大判焼?今川焼?回転焼?ほっこりあたたかい思い出話 #和菓子女子の日記

大判焼?今川焼?回転焼?ほっこりあたたかい思い出話 #和菓子女子の日記

「はぁ、今日も寒いなぁ…」

新しい年を迎え、街は賑わい、季節は冬真っ只中。四季の移ろいを感じられるのが日本の美しさ、とはわかっていつつも、寒がりな私はどうしても冬が苦手です。それでも毎年なんとか乗り越えられるのは、今回の主役であるこのお菓子と、ほっこりあたたまる思い出があるからじゃないかなと思っています。

リード

ふわふわしっとりのボリューミーな生地から顔を出すあんこ。今日は黒あん(今回は粒あんのことを黒あんと表現します)にしようかな、白あんにしようかな、それとも中身のわからないままかぶりつこうかな?うーん、やっぱり両方食べたい。誰かと半分こにしようかな。この一つのおやつからいくつでも物語が生まれてきそうで、その魅力はきっとこの味だけではないんだろうなと思っています。。

こんにちは、和菓子女子として活動しています、せせなおこです。小さい頃から和菓子が大好きな私はおいしいだけではなく、その小さな和菓子にいろんな文化や歴史、思い出がギュッと詰まっていることに魅力を感じています。
思い出の和菓子や地域の文化や季節の和菓子をこの連載でお伝えしていこうと思っています。記事を読んでふっと今まで忘れていた思い出が蘇るような、そんなきっかけになったらとても嬉しいです。

そんなわけで今日のおやつは全国でも呼び名が異なり、江戸時代から長い間ずっと日本人の間で親しまれている”回転焼”のお話です。

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STORY 1 ~大判焼?今川焼?回転焼?各地の呼び名~

小麦粉、卵、砂糖、蜂蜜、あんこ。とてもシンプルな材料で作られるこのおやつの名前、なんて呼んでいますか?
冒頭で“回転焼”と表現しましたが、今川焼、大判焼、おやきを始めお店の名前がそのままお菓子名として浸透していたりもしているこのおやつのことです。

STORY 1 ~大判焼?今川焼?回転焼?各地の呼び名~1

九州、福岡出身の私はこのおやつを“回転焼”と呼び、育ってきました。
大学生になり、上京し、九州と異なる文化をたくさん見つけ、ちょっと不安に思っていたころ。大好きな回転焼すらも名前が違ったことに驚きを隠せませんでした。(そのあと東京、福岡の問題ではなく全国的に全く名称が異なることを知り、みんな違うなら仕方ない!とちょっとだけ安心したのを覚えています。)

名前の歴史を調べると、どうやら一番早く生まれたのが今川焼なんだそう。一説によると、江戸時代、桶狭間合戦をもじり「今川焼」として宣伝・発売し評判となったため、一般名詞化して広がったとされています。その後、今川焼よりも形が大きいからと生まれたのが大判焼、その型の銅板を回転させて焼いていたことから回転焼、と様々な名前が生まれたんだそうです。

STORY 1 ~大判焼?今川焼?回転焼?各地の呼び名~2
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STORY 2 ~ニコニコって言ってくれたおばちゃんの思い出~

小学生の頃、母と2人で回転焼を買いに行ったことがありました。黒あんと白あん、いわゆる王道の2種類しか売っていなかったこのお店が私は正直苦手でした。隣の店だったらカスタードクリームが入ったものやチョコクリームが入った変わり種があったから。

ちょっとふてくされながら行ったそのお店で、母に耳元で囁かれたとおり「黒と白、2個ずつください」と注文すると、不機嫌な私に「ニコニコね!」とおばちゃんが笑いかけてくれたのが今でも忘れられない思い出です。

あんこの味だけで勝負するお店の魅力がようやくわかるようになった頃、そのお店はなくなってしまいました。もう一度だけ、食べたかったなぁ。その時気づかなくても、大人になって魅力に気づいたとき、それが大事な思い出に変わるんだなと、あの笑顔のおばちゃんと回転焼が教えてくれた気がします。

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STORY 3~大きくなって味わう白あんのおいしさ~

回転焼きのことばかり考えていたら、案の定食べたくなってきました。子供の頃から馴染みのある近くのお店に買いに行きます。せっかくだから家族の分も、と黒あんと白あんを2つずつ。“あっ、ニコニコだな…”なんて心の中で呟きながら、出来立てほやほやを紙袋に入れてもらって、お家にかえります。

まずは安定の黒あんかな〜!とかぶりつくと、まさかの白あん。「えっ!」と驚いたのは出てきたのが白あんだったことよりも、そのあまりのおいしさ。今までは絶対黒あん派。なんなら白あんなんてちょっと苦手だったはずなのに、ねっとりとしたコク、生地と絶妙に絡み合うこのなめらかな食感の白あんに惚れ惚れしてしまいました。

STORY 3~大きくなって味わう白あんのおいしさ~

「…白あんっておいしいね」そう呟くと「だからおいしいって言ったじゃないの〜!」と昔から白あん好きの母が嬉しそうに答えます。「あー、でもやっぱり黒あんも食べたい!お父さん半分ちょうだい〜!」そんな何気ない日常もいつかはきっと楽しい思い出に変わるんだろうな、なんて半分に割った割れ目から湯気の立つ回転焼を食べながら思ったのでした。

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