カカオと相性のいいスパイスを使った、大人のチョコレート菓子のご紹介です。
チョコレートという製品になると原料として砂糖がたくさん含まれていますが、ご存知のように、カカオそのものには体に良いさまざまな効能があります。カカオポリフェノールがたっぷりのカカオは、血管を拡張させて血流を良くしたり、抗酸化作用で活性酸素を取り除いてくれるすぐれもの。これはまさにスパイスやハーブの効能なので、そのカテゴリーで捉えられていることもあります。
また、スパイスと同じようにカカオも暑い国が原産地。大航海時代、ヨーロッパ人は中南米からカカオを自国に持ち帰っていました。16世紀ごろは、ヨーロッパの上流社会の間で、カカオと砂糖と香辛料を使ったショコラトル(チョコレートドリンク)がよく飲まれていたそうです。
カカオの樹が育つ環境は、高温多湿の熱帯で、赤道をはさんで北緯20度から南緯20度までに限られています。その地域は、「カカオベルト地帯」とも言われています。加えて、
- 高度が30~300mの地域
- 年間平均気温が27度で気温差が少ない
- 年間降水量が1000mm以上であること
が生育可能条件とされています。地域でいうと、中南米、西アフリカ、東南アジアあたりです。

実際にベトナムのホーチミンを訪れ、メコン川の河口のメコンデルタと呼ばれる三角州に船で渡ったときに、たくさんのカカオの木がありました。木の幹から重たげにカカオの実が成っていました。チョコレートやカカオパウダーは日本でもたくさんの種類が販売されていますが、植物としてのカカオは日本では見慣れないせいかとても興味深かったです。
さて、今回は、スパイスとカカオを合わせた3種類のレシピをご紹介します。
目次
チョコサラミ

チョコレートをサラミハムのように棒状に固めてスライスしていただくチョコレートのお菓子です。ラップの上から、かわいいワックスペーパーなどに包んでラッピングすると、プレゼントにも喜ばれますよ。
ナッツやマシュマロ、ビスケットを砕いたものなどを入れると、いろんな食感が楽しめます。スパイスをプラスして大人が楽しめるチョコレート菓子を作りましょう。
材料

- 板チョコレート(50g) 3枚
- 牛乳 小さじ2
- カカオパウダー 大さじ1
- 粉砂糖 適量
(A)
- くるみ(細かく砕く) 25g
- マシュマロ(小さくカット) 20g
- クッキー(細かく砕く) 15g
- 柚子皮 少々
- ドライクランベリー(又はお好みのドライフルーツ) 適量
- シナモン 小さじ1
- ナツメグ 少々
- ブラックペッパー 少々
作り方
1板チョコと牛乳をボウルに入れて湯煎にかける。

2チョコレートが溶けてきたらカカオパウダーを入れてゴムベラなどでゆっくり混ぜる。

3完全に溶けたら火をとめて湯煎から外し、Aを入れる。

4チョコが少し固くなり始めてきたら、ボウルからラップの上に移す。
5棒状に固めてサラミハムのような形にしてラップでしっかり包んで両端をねじって皿などに置いて冷蔵庫で固める。

6固まったら表面に粉砂糖をまぶします。

7できあがり。

スパイス香るチョコフォンデュ

とろ~りとした温かいチョコレートをお好きなものにつけていただきます。スパイスやブランデーを入れた香り豊かな大人のチョコフォンデュで甘い癒しのひとときを。
材料

<フォンデュ>
- 板チョコレート(50g) 3枚
- 牛乳 150ml
- カカオパウダー 大さじ1
- ミントの葉 適量
(A)
- ブランデー 小さじ2
- シナモンパウダー 小さじ1
- クローブホール 5個
- カルダモンパウダー 小さじ1/2
- オールスパイス(ホールまたはパウダー) 少々
<具材>
- マシュマロ
- いちご
- バナナ
- クラッカー
- パン
具材はお好みの量を準備し、食べやすいサイズにカットする。
作り方
1鍋に牛乳を入れて温め、Aのスパイス類とミントの葉を入れる。

2沸騰する直前に火を止め、茶漉しに通してスパイスとミントを取り除き、牛乳を鍋にもどす。
32の鍋に板チョコを割って入れて再度弱火で温める。

4カカオパウダーを加える。

5しっかり溶けたら火を止めてできあがり。
6ミニフォンデュ鍋などに移し、ろうそくで温めながら、<具材>の材料をチョコにつけていただく。

チョコ入りパンデピス

パンデピスとは「スパイスのパン」という意味です。パンとは言ってもどちらかというとパウンドケーキに近いできあがり。はちみつをたっぷり使いますが、甘さは控えめ。バターも砂糖も全く使わないのでヘルシーですね。
基本はシンプルにスパイスのみで何も入れませんが、お好みでチョコやナッツ類など入れて楽しむのもオススメです。トッピングでアレンジしてもいいですね。今回は無農薬の八朔(はっさく)があったので、皮を甘煮にしたものを使いました。
甘さは、はちみつをたっぷり使うのと、クーベルチュールチョコレートの甘さ、そして、甘く煮付けたはっさくピールをトッピングすること、これだけです。甘すぎない香り豊かな大人のパウンドケーキはワインにもよくあいます。
バターやオイル類も使いませんが、しっとりするのは、やはりはちみつのおかげ。体を温めるスパイスもたっぷり。カカオニブの高ポリフェノールで抗酸化作用も期待できるので、心と体が喜ぶヘルシーなお菓子と言えますね。
材料

<生地>
A:牛乳 50g
A:卵 1/2個
A:はちみつ 100g
B:スペルト小麦全粒粉 40g
B:強力粉 60g
B:ベーキングパウダー 小さじ2
B:シナモンパウダー 小さじ1
B:ナツメグパウダー 小さじ1
B:アニスシードパウダー 小さじ1
(アニスシードがホールの場合は、すり鉢で細かく擦っておく)
B:カトルエピス 小さじ1/2(市販の瓶入り。なければ省いてよい)
<中に入れるもの>
C:クーベルチュールビターチョコ 25g
C:カカオニブ 8g
C:くるみ 30g(グリルかオーブントースターで焼いて刻んでおく)
<トッピング>
はっさくピール(オレンジピールでもよい) 適量
くるみ 適量
★幅91mm×奥行222mm×高さ62mmのパウンド型で半量の高さになります。
カトルエピス(キャトルエピス)について
カトルエピスは、4種類のスパイスという意味。スパイスをブレンドして常備しておくミックススパイスのひとつです。今回は市販のカトルエピスを使いましたが、自宅でお好みのブレンドで作ることもできます。
例えば、ホワイトペッパー、ジンジャーパウダー、ナツメグパウダー、オールスパイスなど。
作り方
1オーブンを180度に予熱しておく。
2チョコは適当な大きさに砕いておく。

3ボウルにAの材料を入れて泡立てないようにざっくりと混ぜ合わせる。甘さははちみつだけ。砂糖は使いません。

43にBを入れて全体にざっくりと混ぜ合わせたら、Cを入れる。
5パウンドケーキ型にクッキングシートを敷いてから4を流し入れる。生地の中の空気を抜くために2~3回、テーブルやまな板の上でトントンとたたいておく。
6オーブンに5を入れて20分ほど焼く。中央に串をさして生地がつかなかったら焼きあがり。
7はっさくピールとクルミをトッピングして完成。

甘さが物足りない方は、粉砂糖やメープルシロップなどを上からかけてもいいですよ。
はっさくピールの作り方
1はっさく(1個)の皮を細く切って、たっぷりの水を入れた鍋で煮こぼしを3回ほど繰り返す。
2煮こぼし終えたら、鍋にはっさくの皮と、皮が浸かるひたひたの水と砂糖を皮の分量と同じくらい入れて水分がなくなるまで弱火でゆっくり煮詰める。
はっさくピールを保存しておくなら、さらにグラニュー糖をまぶしてさらっと仕上げるのもいいです。
今回はトッピングのため、砂糖の粘着を利用してそのままトッピングしました。