ここのところナッツオイルを取り上げて来ました。
ヘーゼルナッツ、マカデミアナッツ、くるみ、アルガン、アーモンドそしてピスタチオナッツのオイルについて。
それぞれ個性と風味があり仕上げのスパイス感覚で使えるグルメ調味料。少しでも魅力を感じていただけたら嬉しいです。
さて今回は少し特殊系、マニアックなオイルをご紹介しましょうか。
世界にはまだまだ様々な油があるのです。
目次
ご存じですか?こんな油

左からMCTオイル、カメリナオイル、タイガーナッツオイル、パインナッツオイル、ブラッククミンオイル、ザクロシードオイル、ギー
さて、今からピックアップするオイル、いくつご存じですか?
原料は分かるというもの、聞いたことないけど意外と食べやすいもの、成分は面白いのに味が強烈だったり希少すぎてとても高価なものなどいろいろ。
ただやはり使う人があっての油なので、一時的な流行で消えるもの、なかなか売れなくて輸入されず市場から消えていくもの、主にサプリメントに加工される油などヒットには結びつかないものもありますよね。
逆に、今はマニアックでも数年後にはメジャーになっているものもあるかもしれません。
少しグループでまとめて見てみましょう。
ヘルスケア代表オメガ3系オイル
健康のために油を選ぶなら外せない必須脂肪酸であるオメガ3系オイルでは、えごま油とアマニ油がメジャーと言えます。次いで以前紹介したサチャインチオイルですが、他にもあります。スーパーフードとして認知されてきたチアシードのオイルもオメガ3であるα-リノレン酸が豊富で食べやすいです。
また同じオメガ3グループであるEPAやDHAを摂るには魚油もありますが、特にクリルオイルというオキアミの油は吸収されやすいリン脂質型で天然の抗酸化成分アスタキサンチンも入っていておすすめ。魚臭さを消せれば食用油となるかもしれませんが今のところはサプリメントですね。
それとα-リノレン酸含有量は落ちるものの、オメガ9,6,3がバランスよく含まれビタミンEもあるので加熱できるオメガ3系オイルとしてカメリナオイルがあります。原料は、厳密には違いますがペンペン草に似ている植物。あの草のような香りとコクがあるオイルです。
女性の味方γ-リノレン酸を含むオイル
γ(ガンマ)-リノレン酸はオメガ6系に分類される母乳にも含まれる脂肪酸です。乾燥肌などの皮膚トラブルやPMS(月経前症候群)、更年期症状を抑えるなど女性ホルモンのバランスを整える作用があるとして、サプリメントも出ている成分です。
これを含む油は限られていて、ボラージオイル(ルリジサ種子油)で20%前後、月見草油(イブニングプリムローズオイル)が5~10%保持します。コスメオイルとしても人気です。

またγ-リノレン酸とオメガ3であるα-リノレン酸を両方含むオイルとして麻の実油(ヘンプシードオイル)もじわじわ来ています。
いずれも熱には弱いので取り扱いには注意して上手に取り入れましょう。
ヘンプシードはミネラルたっぷりで原料を食べるのもおすすめ、サラダや料理にかけて私もよく食べています。
次のブームになる?オメガ7(パルミトレイン酸)を含むオイル

オメガ7系パルミトレイン酸はまだまだ知られていないかもしれません。
以前マカデミアナッツオイルのところでご紹介しましたが、私達も生まれた時から持っていて加齢と共に減ってくる脂肪酸です。マカデミアナッツオイルと馬油、そしてシーバックソーンオイルに含まれます。
数年前シーバックソーンを初めて聞いた時、「新しいオイル?」と思いましたが、もう10年以上前から何度か呼び名が変わって商品化されています。最初中国から来た時はサジー(沙棘)、次にヒッポファエ、どれも同じものです。
原料はグミ科のオレンジ色の小さな果実で、強烈に酸っぱくてビタミンCや鉄分、抗酸化酵素であるSODなどが補給できるジュースとしての認知度が高いかもしれません。
ビタミンEやA、植物ステロールを含むオイルは主に血管を強くするサプリメントやアンチエイジングコスメ用として販売されています。少し他のオイルにブレンドして使わないとオレンジ色が濃いのでご注意を。
中鎖脂肪酸
MCTオイルはここ数年でかなり認知度が上がって来ました。10年前はスーパーでは手に入らなかった特殊なオイルです。MCTはずばり中鎖脂肪酸のこと。代謝の仕方が長鎖脂肪酸がメインである他の油とは違うので速やかなエネルギー補給ができたりダイエットに有効と今注目を浴びつつあるオイルと言えます。
こちらは次回から詳しく取り上げていきますね。
同じく中鎖脂肪酸や短鎖脂肪酸を含むギーもここ数年特にヨガ業界を中心にブームになって来ました。
今日はギーを使ったレシピを紹介しますね。
その他の特殊系オイル
まだまだありますが、キリがないのでまとめて列挙します。
以前台湾のお茶屋さんで素麺に絡めて出た茶の実油(ティーオイル)がとても美味しかったのですが、中国や今は日本でも少し作られています。椿油に似たオレイン酸主体の油で食べやすいのでもっと出てくるといいですね。
ペポカボチャの種から搾るパンプキンシードオイルは前立腺治療のサプリでも有名で、味も香ばしいのでコアなファンがいるオイル。
パインナッツオイル(松の実油)のピノレン酸、ザクロシードオイルのプニカ酸など希少で珍しい脂肪酸については今後の研究データに期待したいところ。
日本では馴染みがないですが、エジプト、古代ローマからインドなどで万能薬的に使われてきたブラッククミンオイルも強烈だけど癖になる清涼感のある味。あのスパイスで馴染みのあるクミンとは別物です。
スーパーフードとして流行ったカヤツリグサの塊茎、タイガーナッツオイルも面白いですね。
やはり味わいと栄養、価格のバランスが取れたオイルが人気になっていくものですが、癖になる、なぜかはまってしまうというのも魅力の一つではありますね。
機能や目的にあわせて、または好きな風味で選ぶのもOK、はじめてのオイルも是非試してみてくださいね。
ギーについて

天然牧草を食べているヨーロッパの放牧牛のバターから作ったギー、癖が強すぎずさらりとした味わい。
ギーとは古くからインドを中心に使われてきたバターオイルの一種です。
牛乳や水牛、山羊の乳を原料としたバターをさらに煮詰めてろ過することで、水分やたんぱく質、糖分が抜けて純度の高い乳脂肪になります。
冷蔵庫のない時代から常温で保存できるオイルとして重宝され、インドの宗教儀式や伝承医学アーユルヴェーダでは何千年も大切に使われてきました。
美容にも欠かせない脂溶性ビタミンや分解されやすい中鎖脂肪酸、脂肪燃焼を助ける短鎖脂肪酸に共リノール酸などを含む特殊オイルとして注目されています。
グラスフェッドバターやギーとMCTオイルを混ぜる「*完全無欠コーヒー」で知られた方も多いかもしれません。
*シリコンバレー式 自分を変える最強の食事(デイヴ・アスプリー著)で紹介された朝に飲むコーヒー
またカゼインや乳糖が取り除かれているので乳アレルギーの人も食べられるとされています。
発煙点も高いので加熱調理もOK、バターのように焦げることがありません。
日本にも缶詰や瓶詰で輸入されるようになりましたが、メーカーにより香りの強さなど違います。量は少ないですが、繊細な味わいの国産ギーも出てきました。
気温にもよりますが大体マヨネーズやヨーグルト程度のとろりとした粘度なので、スプーンですくってどうぞ。
ある程度慣れもあると思いますがバターとは違う独特の風味があるので、気になる方はスパイスなどと合わせて使うといいかもしれません。パンケーキや炒め物、スープなど普段のお料理にどうぞ。
ギーで作る茄子のドライカレーのレシピ
正直パンに塗るのはバターの方が好きな私ですが、料理に使うと後味にふっと香るギーの風味が悪くないと思います。今日は初心者の方にもおすすめの、シンプルな材料でさっと炒めて作る茄子たっぷりのドライカレーをご紹介しますね。

材料(3人分)

- ひき肉(牛豚合いびき) 200g
- 茄子 2本
- 玉ねぎ 小1個または大1/2個
- パプリカ 1/2個
- にんにく 生姜 各1かけ
- ギー 大さじ2
- カレー粉 大さじ2
- ケチャップ 大さじ2
- ソース 大さじ1
- 塩 小さじ1/2
- ごはん 適量
あればガラムマサラ、パセリ
茹で卵やらっきょうなどお好みの付け合わせ
【商品情報】
ギー・イージー グラスフェッド・ギー
http://ghee-easy.jp/
作り方
1玉ねぎはみじん切り、にんにくと生姜はすりおろす。パプリカと茄子はさいの目切りに。
2フライパンにギーを大さじ1入れて玉ねぎを炒める。透明感が出てきたらにんにくと生姜を加え炒め、香りが出たらひき肉とカレー粉を加え、焼きつける。
3ひき肉の色が変わりカレー粉も馴染んだら、茄子とパプリカ、さらに大さじ1のギーとケチャップ、ソース、塩を加え全体を混ぜあわせる。
4蓋をして茄子に火が通るまで煮(焦げないようにたまに混ぜて)、仕上げにお好みでガラムマサラなど振る。
5ごはんと盛りつけて付け合わせを添え、あればパセリを振る。
ポイント

茄子を入れる時にギーを追加して絡め、蓋をして蒸し煮にすると艶やかジューシーに仕上がります。
カレーパウダーを使って簡単にさっぱり仕上げましたが、お好みのスパイスを組み合わせたり、固形ルーを削って使うなどご自由にどうぞ。