食いしん坊の少女が発明した「タコのマリネ」 #今井真実さんの思い出レシピ

食いしん坊の少女が発明した「タコのマリネ」 #今井真実さんの思い出レシピ

子どもの頃、家族と行っていたイタリア料理のお店は、入り口からすぐのカウンターに10種類ほどの前菜が並んでいました。
ぽってりとした厚みのある大皿には宝物がたくさん。私はそのお皿の中身が何か知りたくて、お店に入ると、いつもゆっくりつま先立ちでそろそろと歩き、のぞきこみました。
大体のものがオリーブオイルのフレッシュな淡い緑色の膜に覆われ、時折真っ黒いイカや、深く濃い紫色のてらてらとした茄子がありました。茄子なんて大嫌いなのに、あの茄子はどうしてあんなにおいしそうなのだろう。
普段の自分の心と、今目の前にある食べ物への欲望のギャップに、行く度に驚いたことです。

その中でも私のお気に入りは「タコのマリネ」でした。元々、タコは大好物なのに、たっぷりのオリーブオイルに包まれて、いい香りのハーブがまぶされているのです。
子どもの私は、それが何のハーブかも知る由もなく、噛むたびにじわじわと舌の上に感じる旨味や、タコの歯応えと塩味をただただうっとりと味わい、お皿に残ったマリネ液をしつこくパンになすりつけて食べていました。

家の鉢植えにローズマリーはあったものの、明らかに違う香り。もっと鮮やかな色でちょっとパセリに近くて…。キッチンのドライハーブを漁って、出来たのがこの「タコのマリネ」のレシピです。

さて、お店の味は再現出来たのか…その答えはNOです。
しかし、とってもおいしくて「わあ!これは私の発明だ!」と喜んだことを覚えています。

お持ち寄りの集まりに、母が「まみ、あれ作ってよ、ワインに合いそうだし」と言ったので、張り切って支度した覚えがあります。
そう考えると私の初のおもてなし料理かもしれません。

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タコのマリネ

材料

  • タコ 120g(蒸しダコや茹でダコ、お刺身売り場に売っているもの。洗わなくていいです)
  • ドライバジル 小さじ1
  • 塩 ひとつまみ
  • 白ワインビネガー 小さじ1〜2(なければレモン汁、米酢など)
  • オリーブオイル 大さじ1

作り方

タコを斜めに薄く削ぎ切りします。
斜めに包丁を入れて細かく動かします。波の模様になっても大丈夫です。マリネ液がよく絡んで美味しいですよ。足の先の方は適当に2cm程度の長さに切りましょう。

スライスしたタコをボウルに入れ、水気やタコのぬめりがあったらキッチンペーパーで拭き取ります。

ドライバジル、塩を入れてよく和えて、そこに白ワインビネガー、オリーブオイルを入れてよく和えます。味見して大丈夫であれば出来上がり。

コツは、お塩とお酢は最初は控えめに。元々タコの塩分があるので、最初からお塩をたくさん入れるとしょっぱくなります。
酸味は好みがあるので、お酢は最初は小さじ1にしておき、全て和えてから、味見をしてからもう小さじ1を足すくらいでちょうど良いでしょう。

なんせ、小学校低学年の子供が考えたお料理です。簡単でしょう?冷蔵庫で2〜3日ほど保存出来ます。

今であれば、経験を積んだので、ケッパーやオリーブも入れちゃうかも、ドライではなくフレッシュバジルにする?胡椒をガリガリしても良いかも、などと色々と考えるのですが、幼き時のこのマリネも潔くてかっこいいなあ、なんてちょっぴり誇らしく思います。

そして、ドライバジルを使っているからこそ、この美しい緑色が保たれているのでしょうね。

神戸は明石が近いこともあり、我が家はタコが常に冷蔵庫にありました。そういえば兄も大好物で、直火で炙ったものに、ごま油とお塩でよく食べていました。タコのお料理が食卓に並ぶと兄妹でこぞって取り合っていたものです。
今も、タコを食べる時には嬉しいような懐かしい気持ちになります。

撮影:今井裕治

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