キャッシュレス決済のメリットは?日本はなぜ遅れてる?海外事情とともに解説

キャッシュレス決済のメリットは?日本はなぜ遅れてる?海外事情とともに解説 #FPの家計塾

消費税増税に伴うポイント還元制度を機に、キャッシュレス決済利用によって特典が得られるようになりました。特典目的でQRコード決済のアプリを入れたり、クレジットカード払いを増やしたりした方も多いようです。 みなさんはどうでしょうか。
ポイント還元を受けたいとはいえ、やはり私たちの生活には現金決済が根付いています。そこで今回は、どうして日本政府は キャッシュレス決済に移行させたいのか、どんなメリットがあるのかについて、考えてみたいと思います。

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どうして日本のキャッシュレス決済は遅れているのか?

どうして日本のキャッシュレス決済は遅れているのか?
(画像出典)PIXTA

まず、昔から続いている現金至上主義の気質が日本人にはあります。現金決済には、

  • その場で支払いが終えられること
  • 決済の内容を目視確認できること
  • 手持ち以上に使いすぎないこと

などの利点があります。クレジットカードなどに慣れ親しんでいない年配者にとっては、余計に現金が安心に感じられるでしょう。
その背景には、さらに以下の2点があります。

  • 日本の紙幣の製造技術が高いため偽造が難しく、現金の信用性が高いこと
  • 日本の安全性が高いこと

家に現金を置いておいたり持ち歩いたりすることに危険が伴う国・地域も多いですが、日本は盗難や強盗などの犯罪は比較的少ないですよね。
安心・安全な規律が整っていて現金の信用が高い日本の社会と、つつましさを良しとし浪費を嫌う日本人の気質が、現金以外の決済方法の浸透を妨げているのだと思われます。

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他国のキャッシュレス事情は?

他国のキャッシュレス事情は?
(画像出典)PIXTA

日本以外の先進国のキャッシュレス化は、少なくとも日本より進んでいます。2019年の日本のキャッシュレス決済は20%とのこと。対して他の先進国を見てみますと、隣国韓国では90%、中国で60%、北欧のスウェーデンで50%というところです。

韓国の場合

韓国は1997年の東南アジア通貨危機があり、これを機に政府主導によってキャッシュレス決済化が推進されました。店舗にはクレジットカード取扱いを義務化して、利用者にはクレジットカード利用分の所得控除ができるなどの特典がつけられたそうです。

中国の場合

中国でも、偽造により現金の信用性が低下したことや脱税の防止、紙幣の印刷コストを下げたい政府がキャッシュレス決済のための決済オンラインネットワークを整備しました。We Chat Pay(ウィーチャットペイ)、Alipay(アリペイ)が普及した今は、現金を持ち歩かなくとも困ることがないそうです。

スウェーデンの場合

スウェーデンでは、犯罪防止のほか、冬季の現金輸送が難しいそうで、キャッシュレス決済を推進してきました。小切手もやめてデビットカードへ移行、個人間の送金や支払いもSwishというシステムで可能にしています。

さらにキャッシュレス決済が進む中で、最近スウェーデンでは、若い世代を中心に身体(手)に小さなマイクロチップを埋め込んでいる人が少しずつ増えているそうです。マイクロチップにはクレジットカードの機能や個人情報が記録されているので、買い物の支払いだけでなく給与の受取りや電車のチケット読取りなどにも対応できます。現金はもちろんカードを持ち歩く必要もないため、安全で管理もしやすいようです。身体に埋め込むことの是非はともかくとして、まさにキャッシュレス先進国ですね。

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日本がキャッシュレス決済を進めたい理由

日本がキャッシュレス決済を進めたい理由
(画像出典)PIXTA

日本は少子高齢化を防ぐことができません。どうしても労働人口が減っていきます。そのため、飲食店や中小の販売店などが人手不足で運営を続けられなくなることが懸念されています。
これを解消するためには、外国人労働者の活用を進めるとともに、根本のしくみを変えていくこと、つまりオペレーションの簡素化が欠かせません。
その対策のひとつが決済方法の進化です。

現金決済をしている店舗のオペレーションをみてみましょう。
まず決済時に、現金を受け取ったりおつりを計算して渡したりという作業があります。 そして閉店後に現金を数え、レジに記録された売上と照合します。すると「レジと現金が合わない」「1円足りない」ということが日常的に発生します。集計が合わず、どこで間違えたのか見直していくのはとても大変な作業で、この作業に店長は多くのストレスと時間をかけているのが現状です。

すべての会計がキャッシュレス決済であれば、決済時もスムーズですし、閉店後のお金の出入りの集計が自動化されるので照合がラクになります。何度も小銭を数えなおすこともありません。
キャッシュレス化は、人手不足を補う手段として期待されているのです。

消費者が得られるキャッシュレス決済のメリットは?

消費者が得られるキャッシュレス決済のメリットは?
(画像出典)PIXTA

国にとってキャッシュレス決済化は良いことかもしれませんが、私たち個人の生活にとっては、なにかメリットはあるのでしょうか。
以下の点が挙げられます。

お金の流れが明確

現金決済では、レシートがでない店舗もあって、何に使ったのか支出分が追えないままになってしまうケースがあります。しかしキャッシュレス決済では、クレジットカードや口座振替、振込みなどの履歴が残りお金の流れが明確です。

スピーディな決済

レジでの支払いで、現金を出してお釣りをもらうというステップがなくなることで、時間が短縮されていきます。

衛生的

今回の新型コロナウイルス感染症拡大を機に、不特定多数の人が素手で触れる現金に比べて衛生的なことも注目され始めました。特に非接触の読み取りで決済できる方法の場合は、自分の手以外どこにも触れずに決済ができます。

現金を引き出す手数料がかからない

銀行預金では、夜間や休日には手数料がかかります。このため、平日のうちに現金を引き出しておかなければと、いつも気に留めておくことにちょっとしたストレスがありました。
しかし、キャッシュレス決済では決済手数料もチャージ手数料もかかりません。

ちなみに私は、昨年秋からスマホアプリ決済を利用しています。使う金額を決めてチャージしておき、その範囲内で利用するようにしていますが、アプリ決済システムへのチャージは夜間でも休日でも手数料はかかりません。休日に買い物をしたいけどチャージ残額が少ない、というときでも、その場で必要分をチャージすることができるのでとても便利です。

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キャッシュレス決済にはデメリットはないの?

キャッシュレス決済のデメリットとして思いつくのは、

  • ずっと現金で家計を管理していたので、使いすぎてしまいそう
  • 子どもが勝手にwebで買い物や課金をしてしまう恐れがある

といったことでしょうか。

たしかに、手元にある現金のほうが視覚的に管理しやすいかもしれません。でもたとえば、決まった金額をチャージしておいてその金額の範囲で買い物をする、など使いすぎをセーブする方法はあります。
子どもの利用についても、子どものスマホにフィルタリングをしておく、大人のスマホでも決済時には暗証番号を入れる設定にしておくなどの対策をしておけば安心です。

まとめ

2019年10月以降、多くの店舗でキャッシュレス決済の対応が進み、それを利用する人も増えました。お得な制度を利用するためだけでなく、便利で安心で時間や手間の節約につながるというメリットがあります。私たちの生活を便利にする手段のひとつとして、キャッシュレス決済を取り込んでいけるといいと思います。

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