子どもの矯正治療「プレオルソ」ってなに? #歯科衛生士の歯の教室

子どもの矯正治療「プレオルソ」ってなに? #歯科衛生士の教室

最近は、マウスピースを使った子どもの歯列矯正が増えています。
マウスピースは取り外しができるので歯磨きも簡単で、虫歯や歯肉炎になりにくいというメリットがあります。
他にもいろんなメリットがありますが、今回はマウスピース矯正のひとつ、「プレオルソ」について解説していきます。
子どもの矯正治療について考えている方は、ぜひこの記事を参考にしてくださいね。

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子どもの矯正治療にはⅠ期治療とⅡ期治療がある

子どもの歯並び
(画像出典)PIXTA

プレオルソの話の前に、子どもの矯正治療には、大きくわけて2つの段階があることを知っておいてください。

Ⅰ期治療

Ⅰ期治療では、子どもの顎の成長を促しながら上下の顎のバランスを整えたり、歯が生えてくるスペースを確保したりして歯並びを改善していきます。Ⅰ期治療は、子どもの矯正治療の基盤となる時期で、歯並びを悪くする原因を取り除く治療でもあります。

Ⅱ期治療

Ⅱ期治療では、生え揃った永久歯を矯正装置を使ってキレイに並べていきます。歯を移動させるのが目的の矯正治療は、Ⅱ期治療になります。
例えば、大人になってから行うワイヤー矯正は、歯をキレイに整えるのが目的になるので、Ⅱ期治療です。

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プレオルソはⅠ期治療で使用する矯正装置

プレオルソは、Ⅰ期治療で使用する矯正装置です。また、プレオルソは、顎の骨が柔らかくて動かしやすい時期の5~9歳の子どもが対象になります。※

特に前歯の噛み合わせを整えることが得意で、次のような症例でよく使われます。

  • 出っ歯(上の前歯が突出している状態)
  • 受け口(下の前歯が上の前歯より出ている状態)
  • 過蓋咬合(上の前歯が下の前歯を覆うように被さっていて、見えない状態)
  • 開咬(噛んだ時に上下の前歯の間に大きな隙間ができている状態)

※子どもの顎の発達状態によっては、9歳を過ぎた年齢でもプレオルソを使用できる場合もあります。

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プレオルソの特長

寝る子ども
(画像出典)PIXTA

プレオルソは、日本の矯正医が開発したマウスピース型の矯正装置です。素材がシリコンなので、柔らかくて装着感も良く、子どもが付けていても嫌がりにくいのが特長です。
他にもプレオルソには、次のような特長があります。

装着時間が日中の1時間と就寝中だけ

プレオルソの装着時間は、日中の1時間と就寝中だけです。

日中の装着時間が長いと、他人に付けている姿を見られるのが恥ずかしくて嫌がるお子さんも多いですが、帰宅後に1時間だけ装着する、寝る前に装着して翌朝には外すといったスケジュールでも使えます。
子どもの生活に合わせて日中に付けるタイミングを変えることができるのも、使いやすくて嬉しいポイントです。

矯正治療後の後戻りが起きにくい

後戻りとは、矯正治療が完了した後に、歯並びが元の状態に戻ってしまう現象のことです。
歯には、元の位置に戻ろうとする性質があるので、永久歯が生え揃ってから行う矯正治療では、歯の基盤となる口の機能が改善されていないことが多いため後戻りが起きやすいです。

一方でプレオルソは、歯がキレイに並ぶための土台となる「舌」「頬」「唇」の筋肉が、バランスよく機能した状態で歯を整えていくので、歯が移動した位置でとどまりやすく、矯正完了後も後戻りが起きにくくなります。

対応できる症例が広い

矯正装置はいろんな種類がありますが、歯並びの状態によっては希望する矯正装置を使用できないケースもあります。
しかし、プレオルソには症例に合わせていくつかの種類があって、さまざまな口の状態に対応できるようになっています。

口の機能訓練になる

最近の子どもたちは柔らかい食事を好んで食べることが多く、顎が小さいままだったり、噛む力が弱くなっていたりする傾向があります。
また、指しゃぶりやうつ伏せ寝などの悪習癖(あくしゅうへき)が習慣化していると、口周辺の筋肉が不調和な状態になりやすいです。

プレオルソは、歯を動かすのではなく、歯並びを悪くしている原因を取り除くことで自然と歯を正常な位置に誘導していくための装置です。
口の周りの筋肉を正しく機能させるためのトレーニングにもなるため、プレオルソの装着により歯列矯正だけでなく次のような機能効果も期待できます。

  • ポカンと口を開けていることがなくなり、虫歯や歯肉炎の予防になる
  • 舌が正常な位置になって、発音が良くなる
  • 嚥下機能(飲み込む機能)が発達して、上手に食べ物を飲み込めるようになる
  • 噛み合わせが良くなって、顔の歪みがなくなる
  • 頬の筋肉が鍛えられて、しっかりと噛めるようになる

プレオルソの費用と治療期間は?

カレンダーと歯型模型
(画像出典)PIXTA

気になるプレオルソの費用と治療期間は、次の通りです。

プレオルソの治療費

プレオルソの治療費は、約10~30万円。装置を交換する際には5~6万円の費用がかかる歯科医院が多いです。
ホームページでは、プレオルソ5万円~といった表示をしている歯科医院もありますが、矯正の検査費用を含めていない場合があります。プレオルソを始める前には、検査代を含めた治療の総額を提示してもらうようにしましょう。

治療期間

プレオルソの治療期間は、半年~1年半が一般的です。歯並びの状態や悪習癖の症状によっては、治療期間が長くなったり、短くなったりすることもあります。

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プレオルソだけで歯並びはキレイにできる?

プレオルソを使用し、Ⅰ期治療だけで矯正治療を完了することもあります。
ただ、歯と歯の間に隙間が空いていたり、理想の歯並びになっていなかったりする場合には、Ⅱ期治療が必要になります。

Ⅰ期治療を経てⅡ期治療を開始する場合には、口の機能が正常に発達している状態なので、大きく歯並びを動かす必要がないケースが多いです。その結果として、Ⅱ期治療の矯正期間を短くでき、治療費を抑えることができます。

プレオルソは子どもの口の機能を育てる装置

歯を見てもらう子ども
(画像出典)PIXTA

口の機能や悪習癖は、習慣づいてしまった大人になってからでは簡単に直せないことが多いです。プレオルソは、子どもの頃から正常に機能するように口の環境を育てていくので、大人になってから発音の悪さや噛み合わせの悪さで悩むことが少ないでしょう。
安いものではありませんが、子どもの時に矯正治療を開始することで、結果的に矯正費の総額を抑えることにもなります。
歯科医院によっては、プレオルソを取り扱っていないところもあるので、ホームページや電話で確認してから、相談に行くと良いですよ。

記事監修:林 徹(歯科医、はやし歯科医院院長)

林徹先生

三重県津市 高茶屋小森町356-2林歯科ビル1F
059-234-0118
https://hayashi-dentalclinic.net/
小さなお子様からお年寄りまで、幅広い層の患者さまに信頼していただける医療を提供することを心がけています。

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