大人になっても必要!子どもの「噛む力」の育て方 #歯科衛生士の歯の教室

大人になっても必要!子どもの「噛む力」の育て方 #歯科衛生士の教室

噛む力は、子どもの頃に決まるとも言われています。
大人になっても問題なく噛めるのは、噛む力が育っている証拠です。

しかし、子どもの噛む力を育てる方法や噛む力の重要性がわからない人も少なくないでしょう。
そこで今回は、「噛む力」について解説していきます。

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「噛む力」とは、どんな力?

離乳食を食べる赤ちゃん
(画像出典)PIXTA

「噛む力がある」とは、食べ物を小さくしたり飲み込んだりする動作が、正しく機能している状態のことです。
食べ物をしっかり噛むには、口の周りの筋肉を鍛える必要があります。咬筋などの咀嚼筋を鍛えることで、食べ物を砕いたり、潰したりできるようになるのです。

噛む動きだけでなく、唇を閉じる力も必要です。例えば、口を開けたまま唾液を飲み込もうとしてもできませんよね。口を開けたままくちゃくちゃ食べる動作をしている場合は、唇の力や飲み込む力が弱いということなので、誤って肺に食べ物が入る危険性もあります。

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よく噛むメリット

女の子
(画像出典)PIXTA

まず、子どもの噛む力を育てるには、噛む回数を増やすことです。一口食べた時の噛む回数は、「30回が理想」とされています。それは、よく噛むことには次の5つのメリットがあるからです。

なお、顎が発達するとエラが張ったような状態になって、顔が大きく見えるのでは……と、心配される保護者の方もいるでしょう。しかしエラ顎は、歯ぎしりや食いしばりによって過度な力がかかり、咬筋が発達しすぎることが原因です。

歯並びがよくなる

よく噛んだ刺激で顎が成長すると、生えてくる歯が正しい位置に誘導されて、歯並びがよくなります。逆に、噛む力がなく顎の成長を促せないと、狭い顎の中で歯が並ぶようになります。
そうなると歯が斜めに生えたり、前に飛び出して生えたりするので、歯並びが悪くなる可能性が高いです。

虫歯になりにくくなる

噛むことで唾液を分泌する腺が刺激、口の中が潤います。唾液には菌の増殖を抑える効果があり、虫歯予防にもなります。

消化器官の負担が少なくなる

消化器官は、食べ物が大きいほど消化しづらく、多くのエネルギーが必要になり疲れてしまいます。よく噛まずに飲み込んだ食べ物は、弱った消化器官では十分に処理できずに、栄養が吸収されないこともあるのです。

その点、よく噛んで細かくなった食べ物はしっかりと消化されて体の栄養になります。さらには、消化するのに必要なエネルギーも少なく済むので、消化器官の負担も少なく疲れにくくなるのです。

食べ過ぎ防止になる

よく噛むことで脳にある満腹中枢が刺激され、十分に体が満たされたことを全身に伝えるようになっています。一方で、噛んだ回数が少なかったり、しっかりと噛めていなかったりすると、満腹中枢への刺激が弱く食べる量が増えて、生活習慣病のひとつである肥満になりやすいです。

脳の発達を促し集中力が高まる

噛んだ時には、視覚・聴覚・味覚・触覚・嗅覚の5つの感覚で得た情報が脳に送られます。噛む動きで多くの情報が脳に伝わり、あらゆる脳の部分を活性化していきます。

また、しっかり噛むことは、集中力や記憶力の発達にも繋がっています。例えば、スポーツ選手はここぞという時には奥歯に力を入れて噛みしめます。それは、力が入りやすくなるだけではなく、ひとつのことに集中するためでもあるのです。

ただ、ギュッと噛みしめるには噛み合わせが大事です。噛み合わせが悪いと噛んだ時にズレが生じて、集中するのが難しくなります。

参考資料:咀嚼が脳の発育を促進するメカニズム

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噛む力を育てる5つのポイント

りんご
(画像出典)PIXTA

ここでは、噛む力を育てる5つのポイントを紹介していきます。

かたさのある食事を意識する

子どもの好きな食べ物は、カレーやハンバーグなど、保護者の方が毎日の献立に頭を悩ませずに済むやわらかいメニューが多いです。しかし、やわらかい食べ物では、顎の発達にはなりません。

かといって、噛みごたえのあるレンコンやゴボウは、あまり食べてくれない子どもがほとんどだと思います。そんな時にはリンゴや梨、焼きおにぎりがおすすめです。リンゴや梨は、ほどよいかたさでしっかりと噛む動作が必要になります。また、焼きおにぎりは、表面がパリッとなって噛みごたえがあるので、自然と噛む回数も増えますよ。

急いで食べない

子どもに早く食べろと急かすのは、あまりよくありません。子どもが焦って食べる癖がついてしまうと、しっかりと噛むことができなくなってしまうからです。食事の時には、なるべく時間に余裕をもたせたり、あらかじめ食べる時間を決めたりするとよいでしょう。

飲み物で流さない

口の中に食べ物を入れてすぐにお茶や水を飲むと、食べ物が飲み物と一緒に流れてしまいます。それでは、ほとんど噛んでいないことになり、噛む力が育ちません。子どもがお茶や水などを飲む時には「食べ物を飲み込んでから、飲もうね」と教えてあげましょう。

片側の歯だけで食べない

片側の歯だけで噛み続けると、一方の筋肉や顎だけが発達してしまい、噛み合わせのバランスが悪くなります。食事の時には、両側の奥歯を動かして噛んでいるかを確認しましょう。

ガムトレーニングはいつから?

噛む力を育てる方法として、ガムトレーニングをする歯医者さんもあります。ガムトレーニングは、ガムを飲み込まない子どもが対象です。一般的に6歳頃からガムトレーニングを開始する場合が多いです。ただ、6歳以下でもガムを飲み込まないのであれば、ガムトレーニングを促す歯医者さんもあります。

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噛む力は心と体を健康にする

りんごを食べる子ども
(画像出典)PIXTA

よく噛むメリットは体の健康だけではなく、脳の発達にも影響しています。噛み方や歯並びが心配な場合には一度、歯医者さんに相談してみましょう。
子どもの頃に身に付けた噛む力は、大人になって財産になります。子どもと保護者の方のペースで、噛む力を育てていきましょう。

記事監修:林 徹(歯科医、はやし歯科医院院長)

林徹先生

三重県津市 高茶屋小森町356-2林歯科ビル1F
059-234-0118
https://hayashi-dentalclinic.net/
小さなお子様からお年寄りまで、幅広い層の患者さまに信頼していただける医療を提供することを心がけています。

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