すべての道は畑に通ず?カーテンを手作りした1日 #加藤紀子のおいしい畑

手作りカーテンに乾杯を #加藤紀子のおいしい畑

「うーん…」
普段は忘れてしまうぐらい気にならないことなのに、朝起きて…もしくは陽が傾いて部屋に灯りを…と、カーテンに手が伸びるたびに、「そろそろ限界かな…」、こんな気持ちを抱くように。

結婚をしてすぐ家探しが始まり、何十軒も見た後に「ここだ!」と決めたポイントの一つが、リビングにある二面の大きな窓でした。
互いに家で作業する時間も多く、少しでも抜け感のある空間が理想だったので、「こんなにも大きな窓があるなら、閉塞感も軽減するし、何より部屋の中にたっぷりの光が注ぎ込むなんて嬉しい!」と即決!
お気に入りのお部屋に出会うことが出来ました。

実際住んでみると、空が大きく見えるのも嬉しいし、窓からの景色が、額縁の中に納められた絵のように見えるのも楽しく、時間や季節によって、いつもの風景の見え方が変化していく様子を飽きずに眺めていられるのも素敵で、暴風雨中の勢いある雨や雷、木々のしなりを見守ったり、虹や満月の光にうっとり、部屋の中から日夜しばしの堪能。

チューリップ

夫が誕生日プレゼントに贈ってくれたチューリップを窓の外に置いて「絵画見たいだねえ」と喜んだり、また別の年には、同じくプレゼントチューリップと雪の景色を鑑賞したり。

雪とチューリップ

とはいえ、夜になると灯りのせいで部屋の中は外から丸見えになるわけで、見せていい訳でもありませんね…と、越してすぐ、ジャストサイズのカーテンをオーダーしました。

加藤さんの席

(出来上がってきたカーテンはこんなふう。私は窓に背を向けるこの席で、原稿を書いたり読書をしたりワインを飲んだりしています)

毎日当たり前にカーテンを開閉し、太陽の日差し、外気温…様々な角度から日夜リビングを守り続けてくれること、何年…。「さてと…」ある朝いつものようにカーテンを開けると、窓の取手に生地が引っ掛かり、横に長く大きな裂け目が。

あまりにも綺麗な裂け方に「まあ、そんなこともあるか」と一旦見守ってみるも、そこをきっかけにまた裂け目が伸びたりして日に日に見るも無惨な姿に。「ならば」と縫って処置をしてみても、ほころびは延々に続きそうな気配となり、「今後、洗濯などしたら、もはや全崩壊する可能性あり!」
使った年月を思うとそう判断するしかなく、リビングのカーテンを引越しから8年目、新調することに決めました(それでも使えるところはリメイクして、別部屋移動を計画中)。

そんな経緯を先日、畑メイトさんに畑で草むしり中に聞いてもらっていたら(25年ほど前、洋服のスタイリストとして知り合った彼女と、長く一緒に畑で野菜を作っています)、「じゃ、作っちゃう?」と一言。
というのも、過去に一度、和室に取り付けられていた障子をカーテンに変えようとした時にも、「いいね!」とお手伝いしてくれたり、また今回も「新しいミシンを買ったばかりだから、何か縫いたいと思ってたんだよね!」と、再び神様のような優しい言葉を掛けてくれ、ありがたくも生地選びから付き合ってくれることになりました。

オリジナルで作れるとなれば「麻のような軽い素材…いや、コットン?白?生成り?」なんて主張の少なく、でも柔らかな素材でいいかと、心に決めていったのに、実際に生地屋さんに入ると、それぞれに微妙に異なるバージョンの生地がずらり。

ようやく「いいな!」と思ったらどこかにデザインが施されていたり、また「この分量にしたら一体幾らになるのだ?」な素敵素材など、チョイスの幅が想像以上に広すぎて、「もうオーダーにするよ…」、何度も心が折れそうになったりしつつ、それでも心強い応援のおかげで、数件の生地屋さんを廻って、納得の素材に辿り着くことができ、かつ取り寄せてもらう形で、イメージしていた生地をゲットすることが出来ました。

設計図

家に戻り、相談に乗ってもらった生地屋さんのアドバイスのもと、まずは生地を裁断し、畑メイトさんはミシン掛けをスタート。

ミシンがけ

子供の頃から裁縫が苦手だった私は、なんの迷いもなくタタタと縫い進める彼女の動きには惚れ惚れするばかり。かつその縫い目の正確さは、畑での種まきと全くもって一緒で綺麗、「性格出るんだねー!!」大きく感動。

一方、アイロン掛け担当の私は…

アイロンがけ

植木鉢用水差し片手に「水が垂れる…」
オロオロ、終始ずっとこんな…(もちろん種まきも、波のように揺れる自由なタイプ)。

お喋りしたり、お茶休憩という名のビール休憩挟んだり…そんなイメージでスタートしたのに、やり始めるとカーテン屋さん並みの集中力発揮で、交わす会話は、「これでいい?」、確認事項ばかり。

カーテン完成

その甲斐あってか夜目前、最後の作業であるカーテンテープが縫い終わり、アイロンも終了、フックもなんとか差し込んで、無事完成!
頭から爪先まで糸くずまみれになりながら、我が家オリジナルのリビングカーテンを、親友の畑メイトさんのお力で、完成させることが出来ました。

カーテンを開ける前の景色

朝、カーテンを開ける前の景色。
ゆるいしわ加工のコットン生地だからか、部屋のトーンに合わせた色選びをしたからか、今まで以上に部屋との統一感が出て、付けたばかりとは思えないほどにあっさり、馴染んでくれました。

それでもやっぱり、素人作業ゆえ、見上げれば、

カーテンアップ

ヒダの配列がおかしな箇所があったりもして、「やれやれ」と自身の不器用さに苦笑する部分もありながら、それでも畑での野菜作りやお料理と同じよう、自分の手で出来そうなことにトライするって、楽しいなあ…
(多くを助けてもらったとはいえ)改めてそう実感する経験となりました。

カーテン作りには一切の手が出せなかった夫は、その分、美味しいワインを買いに行き、白菜がメインの“ピエンロー鍋”をコトコト作ってくれました。

カーテンに乾杯

カーテンに「乾杯!」する日が来るとは思っていなかったけど、そりゃあもう、おいしかったです、とっても。

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