歯は筋肉のように鍛えて強くすることができません。でも、鍛えることができない歯を、強くする方法はあります。
それは、食べ物です。
歯の栄養になる食材を摂ることで、歯を丈夫にすることができるのです。
今回は、虫歯になりやすく、もっと歯を丈夫にしたいと考えている方におすすめする食べ物をご紹介していきます。
目次
歯は何でできている?
歯は主に2つの物質からできています。1つは、エナメル質。エナメル質は、歯茎から上の部分のことで、食べ物を噛んだり、すり潰したりするところです。2つ目が、象牙質です。象牙質は、エナメル質の一層下にあって、歯髄(歯の神経)を守る役割もあります。エナメル質と象牙質が、どんな成分で出来ているのかを、次で簡単に説明していきます。
エナメル質
エナメル質の約97%が、ハイドロオキシアパタイトというリン酸カルシウムで出来ています。また、歯のダイヤモンドと言われるくらいエナメル質は、非常に硬い性質を持っています。虫歯菌からの攻撃を一番最初に受けるのが、エナメル質です。そのため、エナメル質が虫歯菌が出す酸に強くなることが、虫歯の進行を遅らせることに繋がります。
象牙質
象牙質の約70%がハイドロオキシアパタイト、残りがタンパク質とコラーゲン繊維から出来ています。また象牙質は、エナメル質より柔らかい構造になっていて、象牙質に弾力があるので、エナメル質の破折を防ぐ働きをする重要な部分でもあります。
歯を強くするには、再石灰化が重要
口の中は常に、脱灰と再石灰化を繰り返しています。脱灰は歯が溶けること。再石灰化は、唾液が脱灰した歯を、元の健康な状態に戻す現象のことです。虫歯は、脱灰になる範囲が大きすぎて、再石灰化が追いつかないことで起こります。虫歯を予防するためには、再石灰化を促進することが大切です。
歯を丈夫にする食べ物
歯の原料となる食べ物を積極的に摂ることが、歯の強化に繋がります。また、口の中を綺麗にしてくれる清掃食品も一緒に取り入れると、さらに効果的です。それぞれの食材を見ていきましょう。
リンが多く含まれている食材
- 魚類
- 海藻類
- 卵黄
- 乳製品
リンを多く含む食べ物を摂ることで、エナメル質を強くする効果があります。しかし、現代人は、リンを過剰に摂り過ぎる傾向があります。リンが加工食品に多く含まれているからです。リンの取り過ぎは、カルシウムの吸収を妨げ、カルシウムの取り過ぎは、リンの吸収を妨げます。カルシウムとリンの摂取量は同じが良いと言われているので、リンはなるべく加工食品からではなく上記の食材から摂取するようにしましょう。
タンパク質が多く含まれている食材
- 肉類
- 魚類
- 卵
- 大豆製品
- ヨーグルト
タンパク質は、象牙質を作る元になります。またタンパク質にはカルシウムの吸収を良くする働きがあって、歯の再石灰化を助けてくれる効果があります。
間接清掃食品
口の中を綺麗にする清掃食品には、間接清掃食品と呼ばれる食品があります。間接清掃食品とは、唾液が出やすい食べ物のことです。例えば、梅干しや酢の物、レモンなどを食べることで唾液の分泌を促すことが期待できます。唾液には、再石灰化の他に、虫歯菌が出す酸を抑える効果もあります。
直接清掃食品
直接清掃食品とは、噛んだ刺激で唾液を出す食品のことです。噛んで唾液が出やすい食べ物は、食物繊維が多く含まれた食品になります。ゴボウ、人参、セロリといった食物繊維がたっぷり含まれている食材を良く噛むことで、唾液が多く循環して歯の表面や粘膜を清掃する効果があります。
「8211(歯に良い)」食べ物を摂ろう
歯磨きがしっかりとできていない状態で、歯を丈夫にする食べ物を摂取しても、食材の効果が期待できません。なるべく口の状態が良い上で、食べ物を摂ることで、虫歯になりにくい強い歯に近づけることができるのです。生涯、ずっと使い続けていくのは、身体だけではなく、歯も同じです。なるべく歯に良い食べ物を食べて、歯の健康を保っていきましょう。
記事監修:林 徹(歯科医、はやし歯科医院院長)
三重県津市 高茶屋小森町356-2林歯科ビル1F
059-234-0118
https://hayashi-dentalclinic.net/
小さなお子様からお年寄りまで、幅広い層の患者さまに信頼していただける医療を提供することを心がけています。