「所有」から「シェア」へ。モノもスキルも共有するシェアリングエコノミー #FPの家計塾

シェアリングエコノミーとは?“所有”から“シェア”、モノもスキルも共有する時代へ #FPの家計塾

シェアリングとは、「共有すること」。SDGsの流れにもマッチするので世界中で進展しており、日本でも車や空間のシェアリングエコノミーが浸透、普及しつつあります。

総務省によると、日本のシェアリングエコノミーの市場規模は2016年には約503億円でしたが、2021年度には1,071億円まで成長していくと見込まれています。

前回の記事は、近年すっかり定着している「サブスクリプションサービス」について解説しました。
今回は、「所有せず使いたいときに使える」という点では同じながら、仕組みが異なる「シェアリングエコノミー」を取り上げようと思います。

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シェアリングエコノミーとは?

シェアリングエコノミーとは?
(画像出典)PIXTA

シェアリングエコノミー協会によると、シェアリングエコノミーは、

インターネットを介して個人と個人・企業等の間でモノ・場所・技能などを売買・貸し借りする等の経済モデルです

引用元:シェアリングエコノミー協会

と定義されています。
モノを所有せず使いたいときに使う、という点ではサブスクリプションサービスと共通していますが、

  • サブスクリプションサービス:一定期間、利用権を得るサービス
  • シェアリングエコノミー:共有して有効活用するサービス

という点で根本的に定義が異なります。
また、シェアリングエコノミーはその性質上、サブスクのような「使い放題」ではなく「使いたいときだけスポットで使う」というサービス形態になることが多いです。

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シェアリングエコノミーが活用されている分野は?

シェアリングエコノミーと聞けば、カーシェアリングやレンタルスペースなどが浮かぶ人が多いかもしれません。
しかし、実はもっと幅広く、柔軟に考えられるものなのです。
シェアリングエコノミー協会が分類する5つの領域に分けて、活用法を見てみましょう。

モノのシェア

モノ
(画像出典)PIXTA

自分(自社)の所有物を、それを必要とする他人が必要な時に使えるようにするのがモノのシェアです。

古くから、貸衣装、バザー、フリーマーケット、リサイクルショップ、あるいは「お古をあげる」といった形でモノはシェアされてきましたので、イメージは湧きやすいでしょう。

近年はフリマアプリやオークションサイトなどがスマホで簡単に利用できるようになり、モノのシェアリングエコノミーはどんどん広がっています。「一時的に必要なものはレンタルする」「中古品を購入する」といった、新品の所有にこだわらないライフスタイルは、特に若い世代にとってはすでに一般的なものですね。

スキルのシェア

スキル
(画像出典)PIXTA

自分の得意分野、専門性の高い分野のスキルを提供して利用してもらうのが、「スキルのシェア」です。

広い意味では「働くこと」自体がスキルのシェアとも言えますが、“インターネットを介して”という定義に照らすと、「ランサーズ」「ココナラ」「ストアカ」などのプラットフォーム(サービス)を通してスキルを売買することを指します。デザインやイラストなどの専門スキルだけでなく、家事サービスのスキルシェアも広がっています。

本業を持ちながら副業としてスキルを販売する人もいれば、顧客が増えてそれが本業になったという人もいます。依頼したい人は必要なときに必要な分だけ助けてもらうことができますし、スキルを提供する側も「育児中や介護、体力の問題でフルタイムでの就業が難しいが、隙間時間だけ働きたい」などといった柔軟な働き方ができるのもメリットです。

空間のシェア

空間
(画像出典)PIXTA

使っていないスペースを、必要なときに必要な人に貸し出すのが空間のシェアです。
賃貸マンション、貸し駐車場、貸し会議室なども「空間のシェア」ではありますが、インターネットを介することでさらに切り売りしやすくなっています。
宿泊施設として民家を借りられる「Airbnb」や、1時間単位で民家や店舗を借りられる「スペースマーケット」などが知られていますが、民家の駐車場を借りられるサービスもあります。
空き家や遊休地の活用は、利用したい人にはもちろん、持ち主にとっても収入を得られるメリットが大きいため、今後一層の発展が期待されます。

移動のシェア

移動
(画像出典)PIXTA

移動のシェアには、カーシェアリング、ライドシェア、シェアサイクルがあります。
車を借りるという意味ではモノでもありますが「移動手段を借りる」という考え方をします。

カーシェアリング

会員登録しておくと、必要なときに必要な時間だけ車を利用できるサービスです。
車の維持費を削減できるのが最大の魅力ですが、「いろいろな車に乗れて楽しい」という声もあります。
個人間の貸し借りをマッチングするサービスも登場しています。車を保有しているものの使わない時間が多い人は、使わない時間だけ貸すことで収入が生まれます。

ライドシェア

ライドシェアは、「相乗りサービス」のことです。
システムに登録したドライバーと同じ方向や同じ目的地に向かいたい人が、ドライバーに同乗させてもらうサービスです。国土交通省からは以下の見解が示されていますが、違法な白タク営業でないか、事故の補償はどうかなど、利用には慎重な判断が求められます。

非営利型ライドシェア規制

自動車で中長距離を移動するドライバーが、ガソリン代及び道路通行料相当の費用

を収受して、同区間の移動を希望する人を同乗させる行為は、旅客自動車運送事業に

該当せず、道路運送法上の許可又は登録を要しないとされている。

また、行為に対する任意の謝礼にとどまる金銭の授受は有償に含めないとされている

引用元:国土交通政策研究 第 148 号

シェアサイクル

自転車を使いたいときだけ利用できる仕組みです。
スマホアプリで予約できるシェアサイクルや、自治体でシェアサイクルサービスを展開しているところもあります。

お金のシェア

お金
(画像出典)PIXTA

実は、お金のシェアリングエコノミーもあります。
どういうこと……?と思うかもしれませんが、クラウドファンディングがそれにあたります。

「アイディアがあり事業を起こしたい」「難病の手術にお金が必要」など、大きな資金を集めたい時の方法のひとつとして、すっかり認知されていますね。
日本に広がったのは、東日本大震災後の被災地支援がきっかけだったとも言われています。

クラウドファンディングは、金銭のリターンの有無で、非投資型と投資型の2つに大別されます。
非投資型:無償で資金を提供する寄付型、対価としてサービスや商品を受け取る購入型
投資型:成果に基づいた分配金を受け取る事業投資型、株式と配当を受け取る株式投資型、金利を受け取る融資型

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「所有」から「共有」へと変わる価値観

「所有」から「共有」へと変わる価値観
(画像出典)PIXTA

若い世代は、50代以上の方が目指していた「家」や「車」を積極的に持ちたいと思っておらず、モノを持つことよりもモノを増やさないというミニマリズムや、環境に良い暮らしへの関心が高くなっています。
シェアリングエコノミーは、時代が切り替わり、価値を感じる対象が変化してきたことにより浸透してきたと言えるでしょう。
上手に活用することで、家計の支出を減らすことにつながりますし、一方で新たに収入を生み出す機会も増えます。
「共有」することで広がる新しい経済の動きや発展にも、注目していきたいですね。

参照:
内閣府HP 令和2年度 年次経済財政報告第4章
https://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je20/pdf/p04013.pdf
総務省HP 平成30年度情報通信白書
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h30/html/nd125320.html

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