おしゃぶりはいつまで使っていいの?長引くと歯並びが悪くなるかも

おしゃぶりはいつまで使っていいの?長引くと歯並びが悪くなるかも

おしゃぶりには赤ちゃんが泣き止む、入眠がスムーズになるといったメリットがある一方で、いつまでも使っていると歯並びが悪くなってしまう――と聞いたことはありませんか?

今回は、いつごろまでおしゃぶりを使っていいのか、歯並びにどんな影響があるのかについて解説していきます。

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おしゃぶりと歯並びの関係

おしゃぶりと歯並びの関係
(画像出典)PIXTA

小児科と小児歯科が、1歳6ヶ月〜5歳の乳幼児1,120名と4歳〜5歳の幼児432名を対象に行った、乳歯の噛み合わせと指しゃぶりやおしゃぶりの関係性についての調査があります。

結果は、

  • 2 歳児では指しゃぶり群で出っ歯、おしゃぶり群で開咬(かいこう)※が高頻度にみられる。
  • 5 歳児では、その傾向がさらに増大する。

というもの。年齢が高くなるまで長期にわたって使用すると歯並びに影響が出やすいのは確実だと言えます。

※奥歯は噛んでいても、前歯が噛み合わずに開いている状態。
参考資料:小児科と小児歯科の保健検討委員会

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おしゃぶりが長引くと、どんな歯並びになる?

おしゃぶりが長引くと、どんな歯並びになる?
(画像出典)PIXTA

おしゃぶりを長く使い続けると、次のような歯並びになる可能性が高くなり、お口の中のトラブルが起きやすくなります。

開咬

前の段落でも補足を入れましたが、開咬は上下の前歯の間に大きく隙間ができている状態のことです。噛んだ時に前歯が当たらず、奥歯同士だけが当たるので、奥歯に負担がかかりやすいです。
また、言葉を発する時に空気が漏れやすくハッキリと発音するのが難しくなります。

出っ歯

出っ歯は、上の前歯が前に出ている歯並びのことです。出っ歯になると唇がしっかりと閉じられなくなるので、口の中が乾きやすくなり、虫歯や歯周病を引き起こす原因にもなります。

叢生

叢生(そうせい)は、歯が凸凹に生えている歯並びのことです。歯が重なっている部分が多く、歯磨きがしづらく虫歯や歯周病になりやすい傾向があります。

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おしゃぶりを止める目安

おしゃぶりを止める目安
(画像出典)PIXTA

おしゃぶりが歯並びに影響を与えるとはいえ、2歳頃までに使用を中止すれば発育とともに改善されます。子どもの歯や口の発達のタイミングとも合う次の2つの時期が、おしゃぶりを止める目安です。

1歳半

赤ちゃんは生まれてすぐに母乳が飲めるように、お腹の中にいる時から自分の指を吸って準備をしています。赤ちゃんにとって吸うことは自然な行為で、生まれてから半年までは「吸う動作」をすることが多いです。

主に吸う動きが中心だったそんな赤ちゃんも、歯が生え始める頃から段々と「噛む動作」に移行していきます。1歳半頃は、奥から二番目の歯(第一乳臼歯)が生えてくる時期。噛む動きを覚えていく大事な時期なので、少しずつおしゃぶりを使わない時間を増やしていくとよいでしょう。

2歳

2歳は、前から三番目の歯、乳犬歯(にゅうけんし)が生えてくる頃です。一番奥の歯以外が生え揃っている子がほとんどで、噛む機能が発達していく時期です。
また、第一乳臼歯が完全に生え切っていることが多く、その時期におしゃぶりを使っていると奥歯の歯並びや噛み合わせに影響が出やすいです。そうなると唇や舌の筋肉の機能にも影響が出やすく、唇がしっかりと閉じられない、低舌位※になるといったリスクもあります。
歯が生え揃ってくる2歳を目安におしゃぶりを卒業できるのが理想です。

※低舌位:舌の位置が正常な位置ではなく、低い位置にあること。低舌位になると、口呼吸になったり、滑舌が悪くなったりする原因になります。

参考資料:日本小児歯科学会

おしゃぶりは使わせない方がいい?

おしゃぶりは使わせない方がいい?
(画像出典)PIXTA

「おしゃぶりが癖になるのが心配だから、そもそも使わせない方がいいのかな?」と悩んでいる方もいると思います。しかし、長時間使わず、外出の時だけ・スムーズに眠るための導入道具として利用するくらいなら癖になりにくいでしょう。
おしゃぶりに対して否定的な考えを持つ方もいますが、上手く利用することで、次のような効果も期待できますよ。

赤ちゃんの気持ちを落ち着かせる

赤ちゃんは、眠たい、お腹がすいた、抱っこされたいなどを言葉ではなく、泣いて知らせます。自分の気持ちを言葉で伝えることができない赤ちゃんは、もどかしくて不安になる時もあります。
そんな赤ちゃんにとって吸うことは、お母さんのお腹の中にいる時からやっていた自然な行動。おしゃぶりは赤ちゃんの吸いたい欲求を満たして、不安な気持ちを落ち着かせてくれます。

眠りにつきやすくなる

大人でも眠たいけど寝られない時がありますよね。赤ちゃんも同じで、眠たいけどなんだか眠れない…という時があるのです。赤ちゃんが指を吸いながら寝てしまうのは、吸うことで安心してリラックスできるからと言われています。
おしゃぶりには、赤ちゃんをリラックスさせる効果があり、寝つきが良くなります。

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おしゃぶりを無理なく卒業しよう!

奥歯が生えてくる頃になってもおしゃぶりを使い続けていると、たしかに歯並びが悪くなる可能性があります。でも、おしゃぶりがあるおかげで親子ともに助かる場面も多いはず。
いきなり「今日から使わない!」と決めてしまうのは、赤ちゃんと保護者の双方にとってストレスになりやすいです。
歯の生え方を見ながら少しずつ、計画的に止めていくほうが負担が少なく、おしゃぶりを卒業しやすいでしょう。

赤ちゃんによって歯が生えてくる時期は違うので、歯並びが気になる時には早めにかかりつけの歯医者さんで診てもらうとよいですよ。
なお、4歳以降になってもおしゃぶりを止められない場合は、かかりつけの小児科医への相談も検討してみてくださいね。

記事監修:林 徹(歯科医、はやし歯科医院院長)

林徹先生

三重県津市 高茶屋小森町356-2林歯科ビル1F
059-234-0118
https://hayashi-dentalclinic.net/
小さなお子様からお年寄りまで、幅広い層の患者さまに信頼していただける医療を提供することを心がけています。

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