初めまして。イタリア、ローマ在住のTsugumiと申します。日本在住時は航空会社にて客室乗務員として勤務しておりました。そんな私がなぜ今、イタリアで料理を教えているのか、簡単に自己紹介をいたしますね。
忘れもしない30歳を目前に控えたとある時期、私は自分の人生を変えてみたいとフィレンツェに単身で料理留学をしました。当時の会社には休職留学制度という、とても素敵なシステムが存在したのです。
フィレンツェでの料理留学を終え、再び復職した私ですが、あの頃からすでに私の心はイタリアにあったように思います。いつ日本を発っても後悔のないように、懐石料理やアジア料理など習えるものはなんでも習いました。もちろんイタリア語も。
そして2008年に退社、再びイタリアに戻ってきました。新しい人生の地はローマ。ここで結婚、出産、大病までしながら今に至ります。
大使館や駐在員の奥様からのリクエストで出発した私の料理教室も、今ではイタリア料理の魅力を世界各地の日本人の方々へオンラインでお届け出来るまでになりました。こちらのサイトでも、イタリア料理の魅力をどんどんお伝え出来たらと思っております。
さて、第1回目の記事はアマトリチャーナパスタです。王道中の王道「カルボナーラ」、といかないところが私らしいと自分でも苦笑しておりますが…。
というわけで、みなさまにローマ3大パスタのひとつでもあるアマトリチャーナをご紹介していきたいと思います。
目次
ローマ3大パスタのひとつ、アマトリチャーナ
ローマの3大パスタが、カルボナーラとアマトリチャーナ、そしてカーチョ・エ・ペペであることは、イタリアン好きの日本ではもはや周知の事実でしょう。とはいえ、本場イタリアではカルボナーラに生クリームが入らないこと、アマトリチャーナにタマネギを入れないことなどはそんなに知られていないような気がします。
アマトリチャーナにタマネギを使用しないことは、料理を学んだ私ですら、数年前まで知り得なかったことでした。なぜなら有名料理人のレシピを見ても、当たり前のように材料にタマネギと書かれている場合が多いからです。
アマトリチャーナの故郷は、ローマ近郊のアマトリーチェという町です。アマトリーチェで作られるアマトリチャーナには、実はタマネギだけではなく、ニンニクも入らないようです。素材の味を大切にする、イタリアらしさが垣間見られますよね。
実はこのアマトリーチェの町は、2016年のイタリア中部地震で壊滅的な被害を受け、現在も往時の面影はなくなっています。しかし、アマトリーチェがあるラツィオ州のリエーティ周辺は美しい自然と肥沃な土地で知られ、グアンチャーレやペコリーノなどラツィオの郷土料理を生み出す食材に恵まれています。
アマトリチャーナのレシピ
それではタマネギもニンニクも入らない、アマトリーチェ発祥の本場レシピでさっそく作っていきましょう。
材料(2人分)
- スパゲッティ 200g
- グアンチャーレ 70g ※1
- ペコリーノ・ロマーノ 30g ※2
- トマト缶 250g ※3
- 赤唐辛子 適量
- オリーブオイル 適量
- 粗塩 20g
※1 ベーコンで代用可(その場合は塩・こしょうを使います)
※2 パルミジャーノ・レッジャーノで代用可
※3 ミニトマトのホール缶、もしくはカットトマト缶でも代用可
作り方
1大きな鍋に2Lの水を入れ、沸騰させる。沸騰したら粗塩を入れる。
2グアンチャーレは外側の固い部分を取り除き、1cm幅の短冊切りにする。
3フライパンに数滴のオリーブオイルと輪切りの赤唐辛子を入れ、弱火で点火する。
4赤唐辛子の良い香りがしてきたらグアンチャーレを入れ、中火でカリカリになるまで炒める。
5グアンチャーレを器に移しておく。
6スパゲッティを表記時間より1分短めに茹で始める。同時に5のフライパンにトマト缶のトマトを入れ、適宜スパゲッティの茹で汁を追加しながら6~7分ほど弱火で煮込む。
7スパゲッティが茹で上がる1分くらい前になったら、6にグアンチャーレを戻し入れ、なじませておく。
8茹で上がったスパゲッティを7に入れ、ソースとスパゲッティをしっかりと絡める。
9ペコリーノ・ロマーノをすりおろし、火を止める。
ポイント
- グアンチャーレ自身の脂身と塩気があるので、オリーブオイルは数滴程度、塩・こしょうはなしで大丈夫です。ベーコンで代用する場合には、工程3のオリーブオイルは大さじ1程度、工程6では適量の塩・こしょうで味を調えてください。
- トマト缶を煮込む際、水分がなくなる場合には、パスタの茹で汁をおたまの半量を目安に適宜加えてください。
- ペコリーノ・ロマーノが苦手な方や入手しにくい場合には、パルミジャーノ・レッジャーノで代用が可能です。もしくは、半量ずつ加えても美味しいです。
- 本来はタマネギやニンニクを入れないのが本場流ですが、我が家では、敢えてタマネギの甘みとニンニクの香りでいただくこともあります。その場合、タマネギは1/2個、ニンニクを1/2片使用し、グアンチャーレを取り除いたフライパンで、トマト缶を入れる前に炒めてください。
- 本場ではブガティーニという、ロングパスタに穴のあいたパスタを使用することが多いのですが、スパゲッティやリガトーニなどのショートパスタでも美味しくいただけます。
パスタの歴史
アマトリチャーナの歴史に触れると、必然的にパスタの歴史が紐解かれていきます。
ローマでは、最初にカーチョ・エ・ペペというペコリーノチーズと黒こしょうのシンプルなパスタが生まれました。そこにグアンチャーレを加えたものとしてグリーチャが誕生しています。更にグリーチャに卵を加えたものがカルボナーラとなり、卵の代わりにトマトを加えたものがアマトリチャーナになったのだとか
ちなみにグリーチャは『白のアマトリチャーナ』という別名を持ちます。なかなか興味深いですよね。
Profumi e colori “イタリアからの香り”
イタリア語でpurofumiは香水や香りを意味し、coloriはカラーを意味します。こちらでは、イタリアからの旬を、まさに香りを届けるようにお伝えできたらと思っております。
この記事を書いている3月8日はミモザの日、国際女性デーとして知られていますね。
イタリアでは男性が女性にミモザの花を贈る日、とされています。なぜミモザなのか、気になりますよね。それは、ミモザがどこにでも咲いているとても身近な花だからだそうです。残念ながら、ミモザの花粉アレルギー持ちの私にはミモザの花は届かないのですが、それでも朝からミモザの写真入りの素敵なSNSメッセージがたくさん届きました。
イタリアでは女性から女性へも、こんな風にメッセージを送りあうのです。
さて、今日はミモザの日にちなんでミモザケーキを焼いていました。
午前中にオンラインレッスンがあり、トスカーナ風フォカッチャを焼いたり、フリッタータと呼ばれるイタリア風卵焼きを焼いたりしていたので、一日中オーブンをフル回転させていました。トスカーナ風フォカッチャは普通のフォカッチャを少し潰したような形をしています。外側がカリカリ、中がふんわりという食感が特徴的です。
ヴェネツィア名物、塩だらのペーストとともにいただきました。
ミモザケーキよりもトスカーナ風フォカッチャが美味しいとは娘のセリフ。お酒のつまみが大好きな9歳の娘です。