子どもの口のニオイに気づいているとはいえ、「口が臭いよ!」とストレートに伝えるのは、子どもの心が傷つきそうで言いにくいですよね。そもそも、親の気にしすぎかな?と悩んでいる方もいるでしょう。そこで、今回は子どもの口臭が気になったときの対応について解説していきます。
目次
子どもも口臭になる
子どもの口は臭くならないと思っている方も少なくないでしょう。確かに赤ちゃんには口臭がありません。それは唾液が多く出るのと、固形物を食べていないからです。ミルクや母乳を主な食事にしている間は口臭は発生しません。一方で、色んな食べ物が食べられるようになった子どもは気をつけていないと口臭になることがあり、次の3つが主な原因になります。
歯磨きが不十分
歯磨きが不十分な場合には、口臭を引き起こしやすくなります。なぜなら歯の表面に付いた汚れ(歯垢)の中には多くの細菌がいて、口臭の原因となる嫌なニオイを発生させるからです。特に、子どもの口の中は子どもの歯(乳歯)と大人の歯(永久歯)が混合しています。歯の段差が大きかったり、歯の大きさがバラバラになっていたりするので、キレイに磨きづらく、汚れが残りやすいのです。
虫歯や歯肉炎がある
虫歯は口臭の原因になります。虫歯菌は歯を溶かして虫歯の範囲を広げていき、歯に穴が開いた中に汚れが詰まることで、腐ったようなニオイが発生するのです。さらに虫歯の進行がひどくて神経を汚染した場合には、非常に強いニオイを放つようになります。
歯肉炎は、歯茎が炎症を起こして腫れた状態のことです。炎症を起こした歯茎には多くの細菌がいます。細菌が増殖するほど、嫌なニオイのするガスも一緒に作り出すので、口臭がひどくなります。
口の中の乾燥
口の中が乾燥すると、細菌が増殖しやすい状態になります。細菌が嫌なニオイを多く発生させるので、口が臭くなってしまうのです。
以下のような原因が、乾燥につながります。
ポカーン口
子どもの口が常に開いている状態をポカーン口と言います。ポカーン口の状態が続くと、口の中が乾燥します。
歯並びが悪い
出っ歯や受け口などの歯並びは口を完全に閉じにくい状態です。そのため口呼吸になりやすく、そうなると口の中が乾燥しやすくなります。
病気(アデノイド・糖尿病)
口臭の原因になる主な病気は、アデノイドと糖尿病です。
アデノイドとは、鼻の奥にある扁桃腺が大きく腫れた状態の病気です。アデノイドになると酸素の通りが狭くなるので、鼻で呼吸するのが苦しくなり口呼吸になります。口呼吸で息を吸う期間が長いほど口の中が乾燥します。
糖尿病は大人だけの病気ではありません。子どもでも糖尿病になります。糖尿病になると、口の中が粘ついて汚れが溜まりやすいうえに、カラカラに渇く症状も出るので細菌が増殖しやすいです。
なお、糖尿病の場合には口臭にも特徴があって、甘酸っぱいニオイを出します。
子どもの口臭を改善する方法
子どもの口臭を改善するには、次の3つの方法が有効です。
仕上げ磨きをする
汚れが残っていると口臭が治まることはありません。子どもの歯磨きがしっかり出来ていない場合には、仕上げ磨きをしてキレイな歯の状態を保ってあげましょう。また、フロスも使用することで、歯ブラシだけでは取り除けない歯と歯の間の汚れを効率的に除去できます。
治療を受ける
虫歯や歯肉炎がある場合には、治療を受けましょう。虫歯は治療をすることですぐに口臭が改善することがほとんどです。しかし歯肉炎の場合には、歯茎の炎症が引くまではニオイが継続する可能性があります。
とはいえ、そのままの状態にしておくと、どんどんニオイや見た目が悪化するので、早めに汚れを取り除いてもらったり、正しい歯磨きの仕方を指導してもらったりしましょう。
アデノイドや糖尿病の症状がある場合には、早めに適切な医療機関で診てもらうことが大切です。
口の周りの筋肉を鍛える
口の周りの筋肉が弱いのが原因で、口呼吸やポカーン口を引き起こしていることがあります。この場合には、筋肉を鍛えることで症状を改善する治療方法があります。例えば、あいうべ体操といって「あ~い~う~べ~」と順番にゆっくりと筋肉を動かしながら鍛える方法です。他にも口周りの筋肉の発達状態に適したトレーニング方法がありますので、歯科医院で相談してみましょう。
口臭にガム・タブレットの効果は?
ガムやタブレット自体に口臭を改善する効果はありません。ガムなどに使われているミント風味が口の中を爽やかにしてくれる気がしますが、食べたからといって口臭をなくすことはできないのです。
ただ、ガムやタブレットは唾液の分泌を促進させるので、乾燥状態を改善することは可能です。特にガムは、噛むことで口周りの筋肉も鍛えられるためトレーニングとして活用される場合があります。
ガムやタブレットは、口臭予防として使用していきましょう。
子どもの口臭には「言いすぎない」も大事
子どもの口臭に気づいて、どうにかしたい親心も十分にわかります。ただ言いすぎたり、言い方がキツかったりすると子どもの心が傷つく可能性があります。口臭は子どもにとってもデリケートな話題です。まずは、歯医者に行って担当医に相談すると話がスムーズに進みやすいですよ。
記事監修:林 徹(歯科医、はやし歯科医院院長)
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