子どもの口をチェックして「あれ?歯が黒くなっている!」と気づいたとき、どうしますか?
「本人は痛がってないし、乳歯だからこのままで大丈夫かな」と放置しておくのは、実は危険。原因によっては、永久歯に悪影響を及ぼすこともあるからです。
そこで、今回は子どもの歯が黒くなる原因と対策について紹介していきます。子どもの歯の色が気になっている方は、この記事を参考にしてくださいね。
目次
乳歯の特徴
子どもの歯である乳歯は永久歯と比べると、次のような特徴があります。
色が青白い
乳歯が青白いのは、エナメル質の内側にある象牙質が未発達で色が薄く、色が外側に透けないためです(永久歯は象牙質の黄色が透けます)。歯の色が白い分、色が付着したり、虫歯になったりすると目立ちやすいです。
歯質がやわらかく薄い
乳歯は永久歯に比べてやわらかく、厚みも半分ほどしかありません。歯の作りが十分でない乳歯は外からの刺激に弱く、虫歯になりやすいです。
子どもの歯が黒くなる4つの原因と対策
子どもの歯が黒くなる原因は次の4つです。それぞれの対策についても紹介していきます。
神経損傷
乳歯のエナメル質はやわらかいため、子どもが転んで歯を強打するだけで神経が壊死することがあります。歯を強打した直後は、神経の内出血で歯の表面がピンク色になりますが、時間が経過すると黒っぽい色になります。
治療・対策
神経が壊死した場合は、歯科医院での治療が必要です。一般的な治療法は、神経を除去し、神経の代わりになる薬を入れて歯科専用のプラスチックやセメントで蓋をすること。
しかし残念ながら、治療をしても歯の色は元通りにはなりません。治療で使用した薬がエナメル質から透けて、黄色っぽく見えることがあります。
着色(ステイン)
歯の色が茶色~濃い茶色っぽく見える場合には、着色(ステイン)の可能性が高いです。着色の原因といえばコーヒーや赤ワインが有名ですが、チョコやココアにも着色の原因になるタンニンが含まれています。濃い色の食べ物や麦茶でも、歯が茶色くなります。
着色しやすいのは歯の表面の溝や歯間など、汚れが溜まりやすい部分です。
治療・対策
着色を落とすには、歯科医院でクリーニングしてもらうのが良いでしょう。自宅で研磨剤入りの歯磨きをすると、やわらかい乳歯の表面を削って傷を増やしてしまうので、結果としてさらに着色しやすい状態になってしまうからです。
定期検診はクリーニングだけではなく歯の強化もできるので、より着色しにくい歯にできます。
虫歯
黒い点や奥歯(臼歯)の溝に沿って黒い線や筋ができている場合は、虫歯の可能性が高いです。穴まで開いている場合は、虫歯が中で広がっていることもあります。
治療・対策
虫歯の疑いがある場合は、歯科医院ですぐに診てもらいましょう。虫歯の進行具合によっては歯磨きをしっかり行うことを条件に、そのまま経過観察となるケースもあります。また、虫歯が初期段階の時には、後述するサホライド治療を行うこともあります(歯が黒くなることを保護者とお子さんに説明し、了承を得てからです)。
乳歯の虫歯は進行が早いので、重症化しないためにも定期的にチェックが必要です。
サホライド治療
サホライドとは、虫歯予防や初期虫歯(出来たての虫歯)の進行を抑制させる効果がある薬のこと。歯を削る治療ができない小さい子どもに使用することが多いです。
ただ、サホライド治療を行うと、歯の一部が黒く目立つようになったり、まだら模様になったりします。サホライドにはフッ化ジアミン銀という成分が使われていて、その中の硝酸銀が歯のタンパク質と結合することで黒く変色するのです。
対策
一見虫歯にも見えてしまうサホライド治療に抵抗を感じる保護者は多いです。しかし、サホライド治療を避けたいなら、ほかの治療をするしかありません。どの治療を選ぶかは子どもの年齢や性格を踏まえ、歯科医と相談しましょう。
歯が黒いのに気づいたら早めに歯医者さんへ
歯が黒くなっている原因を保護者の方が判断するのは難しく、放置していると重症化してしまうリスクもあります。特に虫歯の進行がひどい場合や神経が壊死していた場合、永久歯が正しい位置に生えてこなかったり、虫歯になりやすくなったりする可能性が高くなります。
歯が黒いことに気づいたら、痛みの有無に関わらず、なるべく早めに受診しましょう。
記事監修:林 徹(歯科医、はやし歯科医院院長)
三重県津市 高茶屋小森町356-2林歯科ビル1F
059-234-0118
https://hayashi-dentalclinic.net/
小さなお子様からお年寄りまで、幅広い層の患者さまに信頼していただける医療を提供することを心がけています。