リーガロイヤルホテル（大阪）の直営チョコレート専門店「ショコラブティック レクラ」の人気商品「惑星ショコラ」は、宇宙ロマンの詰まったボンボンショコラ。太陽系8惑星をモチーフとしており、見た目はもちろんお味にも惑星のイメージが反映されています。
惑星チョコは近年人気ですが、元祖とも言えるのがレクラなんですよ。
綺麗で美味しいチョコレートなので天文事情を知らなくても楽しめますが、どうせなら惑星のイメージと共に楽しんでみるのはいかがでしょうか？
今回は、天体への愛をチョコレートで語る回！（※特に続編予定はなし）
星・宇宙好きなら一度は食べたい「惑星ショコラ」のご紹介です。
目次
惑星ショコラとは？
太陽系惑星の名前を太陽から近い順に、水金地火木土天海冥（すいきんちかもくどてんかいめい）、と覚えた方も多いのではないでしょうか。2006年からは冥王星が準惑星となったため、太陽系惑星は全部で8惑星ですね。この8惑星の一つひとつをモチーフに美しいボンボンショコラにしたのが「惑星ショコラ」です。
「惑星ショコラ」は数量限定のチョコレート。「惑星ショコラ」がセットになったのが「惑星の輝き」で、3個・5個・8個のセットがあり、一部オンラインショップからお取り寄せできます。
こちらの8惑星に「太陽」が加わる「太陽系チョコ懐石」もあり。通常は店舗限定でしたが、期間限定で通販可能になることもあります。
また「惑星ショコラ」全般は通年販売ですが、季節ごとの限定も登場します。
レクラ流！美しい太陽系惑星たち
さて、お取り寄せしてみました憧れのチョコ、「惑星の輝き 8個セット」（3,888 円 ／税込 ）！ 銀河を思わせる光沢のパッケージに期待が高まります。
パッケージを開いてみれば、惑星の並びも本物のまま。太陽に近い順に左から右へと並んでいます。それに各チョコレートの見た目もそれぞれの惑星の見た目が反映され、土星にはきちんと輪っかの模様も！
……ん？ いや、ちょっと待って？
「水・金・地・火・木・土・天・海」と並ぶ、ちょうど中央の2惑星になんだか違和感。
茶に白の縞の火星と、赤い木星？
逆では？
置き間違いかな？ と思いましたが、ちゃんとパッケージにもプリントが。
こ、こ、これは……？
星空準案内人である筆者としてはスルーしづらい！と、レクラのショコラティエさんにお話を伺ってみましたところ、
「惑星ショコラの見た目はあくまでも惑星のイメージであり、8個すべて並べたときの全体の色のバランス等を鑑みて、今回の配色・配率となっております」
とのことでした。
なるほど、並べたときのバランス！
星オタクが、実食！
というわけで「レクラさん流の惑星」である「惑星ショコラ」。星オタクが暑苦しく解説しながらいただきます！太陽に近い順から行きましょう。
水星【ココナッツマンゴー風味】
水星は太陽系第1惑星。英名はマーキュリー[Mercury]です。
水星ってどんな星？
太陽に一番近く、太陽系の中で一番小さな惑星です。以前は太陽系最小の惑星と言えば冥王星でしたが、2006年から冥王星が準惑星に分類されるようになったため、現在は太陽系最小の惑星と言えば水星のこと。
もっと水星を語りたい！
水星は運行速度が速いため、ローマ神話の俊足の神メルクリウス（ギリシア神話のヘルメス）の名前からマーキュリーと命名されました。メルクリウスは翼のある靴を履く美青年の姿で表されることの多い神様。彼は芸術の神様でもあるので、水星の平原やクレーターには、ミケランジェロや北斎など芸術家の名前がつけられていますよ。
また西洋占星術では水星は言葉や情報やコミュニケーション能力を表し、今の時代ではインターネットやSNSも水星の管轄です。
水星を食べよう！
「水星ショコラ」はココナッツマンゴー味。柔らかなベージュのチョコレート表面に散る白い斑は、水星表面の多数のクレーターか、それとも水星の両極付近に見られる明るい斑点でしょうか。
ココナッツとマンゴーは伝統的というよりは新しめのお味の組み合わせ、香ばしくもまったりとした柔らかな甘さがホワイトチョコレートでまとまって、なるほど最新情報を司る水星らしい、なんてほんのり笑みが零れます。爽やかなレモンの香りも「足の速い」水星のイメージにぴったりですね。ストレートの紅茶と共にいただきたくなるショコラです。
金星【レモン風味】
金星は太陽系第2惑星。英名はヴィーナス[Venus]です。
金星ってどんな星？
夕方か明け方の空にだけ見られる明るい惑星で、いわゆる「一番星」に見つけられることが多い星。「明けの明星」「宵の明星」とも呼ばれますよ。太陽との角度によってわかりやすく明るさが変わり、最も輝く時期には地面に影が落ちるほど明るくなります。
もっと金星を語りたい！
金星はローマ神話の愛と美の女神ウェヌス（英語読みはヴィーナス。ギリシア神話のアプロディーテー）の星。夜空で最も輝く星であることから、最も美しい女神の名がつきました。（ちなみに惑星以外で夜空で最も輝く星は、おおいぬ座のシリウスです。）
古来より様々な文明においてそれぞれ美女や女神の名前で呼ばれてきた星で、例えばイシュタル（バビロニア神話）、イナンナ（シュメール神話）など美の女神の名前そのままの別名で呼ばれることもあります。また「明けの明星」を表すラテン語と言えばルシフェル（ルシファー）、堕天使の神話が有名ですね。
清少納言の「枕草子」第254段の星綴り、「星はすばる。ひこぼし。ゆふづつ。よばひ星、すこしをかし。」と書かれている「ゆふづつ（夕星）」は、宵に見える金星のこと。西洋占星術では愛と美、芸術や豊かさを司ると言われる優雅な惑星です。
金星を食べよう！
そんな「金星」は、夕焼けをマーブルにしたようなオレンジとイエローの綺麗な表面。ベースはホワイトチョコレートです
そのままアクセサリーにしたくなるほど綺麗な外見はもちろん、ホワイトチョコレートの柔らかな甘さの後にレモンのフルーティな酸味がふわりと広がる味わいは、エレガントでとっても女性好み。まさに「愛と美の惑星」金星をイメージしたショコラという気がします。このチョコレートは、優雅な昼下がりに、シャンパンと一緒にぜひ。
地球【カカオ風味】
太陽系第3惑星と言えば地球！英名はアース[Earth]、またはガイア[Gaia]とも。
惑星ショコラには地球ももちろん入っています。（ちなみに月は地球の衛星なので、太陽系8惑星には含まれません）
地球ってどんな星？
地球が青く見えるのは、地表の約7割を覆う海が青色以外の光を吸収するから、そして大気の微量な粒子や塵が太陽光の青色のみを散乱させるから。
海の青が空の青をも重ねて映すため、透き通るような深味のあるブルーとなるのですね。宇宙から見て白い部分は雲、隙間に見え隠れする茶色は大陸です。
もっと地球を語りたい！
アースとガイアはどちらも訳せば「地球」ですが、実はちょっとニュアンスの違う言葉。アースは「大地、地面」をも意味する、いわゆる惑星としての「地球」。ガイアとは地球全体を一つの生命体と考える「ガイア理論」に基づいた語で、自然環境と生物体系が相互に影響し活動する場としての地球を指します。
ガイアの語源は、ギリシア神話で最古の大地の女神と語られるガイア。ガイアと同一視されるローマ神話の大地の女神テラは、大地や地球を意味するラテン語「テラ」の語源です。
また西洋占星術は地球から見える他惑星や星の配置で占うので、占星術上では、地球はあなた自身を表す惑星となりますよ。
ちなみに「地球は青かった」というガガーリンの有名な名言は、正しくは「空は非常に暗かった。一方、地球は青みがかっていた」だったそう。
地球を食べよう！
地球をモチーフとしたボンボンショコラなら、やはり期待するのは青に白のマーブル。白くかすれた雲が棚引く様を表した美しいチョコレートでしょう。レクラさんの惑星ショコラは、その期待を裏切りません。作り方の想像もつかない美しさ。
全8種類の惑星ショコラの中でも、三色の色彩で表面が彩られているのは地球だけです。
「地球ショコラ」はカカオ風味。チョコレートの原材料はもちろんカカオ、つまりチョコレート本来の風味を楽しめる、王道なプレーンショコラです。
印象は、ややミルクチョコレートよりのチョコレート。カカオが濃すぎず、かと言って甘すぎず、しっかりとしたチョコレート感を楽しめますよ。
チョコレート専門店の醍醐味を味わうなら、イチオシはこれ！
火星【へーゼルナッツ・オレンジ風味】
火星は太陽系第4惑星。英名はマーズ[Mars]です。
火星ってどんな星？
火星は表面が鉄分の多い赤土であるため赤く見え、レッド・プラネットとも言われます。火星は他惑星と比べ、生命生存の可能性が高いと考えられている惑星。火星に生命がいた・いる可能性はまだ調査中ながら、現在では火星には四季があり、雲があり、雪が降り、地下に氷もあることが判明しています。
もっと火星を語りたい！
火星の英名マーズの語源は、ローマ神話の戦争の神マルス（ギリシア神話の軍神アレス）。火星が真赤な惑星であることから、火や戦いが連想されたためです。また西洋占星術では、火星は積極性や活力を表す星。情熱的な恋愛なども火星の管轄です。
なお戦争の神と言えばローマ神話の女神ミネルヴァ（ギリシア神話のアテ－ナー）も有名ですね。神話では、ミネルヴァは知恵・芸術・工芸などと共に戦略としての戦争を司る女神、マルスは戦闘時の狂乱を神格化した戦いの神と言われています。
火星は映画の題材になることも多く、近年ではマット・デイモン主演の「オデッセイ」が大ヒットしましたね。余談ながらNASAが全面的に協力したこの映画では、過去の火星探査で無人探査車が撮影した実際の映像も使われているとか。
火星を食べよう！
レクラさんの「火星」はへーゼルナッツとオレンジ風味。チョコレートとオレンジ、美味しいに違いない王道の組み合わせに、ヘーゼルナッツの香ばしさが加わっているのです。
甘すぎないチョコレートに大地の実りであるナッツの風味、爽やかに甘くフルーティなオレンジ。甘くて香ばしいので、ワインと合わせていただきたくなるチョコレートです。
木星【バニラ風味】
木星は太陽系第5惑星。英名はジュピター[Jupiter]です。
木星ってどんな星？
太陽系の中で最も大きな惑星です。
木星は表面に縞模様が見えるのが特徴で、これは木星の雲が見えているもの。たくさんの衛星があり、特に大きな4つの衛星は、地球からも望遠鏡で比較的簡単に見ることができますよ。この4つの衛星は発見者にちなんで「ガリレオ衛星」と呼ばれています。
もっと木星を語りたい！
西洋占星術では拡大と発展・チャンスと可能性を司り、ラッキースターと呼ばれる木星。英名「ジュピター」はローマ神話の最高神ユピテル（ギリシア神話のゼウス）が語源です。と言えば、ホルストの組曲「惑星」の「ジュピター」や、同曲をアレンジした平原綾香さんの歌、モーツァルトの組曲41番などが思い出される人も多いのではないでしょうか。（なお私の愛するBUCK-TICKの曲にも「JUPITER」があります。名曲）
なお、最高神ユピテルの名がつけられたのは、木星が太陽系惑星の中で最も大きな惑星であったため。2013年には、木星の内部に液体ダイヤモンドの海がある可能性が発表されました。なんとも幻想的でときめきますね！
木星を食べよう！
レクラさんの「木星」はバニラ風味。ブランデーが効いている大人のお味です。とは言えお酒はそこまで強すぎず、あくまでチョコレートが主役、そのためバニラの甘く華やかな風味が引き立つという感じです。
星マニアとしては実際の見た目に近い火星を連想してしまうのですが、情熱的な火星のイメージとしてもバニラとブランデーがマッチし、とってもロマンティックではないでしょうか。合わせるなら濃いめのコーヒーがおすすめ。
土星【ラムレーズン風味】
土星は太陽系第6惑星。英名はサターン[Saturn]です。
土星ってどんな星？
土星は太陽系惑星の中で、木星の次に大きな惑星。
土星の環は肉眼では見えませんが、望遠鏡などで手軽に観測できます。この環の成分は、ほとんどが直径数cmから数mの氷の粒。その他に全部で82個の衛星が確認されており、太陽系で最も衛星の多い惑星でもあります。（2019年10月現在。ちなみに二番手・木星の現在確認されている衛星は79個ですが、どちらもまだまだ見つかりそうな気配）
もっと土星を語りたい！
土星の英名サターンの語源はローマ神話の豊穣の神サートゥルヌス（ギリシア神話のクロノス）。なおサターンと言うと悪魔を連想しがちですが、そこは全く関係ありません。ちなみに神戸の異人館の一つ「山手八番館」にある、願いを叶えてくれる椅子として有名な「サターンの椅子」のサターンもこのサートゥルヌス神のこと。豊穣の神様が願いを実らせ叶えてくれる椅子と言われていますよ。
土星はくすんだ黄色に見えることから、土や農耕を連想し、豊穣の神の名がつけられたと言われます。また名付けられた当時に発見されていた惑星は水・金・火・木・土の5惑星のみでしたが、この5つの惑星の中で最も天体の運行速度が遅かったことから、年老いた神の名がつけられたとも。
西洋占星術では、土星は試練と安定の星。時間を司るのも土星です。
土星を食べよう！
特徴的な輪っかまで再現されている「土星」はラムレーズン風味。ホワイトとスイートのブレンドチョコレートにレーズンが加わり、ラム酒の香る大人のチョコレートです。まさに濃厚なラムレーズンという感じなので、ラムレーズン好きにはぜひおすすめ！逆に小さな子にはおすすめしません。
こちらのショコラでは、土星の司る大人の落ち着きが、時間を経て熟成されたお酒ならではのほろ苦く艶やかな風味に現れているようで、魅力的な大人の世界を味わえますよ。フルーツティーと合わせてみるのも美味しそう。
天王星【ミルクティ風味】
天王星は、太陽系第7惑星。英名はウーラヌス[Uranus]です。
天王星ってどんな星？
クリームがかった青緑色の神秘的な惑星で、太陽系惑星の中では木星・土星に次いで3番目の大きさ（半径）です。
天王星と次にご紹介する海王星は、見た目も構成物質もほぼ同じ、氷や水で形成された惑星。メタンが多いために惑星が青く見えるのですが、このメタンが高温と高圧により変換されるため、惑星内部にはダイヤモンドが降り注いでいると言われています。
もっと天王星を語りたい！
天王星の語源はギリシア神話の天空神ウラノス。ローマ神話では天空を守護する神カイルスと同一視される神様です。
天王星は近年（1781年）に発見されたばかりの、天文史的には新しい惑星。惑星自体が古来より神様に例えられてきた水・金・火・木・土の5惑星と違い、この5惑星にのっとる形で神様の名前から名付けられました。天空神の名となったのは、惑星が青く美しいことから。
実は太陽系の地球以外の惑星のうち、ローマ神話でなくギリシア神話の神様が語源となっているのはこの天王星だけ。これは命名当時、ローマ神話の天空神カイルスは神として印象が薄くなっていたためではないかと言われています。
西洋占星術では、天王星は魔術師の星。変革や変容を司りますよ。
天王星を食べよう！
「天王星」はミルクティ風味。ホワイトチョコレート・ミルクチョコレート・スイートチョコレートの3種類をブレンドしたチョコレートに、高級紅茶であるウバの香りと風味が加わっています。3種ブレンドのチョコは柔らかめの優しいお味ながらなかなか濃厚。チョコレート感を味わえて、しかも後味が爽やかなので、誰にでもいただきやすいチョコレートです。
数種類のチョコレートに紅茶まで加わりながら、幾つもの風味が合わさるのではなく、しっかりとした1つのチョコレートの風味に産まれ変わっているボンボンショコラ。魔術師の星・天王星をイメージしたショコラは、魔法のようなチョコレートです。バランスが良いのでどんな飲み物とでも合いそうです。
海王星【カプチーノ風味】
海王星は太陽系第8惑星。英名はネプチューン[Neptune]です。
海王星ってどんな星？
太陽系惑星で一番外側を公転しているのが、海王星。
海王星の方がやや小さい（質量は海王星の方が上）というだけで見た目は天王星とそっくりですが、天王星は地球から肉眼で観測することができ、海王星は肉眼では見えないという違いがあります。
もっと海王星を語りたい！
語源はローマ神話の海神ネプトゥーヌス（ギリシア神話のポセイドン）です。発見されたのは1846年で、これは日本の歴史で言えば、明治天皇の父・孝明天皇が即位された年。天文史の感覚で考えると、ついこの間という感じがします。
海王星は肉眼では観測できない惑星。天王星の軌跡の変化から未知の惑星の重力の存在が予測されたことから、望遠鏡にて発見されました。太陽系において唯一、予測によって発見された惑星なのです。
命名は天王星と同様、他の惑星にならう形で神様の名前をと考えられたもの。青く美しいことから海の神様の名前が名付けられました。
西洋占星術では神秘の星とされ、夢や直感など眼に見えないものを司ると言われています。
海王星を食べよう！
「海王星」はカプチーノ風味。苦みはないけれど旨みがしっかりと味わえる深煎りコーヒーの風味は、チョコレートと相まって濃厚な味わいに。最後に感じられるシナモンの香りはそのまま残り、長く余韻を感じられるチョコレートです。
心を落ち着かせてくれるコーヒーと、瞑想を誘う香りと言われるシナモンは、神秘の惑星・海王星にぴったりですね。赤ワインと合わせたら濃密なスイーツタイムが過ごせそう。
ショコラブティック レクラ
住所：大阪市北区中之島5-3-68 リーガロイヤルホテル1階
TEL： （06）6448-1121（ホテル代表） / （06）6441-1308（直通）
営業時間：※季節により営業時間が異なります。
［4月1日～9月30日］ 11：30～18：30
［10月1日～3月31日］ 11：00～19：00
公式サイト： https://www.rihga.co.jp/osaka/leclat/
【当記事につきまして】
hitotema編集部が企画、ライター陽月よつかさんが購入・体験し、掲載許可を得て記事を作成しました。
