暑い日に食べたくなるアイスクリーム。最近では冬でもアイスを食べる方が増えてきて、夏に限らず1年中楽しめるスイーツになりましたが、やはり夏は消費量が増えますね。
ただ、おいしいものはカロリーや脂質が気になるところ……。
またアレルギーっ子にとって、『アイス=卵・乳製品たっぷり』なので、食べたくても食べられないことも多いんです。
気兼ねなく食べることができて罪悪感がなく、アレルギーっ子も美味しく食べられるアイスはないかなー?と思っていたら、なんと!ありました!!
しかも、女子柔道金メダリストの松本薫さんがセカンドキャリアとして選んだアイスクリーム店ということで、これは気になります!
松本さんのお勤め先である「Darcy’s(ダシーズ)」様に取材をお願いしたところ、快諾してくださいました。
今回は、Darcy’sを運営されている株式会社ジャスビコ事業運営本部の柴原周さんと松本さんご本人にインタビューさせていただきました。
アレルギーフリー料理研究家として、アレルギーっ子のママとして、そして1人のアイス好きとして、気になることを全部聞いちゃいました!
目次
Darcy’sはこうして生まれた
2019年2月東京富士大学構内にオープンしたDarcy’s。柔道金メダリスト松本薫さん立案の、
- 美味しくて、
- 毎日食べられる、
- ギルトフリーな、
アイスクリームを製造・販売しています。
ギルトフリーとは、guilt(罪悪感)とfree(無い)を組み合わせた言葉。
つまりDarcy’sで作っているのは、
- 身体に悪いものが入っていない
- 食べることが身体にプラスになって
- 罪悪感を持たずに食べられる
アイスクリームなんです。
さあ、秘密に迫っていきましょう!
事業担当者の柴原さんにインタビュー
――そもそもなぜ、松本さんはアイスクリームを作ろうと思われたのでしょう?
柴原さん「元々現役時代からアイスが大好きで、それが知られていたため、行く先々でアイスやパフェが出てきたそうです(笑)。ただ、食べてしまうと糖分や脂肪分が多いので余分な肉がついてしまい、ぜい肉になってしまう。また筋肉が痒くなったりすることもあったとか。そうなると試合にも影響が出てしまうので、食べたくても食べられないという思いをずっとしてきた経緯があります」
――それはツラい……!
柴原さん「それならばギルトフリーで食べられるアイスを作ろう!ということで、現在の形になりました。ギルトフリーの視点から言うとシャーベットもありますが、アイスのほうが冬でもこたつに入って食べる人も多いですよね。よりたくさんの方に広げたい思いもあり、アイスになりました」
大好物も現役時代の身体づくりに影響が出てしまうから食べられない……その想いを引退後、形にされたのですね!確かに寒い日にシャーベットは食べる気にならないです(笑)。
――ブランド名もおしゃれですが、どんな由来があるのでしょうか。
柴原さん「日本の独自文化である『出汁(だし)』から取っています。出汁は世界に誇れる文化ですよね。同じようにアイスも世界に広げていきたいという思いがあって、ダシーズになりました。ただ、ローマ字に変換すると『dashi』になります。これだとアイス屋さんっぽくないということになり、現在の『Darcy’s』になりました。今後、出汁を使ったアイスも開発していきたいと考えています」
出汁を使ったアイス!想像がつきませんが、今から楽しみですね。
――素朴な疑問で……なぜ、東京富士大学の構内にお店があるのでしょうか?
柴原さん「弊社のオーナーが東京富士大学から企業経営者による実践的な講義のオファーを頂き、 『学生に実際のビジネスの立ち上げから経営までを体験させてあげたい』 との思いから、経営学をより深く学ぶ実践の場として大学構内にアイス店を作りました」
――そういえば、「研究所」ですね?
柴原さん「そうなんです。実は店舗ではなく『研究所』です。 アイスを売るには?家賃はどうする?衛生管理は?収支計算は?など、 ダシーズのリアルな店舗運営を題材にして、ビジネス体験をしてもらっています」
授業の教材が実際に運営している店舗って、すごく贅沢な環境ですね。
ますますアイスクリームのことが気になります!
美味しさの秘密
乳製品・小麦・白砂糖・トランス脂肪酸不使用で作られているDarcy’sのアイスクリーム。さらに増粘剤や乳化剤も使われていないという徹底ぶり。使われている食材にはオーガニック食材も取り入れられています。
――安心して食べられるアイス作りへの愛を感じますね。
柴原さん「アイスのトッピングに使われているクッキー生地も手作りです。もちろん乳製品・小麦・卵不使用ですよ」
アレルギーがある人にとっても、これは嬉しすぎます!
砂糖にもこだわり満載!
Darcy’sのアイスクリームでは、白砂糖の代わりに北海道産のてんさい糖が使われています。てんさい糖はミネラルが豊富で、血糖値が急上昇しないなど様々な効果もあります。さすがアスリートも安心して食べられるだけあって考えられていますね!
でも素朴な疑問がまたここにも……。
――白砂糖の代わりになる甘みとして、てんさい糖以外にもいろいろあると思うのですが、なぜてんさい糖なんでしょう?
柴原さん「今まで試作としてアガベシロップやはちみつ、黒糖、メープルシロップなどでも試してみました。まずアガベシロップはコスト的な問題があったのと、黒糖やはちみつ、メープルシロップはそのものの味が主張しすぎてしまい、アイスクリームにしたときにフレーバーの味を邪魔してしまうんです。それもあり、白砂糖の代替えとしててんさい糖を使用しています」
――それぞれの味の邪魔をしないところまで計算されているんですね。さすがです!
柴原さん「アガベシロップに関しては、フレーバーによって使用している商品もありますよ」
乳製品・小麦不使用でもおいしい秘密
アイスクリームは舌触りが命。製造過程での空気の含有量によって、舌触りが変わってくる繊細なスイーツです。また乳製品を使用しないで作る際、一般的には増粘剤や乳化剤を入れてなめらかさを出します。
――でも、それらは使われていませんよね?
柴原さん「アイスのねっとり感をココナッツミルクで表現したり、アガベ由来のイヌリン(植物由来の食物繊維) を使ったりして工夫しています。 また、製造にはジェラートの本場イタリアから輸入した業務用最高級製造機を使用しているので なめらかに仕上がるんです」
業務用最高級製造機!
家庭ではマネすることのできないアイスクリームになるはずですね!
アレルギーにも配慮されたアイスクリーム!
さて、ここまででDarcy‘sのアイスクリームの素晴らしさを存分に知ったのですが、気になるのはやはりアレルギー対応のこと。思い切って聞いてみました!
――材料や食感へのこだわりを知れて、ますます食べたくなっているのですが、アレルギーっ子を育てている親としてはアレルギー対応のことが気になります。製造工程におけるコンタミネーション対応はいかがでしょうか。
※コンタミネーション=混入という意味で、一般的にはアレルギー物質が意図せず混入してしまうことを指します。
柴原さん「全フレーバーを機械1台で製造していますが、フレーバーが変わるたびに洗浄し、除菌を行っています。また、そもそも乳製品の代わりに豆乳やココナッツミルクを使用していますので、乳製品のコンタミネーションは特にご安心いただければと思います」
なるほど。乳製品のアレルギーの方は安心ですね!そういえば、1つだけ卵を使用したアイスがありますが、いつか卵不使用になる可能性はありますか?
柴原さん「『豆乳焦がしキャラメル』ですね。卵黄を使用していますが、コクと柔らかさを出すためにどうしても必要でした。実は卵不使用でも作ってみたのですが、製品としてその時点では満足いくものができず、出すことができませんでした。ただ、現在また開発中ですので楽しみにしていてください! 」
それは朗報!卵不使用の豆乳焦がしキャラメルが食べられる日も近いかも⁈
とても楽しみです。
――お店にはアレルギーを持つ方やアレルギーっ子もよく来られるのですか?
柴原さん「はい、すごく多いです。皆さん雑誌やテレビを見て知ってくださり、ご来店いただいています。アイスを初めて食べた!と感動されているので、私共も嬉しいです。お子様連れの方も多いですよ。店頭では、フレーバー毎にディッシャーを水で洗浄してコンタミネーションにも配慮しています。アレルギーは命に関わるので、スタッフ一同気を付けています」
細かいところまで気を配ってくださっているなんて!安心して行けますね!
――店舗ではカップの他にコーンは選べるのですか?
柴原さん「現在はカップのみの提供です。ただコーンもご要望をいただいておりますので、ギルトフリー・アレルギーフリーのコーンを現在開発中です」
おお!コーンには卵や乳製品・小麦が使われていることも多いので、 アレルギーっ子は食べられる機会も少ないのです。憧れのコーンがそのうち食べられるようになるかも!まさに夢のようですね。
――通信販売もされていますので、全国のお子さんが食べられるのも嬉しいですね。
柴原さん「ご好評をいただいており、現在約2ヶ月待ちの状態になってしまっているのですが……」
大人気なんですね!
お忙しい中、お時間をいただきありがとうございました。
いざ、アイスクリームを実食!
今回、7種類のアイスを試食させていただきました!各フレーバーのお味をレポートします。アレルギーっ子の7歳長男、アレルギーのない4歳次男と一緒に食べてみましたよ。
プレミアムココナッツミルクチョコクッキー
特定原材料28品目表示:アーモンド
有機JAS認定のココナッツミルクを使用した、深く優しい味わいのアイス。ココナッツミルクって油っぽいイメージがありますが、濃厚なのにすっきりした味でいくらでも食べられます。
ココナッツの香りとほろ苦いチョコクッキーがアクセントになっています。アレルギーの心配なくチョコクッキー入りのアイスが食べられるなんて夢のよう!
長男「チョコクッキー食べたことなかったから、食べられてうれしい!初めて食べられた~!」
チョコミントココナッツミルク
特定原材料28品目表示:なし
プレミアムココナッツミルクをベースに、有機JAS認定のチョコミントを練りこんだ一品。チョコミントアイスのイメージが緑色だったので、蓋を開けた時「あれ?白い」と思いましたが、それは添加物や着色料を使っていない証拠!はじめはココナッツ味ですが、ミントの香りが鼻から抜けて後味爽やかなお味です。チョコのつぶつぶ食感も楽しい。
長男「スースーする~!これもチョコレート入っててうれしい」
次男「お鼻がすっきりするね~」
豆乳焦がしキャラメル
特定原材料28品目表示:卵・大豆・アーモンド
その他アレルギー表示原材料:ヘーゼルナッツ
ひと口目、思わず原材料表示を確認してしまったほど!乳製品不使用なのに、濃厚なおいしさと食感が楽しめるアイスです。砕いたヘーゼルナッツがゴロゴロ入っていて、商品名の通り焦がしたキャラメリゼの味と香りが楽しめます。1年中食べたくなるアイスです。
次男「キャラメル味おいしいね~ツブツブ(ヘーゼルナッツ)のところちょうだい!」
※この商品のみ卵が使用されていますので、卵アレルギーの方はご注意ください。
パクチーキウイ
特定原材料28品目表示:キウイフルーツ・リンゴ
蓋を開けた瞬間、パクチーの香りが広がります。でも実は私、パクチーが苦手なのです(笑)。ビタミン豊富と聞き恐る恐る食べてみたのですが……。お口の中全体にパクチーが広がり、ひと口で断念してしまいました。申し訳ない!
でも、パクチー嫌いが食べられないということは、パクチー好きな方にはたまらないはず!
キウイがベースになっているのと、油分も一切使われていないので、後味はすっきり美味しいなと感じました。お酒を飲んだ後、大人のデザートにもよさそうです。
長男「うっ……これは……苦手。お茶~!」
次男「(ニコニコしながら)おいしいよ」
こちらは、次男が美味しく完食させていただきました!
ル・ショコラ
特定原材料28品目表示:大豆
有機JAS認定オーガニック豆乳をベースに、豆腐を加えた濃厚なチョコアイス。
豆腐臭さはまったくなし!カカオ70%のアガベチョコレートを使用しているので、本格的なチョコアイスとなっています。舌触りもねっとりなめらか。これまた乳製品が本当に使われていないのかラベルを確認した一品です。チョコアイスデビューのお子様にもぜひ食べていただきたい逸品です。
長男「え!チョコなのに食べられるの?食べても大丈夫なの?(ひと口食べて)これヤバイ!一番おいしい!」
いちごソルベ(1~5月の期間限定販売)
特定原材料28品目表示:なし
季節限定のためオンラインショップでは販売終了となりましたが、今回特別に試食させていただきました!
とっても鮮やかな赤色は、生産者さんが愛情たっぷりに育てた新鮮ないちごを贅沢に使用した天然の色。お口いっぱいにいちごの甘酸っぱさと香りが広がります。いちご・てんさい糖・レモンのみで作られているので、小さいお子様にも安心して食べさせてあげられますね!
ぜひ、季節になったら味わっていただきたいアイスです。
長男「いちごの味がちゃんとするし、食べやすいから好き!」
次男「赤色がかわいいから好き~イチゴ味好き~」
一番抹茶
特定原材料28品目表示:大豆
この抹茶アイスは普通の抹茶アイスではありません!抹茶のほろ苦さとお茶の深い香りが楽しめる、香り豊かな抹茶アイスです。それもそのはず、日本で第一番目に有機JAS認定を受けた静岡茶が使用されています。食感もしっとり濃厚。冬の日に暖かいお部屋で、緑茶を飲みながら食べたいアイスです。
長男「 お茶!!ちょっと苦いけど、高級なお茶って感じ 」
次男「抹茶苦手~」(その後、舌が緑になると思って鏡を見に行く)
アレルギーフリー料理研究家としての感想
生クリームや牛乳を使わないアイスクリームって、お家で作るとどうしてもシャーベットのような食感になってしまうんですよね。Darcy’sのアイスを試食してみて、シンプルな材料でこの食感を出せていることに本当に驚きました!
柴原さん「家庭でアイスを作る時は、とにかく空気を含ませること!」
だそう。少しでもマネできるポイントがあるのはうれしいですね!
また、なめらかな食感を出すためのイヌリンも知らない食材だったので、アレルギー対応で食感を近づけるアイテムをまたひとつ知れて、とても勉強になりました。お家で作るときには、寒天パウダーで代用してみようかなと思います。
何より、アレルギーっ子の長男が食べたことのないフレーバーも嬉しそうに食べている姿を見て、親として感慨深いものがありました。
いつかお店にも足を運んでみたいです!
松本薫さんからのメッセージもいただきました
ここまでDarcy’sのアイスクリームについて詳しく伺ってきた私ですが、やはり松本薫さんにもお話を伺ってみたい!と思い、厚かましくも取材をお願いしたところ……なんとOKのお返事が!
昨年末に第二子をご出産され、ますます仕事に子育てにお忙しい中、いろいろお話を聞いてみました。
――現役時代からアイスが大好きだったけれど、体形維持のために制限されていたと伺いました。食べたい気持ちと食べてはいけないという気持ちの感情を、どのようにコントロールされていたのでしょうか?
松本さん「小さい頃からアイスが好きだったので、我慢というより、食べられるアイスを食べていました。かき氷系を食べたり、カロリーOFF低糖質アイスなどです。だけどやっぱり甘くておいしいアイスが食べたかったです」
食物アレルギーを持つ方も境遇は違えど同じ葛藤があるので、食べたい気持ちよく分かります……。
―― お店では日々どのようなお仕事をされていらっしゃるのでしょうか?店頭で会えたりもしますか?
松本さん「育休前は、皆と一緒にアイスを作ったりしていました。もちろん店頭に立っている時もあるので、お店で会える時もありますよ」
そうなんですね!いつか実際にお店にも行ってみたいです。
―― Darcy’sの中で今一番のお気に入りフレーバーをぜひ教えてください!
松本さん「ル・ショコラが一番のお気に入りです。まさかだと思いますが、豆腐を使うことで高たんぱく低カロリーになっています。私自身チョコがとても大好きなので、あっさりではなく濃厚でリッチなところが気に入っています」
おいしくて栄養も摂れてカロリーも低いなんて、夢のようなアイスですね。
長男のお気に入りと一緒!
――松本さん自身2人のお子様を育てているママとして、ご家庭での食育や妊娠中のおやつとして、Darcy’sのアイスクリームをどのように役立てていらっしゃるのでしょうか?
松本さん「娘が風邪をひいてごはんが食べられない時でも、アイスだけは食べられました。原材料にこだわって作っているので、安心して与えることができました。安心というのは一番の心と体の栄養だと思います」
こだわって作っているからこそ、体調を崩した時にも安心してあげられるのですね。
――最後に、食物アレルギーで好きなものを食べられない方や、アレルギー持ちのお子様・親御さんへメッセージをお願いいたします!
松本さん「食べたいのに食べられないのは、本人も親も辛いと思います。代用で食べてもおいしくないと、ますます悲しい気持ちになると思います。そのような方々に1人でも笑顔になってもらえるよう、こだわりのおいしいアイスを作っていきます。一緒に頑張りましょう!」
松本さんからそう言っていただけると、アレルギーと向き合う力がますます湧いてきました!お忙しい中、取材にお答えいただきありがとうございました!
身体にも優しくアレルギーがあっても美味しく食べられるDarcy’sのアイスクリームで、心もお腹も満たしていきたいですね!
Darcy’s基本情報
住所:東京都新宿区下落合1-7-18(東京富士大学五号館1F)
公式サイト:https://darcy-s.com/
オンラインストア(ベネちゃんSHOP)https://benechan.shop/author/darcys/
【当取材記事につきまして】
hitotema編集部が企画、ライター野田真実が取材依頼し、試食させていただいて記事を作成しました。