私を助けるための料理。お鍋ひとつで作る「自由な鶏のにゅうめん」 #今井真実さんの思い出レシピ

私を助けるための料理。お鍋ひとつで作る「自由な鶏のにゅうめん」 #今井真実さんの思い出レシピ

ただ生きるということがこんなに大変だったなんて。東京で一人暮らしを始めた私は、事あるごとにそう思った。
家事をしなくてはいけない、会社にも行かなくてはいけない、公共料金も払わなくてはいけない。ポストの郵便物は気を抜くとすぐに溜まってしまう。
時折、猛烈に寂しさを感じたり、実家に帰りたい、とお風呂で泣いたりした。銀行で残高をチェックして、お金が無くなっていく怖さも味わった。
ああ大変、ああ大変!と思いながらも、だからといって私は不幸ではなかった。段々と、「ただ生きる」ということが面白く思えてきたから。
自分のために掃除をしたり、料理をしたりする事、それは誰にも邪魔されない優雅な時間だったのだ。
隣人に怒られぬように、ハイヒールをさらにつま先立ちにして、古ぼけたアパートの階段をそおっと足早に上る時、やっと帰れた、といつも思った。
誰もいないがらんどうの部屋に「ただいま」とつぶやき、もう心は躍っている。

さあ、今日はなに作ろう。

どんなに疲れていても「あれなら」と作れるご飯があります。
それはこの「自由な鶏のにゅうめん」。気合の入らない料理です。インスタントの袋麺を作るくらいの気持ちで大丈夫。

食べた後は、全身に血が通い、胃がほっとする。レモンを絞るのは香りの良さもありますが、酸っぱいものって元気が出ます。
お料理は、食べる人の気持ちも考えてあげたい。「自分のために」であっても、同じ事です。

なぜ自由かって?それはあなた好みの味を見つけてほしいから。

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目次

材料(1人分)

  • 鶏もも肉(唐揚げ用) 3個
  • セロリの葉っぱ 手のひらいっぱい
  • レモン 1/4個(レモン果汁で大丈夫です)
  • そうめん 1束
  • ナンプラー 適量
  • ブラックペッパー 適量

鶏肉は私は唐揚げ用を買って3個ずつに分けて冷凍していました。これは1人でちょうど良く食べ切れる量です。

お鍋にお湯を沸かします。使う丼に出来上がりの量を想像してお水を張り、お鍋に入れます。大体500ml程度でしょうか。

次に鶏肉を入れます。お水からでもお湯からでもどちらでも。麺を入れるまで、お肉に火を通します。
冷凍の場合は冷凍庫から取り出し、そのまま入れても。その場合少しお水を多めに入れておくのがコツです。

鶏もも肉に火が通ったか確認します。鶏肉の分厚い部分を、お菜箸で割いてみましょう。生っぽかったらそのまま1分ほど煮ておきましょう。アクは取っても取らなくても大丈夫です。

あらかたお肉に火が通ったら、おそうめんをそのままお鍋に入れます。ちょっと入れにくいので押し付けるようにしながら、お鍋にねじりこみ、ほぐします。セロリの葉っぱを入れて1分ほど茹でます。

ここでお出汁をお味見しましょう。ほんのりとした塩味がついているでしょう?
後は足りない塩分を補うだけ。ナンプラーを少量から入れて、自分好みの味付けをしましょう。

最後に、レモンを絞ったら出来上がり。レモンを入れることでさっぱりとして、元気が出ます。
そして、どこかフォーのような、どこの国のご飯でもない雰囲気になります。

さあ出来上がり。ブラックペッパーをたっぷり挽いて召し上がれ。
ふうふうとすすれば、私の味だ、おいしいな、とほっとします。

これは鶏肉を具材としても、お出汁としても、両方の役割を担ってもらう作戦です。

おそうめんはお塩が練り込んであるので、そのまま茹でるだけで、適度な塩分がスープに溶け込みます。

例えば、パクチーを足しても良い。いっそのこと赤玉ねぎのスライスを載せて、アジアの香りのする麺に仕立てても。
あるいは、風邪気味であれば、お葱をたっぷり使い、めんつゆをほんのり垂らして、レモンの代わりに梅干しを入れるのも良いでしょう。

トマトジュースを入れてみたり、にんにくや生姜を入れたり、スパイスを足すのも楽しいです。たっぷりお野菜を入れるのも、健康的で素晴らしい!
色んな工夫をすることで、繰り返し作っても飽きが来ません。

なんせ、お鍋ひとつ、場合によっては包丁も使わなくても成り立つくらい。気合の入らないお料理なのです。

味付けだって、なんだって良い。
その時に、わからなければ卓上で少しずつ、お醤油を入れてみたり、ナンプラーやお塩を足せば良いのです。もし味が濃くなってしまったら、お湯を足せば解決です。

いかにも、大らかで良いかげんで、私の好きな優しい料理。このにゅうめんはあなたが生きていく上できっと役に立ち、助けてくれるでしょう。

撮影:今井裕治

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