザ活用もぜひ試してみてください。

程野商店
https://www.matsuyamaage.co.jp/

【当記事につきまして】
ライター白央篤司さんが企画し、掲載許可を得て記事を作成しました。

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