スーパーの青果コーナーの片隅にある、ちょっと珍しい葉物野菜。買う人はよく買うけれど、あんまりなじみがない…という方も多いのではないでしょうか。
今回は、山形の伝統野菜「おかひじき」、水草の一種である「じゅんさい」、水滴がついているように見える「アイスプラント」に注目してみました。おいしく食べるレシピも併せてご紹介します。

こちらがそれぞれのパッケージ。スーパーで「そういえば見たことある!」という方もいるかもしれませんね。
目次
山形の伝統野菜「おかひじき」

「おかひじき」という名ですが、海藻ではありません。もともとは海岸の砂浜に自生していた野草なんです。江戸時代初期に最上川を利用した船便でおかひじきの種が運ばれ、内陸地での栽培がスタート。山形から伝わった歴史ある野菜です。現在は全国各地で栽培されていますが、今でも山形県南陽市が生産量トップクラスを誇ります。

見た目はひじきのような感じ。陸で育てられるから「おかひじき」や「若芽ひじき」と呼ばれているんですね。ヒョロヒョロとしていますが、βカロテンやビタミンC、カリウムが豊富。抗酸化作用やむくみ解消の効果も見込めるので、暑くなるこれからの時期にぴったりです。

クセがなく、シャキシャキとした食感が楽しい野菜なので、色々な食べ方ができます。おひたしや和え物にする時は1分ほどゆでてから、天ぷらや炒め物などにする時は生のままでOKです。根元が固い場合は、少し切り落としてから調理しましょう。
シャキシャキ食感を活かして「おかひじきとイカの巣ごもりユッケ」

おかひじきをサッとゆで、韓国風のタレで和えるだけの簡単な一品です。今回はおかひじきとイカの色合いを楽しむため、別々に盛り付けしています。卵黄を崩すときはテンションが上がりますよ!
材料(2人分)

- おかひじき 1パック(70g程度)
- イカ刺身 1パック(120g程度)
- 卵黄 1個
- 白ごま 適量
- 糸唐辛子(お好みで) 適量
<調味料>
- コチュジャン 小さじ1
- ごま油 小さじ1
- 醤油 小さじ1/2
- 酢 小さじ1
- 砂糖 小さじ1
- おろしにんにく 少々
- おろししょうが 少々
作り方
1おかひじきはイカ刺身と同じくらいの長さに切り、1分ほどゆでたらザルにあげて水を切ります。長くゆですぎるとシャキシャキ感がなくなってしまうので注意しましょう。

2おかひじきを冷ましている間に、調味料をすべて混ぜ合わせ、タレを作っておきます。

3イカ刺身に、2で作ったタレを8割ほど和えます。残りの2割のタレはおかひじきに和えます。

4皿におかひじきを丸く盛り付け、中央にイカ刺身、卵黄をのせます。最後に白ごま、お好みで糸唐辛子をのせたら完成です。

食べ方のコツ
ご飯や麺類に盛り付けても◎。残った卵白は別途スープを作り、溶いて入れると「かきたまスープ」にできます。
ゼリー状の不思議な野菜「じゅんさい」

池や沼など、キレイな水の中で育つ水草の一種「じゅんさい」。沼底に張った根から茎がのび、水面に新芽や葉を広げます。収穫期は5~8月。生産量トップクラスを誇る秋田県では、お客さんも実際にじゅんさいの摘み取りができる「収獲体験」も行われているそうです。

じゅんさいの葉や茎は透明なゼリー状に覆われていて、ツルンとした舌触りが楽しめます。もともとは美しい緑色ですが、生のじゅんさいは鮮度が落ちやすいため、スーパーに並ぶ多くは水煮にしたあとに酢漬けされたもの。そのためこのような色合いになっています。

じゅんさいは、食物繊維やポリフェノールが豊富。腸内環境を整える効果や、抗酸化作用も見込めます。
そのまま食べると少し酸っぱいので、酢の物以外なら酢抜きをした方がベター。ひと晩水に漬けておくか、30秒ほど湯通ししてから調理するのがおすすめです。
ツルツル感を活かして「じゅんさいとトマトのさっぱりそうめん」

ツルンとしたじゅんさいは口当たりが良いので、食欲が落ちてしまいがちな夏にぴったり。すりおろした山芋と和えたり、お吸い物の具にしたりと幅広い料理に使えます。秋田県では鍋の具としても親しまれているのだとか。
今回はトマトと合わせ、一緒にさっぱりと食べるそうめんレシピをご紹介します。うつわもタレも冷蔵庫に入れておき、冷たくして食べましょう。
材料(2人分)

- じゅんさい水煮 1パック
- そうめん 2把
- トマト 1個
- 大葉 2枚
<調味料>
- オリーブオイル 大さじ2
- 醤油 大さじ1
- こしょう 少々
作り方
1じゅんさいは袋から出してザルで水気を切り、熱湯で30秒ほどゆでてから水気を切ります。

2トマトは湯むきします。

ヘタを切り、とがった部分に十字の切り込みを入れてから、沸騰したお湯で皮の先端がめくれてくるまでゆでます。その後、冷水に取ると水っぽくなってしまうので、そのままでOK。粗熱が取れてから全体の皮をむき、2cm角に切ります。
3<調味料>をボウルにすべて入れ、トロっとするまでよく混ぜます。

4じゅんさいとトマトを入れ、3と混ぜ合わせたら冷蔵庫で冷やしておきます。

トマトやじゅんさいの酸味が気になる時は、ひとつまみの砂糖(分量外)を入れましょう。時間が立つと味がなじむので、ここまでは前日までに作っておいても大丈夫です。
5そうめんを表示時間通りにゆでます。その後は流水で洗い、ザルにあげて水を切っておきます。

65に4のタレをよく混ぜたら完成です。味が薄ければ塩、こしょう(分量外)をプラスしてください。

コツ
ハムや生ハムなどを加えてもおいしいです。
プチプチした歯触りが楽しい!ほんのり塩気がある「アイスプラント」

南アフリカ原産の野菜で、サボテンと同じ多肉植物「アイスプラント」。フランス料理ではよく使われている食材で、日本では1980年代に佐賀県で栽培がスタートしました。塩分濃度が高い土地でも育てられる塩生植物で、食べるとほんのり塩気が感じられます。日本でも各地で育てられるようになり、「バラフ」「プッチーナ」「シオーナ」などの名前でも呼ばれています。

葉の裏側や茎にまで水滴がついているように見える、一風変わった見た目が特徴。
この水滴状のものは「ブラッダーセル」という細胞で、ミネラル分を多く含んでいます。
また、血糖値を下げるビニトールや、中性脂肪の増加を抑えるミオイノシトールという成分も含まれています。
豚肉の甘みと一緒に楽しむ「アイスプラントと豚肉の冷しゃぶ」

アイスプラントは生でも食べられますが、少し青くささがあるので、サッとゆでて食べるのがおすすめです。サラダにしたり、天ぷらにしたりと、こちらも色々な食べ方ができますが、個人的にはマヨネーズとの相性が抜群だと思います。今回はからしゴママヨネーズをつけて食べる冷しゃぶを提案します。
材料(2人分)

- アイスプラント 1パック
- 豚肉(しゃぶしゃぶ用) 150g
- 酒(豚肉の匂い消し用) 少々
<調味料>
- すりごま 大さじ1
- マヨネーズ 大さじ1
- 砂糖 小さじ1
- だし汁(または水) 小さじ1
- しょうゆ 小さじ1/2
- ごま油 小さじ1/2
- 練りからし 少々
作り方
1アイスプラントは食べやすいサイズに割き、熱湯で鮮やかな色になるまで20~30秒ほどゆでてから、ザルにあげてそのまま冷まします。

ゆですぎるとプチプチ感がなくなりますので注意しましょう。
2豚肉は70~80℃程度のお湯で重ならないように色が変わるまでゆでます。

豚肉の匂いが気になる場合は、ゆでる前に豚肉に少し酒をまぶしておきましょう。ゆでた後はザルに取り、そのまま冷ましておきます。
3調味料をボウルにすべて入れ、よく混ぜておきます。

4それぞれを皿に盛り付けます。アイスプラントを豚肉で包み、タレをつけて食べます。

コツ

時間を置いて食べたい時はすべてを混ぜ、和え物として楽しむのも。和えておくと、アイスプラントの緑色も比較的保たれます。
色々な料理に使える万能選手。レパートリーも増やせます!

ちょっと珍しいけれど、クセがなく食べやすい葉物野菜を3つご紹介しました。どれも色々な料理に使えるので、毎日の献立づくりも楽しくなるかもしれません。ぜひ食べてみてはいかがでしょうか。