こんにちは。和菓子コーディネーターのせせなおこです。
ついこの前新しい年を迎えたと思ったらあっという間に5月になりました。
もう少しゆっくり季節を感じたい!と心の中では思っているものの、毎日は忙しなく過ぎていきます。来年こそはゆっくり感じようと思っていた行事も、気付けば終わってしまい、結局今年も逃してしまった、なんてことも少なくありません。
あまり難しく考えすぎると、結局季節を感じないまま時間だけがすぎてしまう…。だったら、めんどくさがりな私でも気軽に季節を感じられるような読み物があったらいいなと思いました。無意識に日本の行事を固く考えすぎていたのかも。気軽に楽しく読んでもらえたら嬉しいです。
目次
5月の呼び方

5月は見ての通り5番目の季節。年が明けて5つ目と思う人もいれば、新年度が始まって2つ目と思う人もいるはず。5月、といってもいろんな捉え方があるように、5月にもいろんな名前があります。
例えば一番有名な皐月(さつき)は、早苗(稲の苗)を植える月として「早苗月(さなえづき)」というのが略されて、「さつき」と呼ばれるようになりました。旧暦では梅雨の季節だったため、「梅月」や「月不見月(つきみずづき)」とも呼ばれました。
他には、この時期に咲くお花の名前をとって「橘月」「菖蒲月」、草木が生い茂る様子から「多草月(たぐさづき)」という名前もあります。
いろいろな呼び方を知ることで、今までとは違った捉え方で5月を感じられそうです。
柏餅と端午の節句
5月といえば一番に思い浮かべるのが「端午の節句」。小さい頃はなんの日かよくわかっていませんでしたが、“柏餅が食べられる日”と毎年楽しみな日でした。
私の中で柏餅=こしあん、というイメージでしたが、京都に行ったときにみた味噌餡の柏餅は衝撃でした…!え、お菓子に味噌を使うの?と恐る恐る食べてみると甘塩っぱいあんこがそれはもうおいしくて、すっかりハマってしまいました。

柏餅が生まれたのは江戸時代。当時は砂糖が貴重だったため、塩餡や味噌餡が一般的だったんだそう。今のように甘いあんこが入るようになったのは意外と最近のようです。柏の葉っぱは、新芽が出るまで古い葉っぱが落ちないことから「子孫繁栄」の意味を込めて使われるようになりました。
一般的なのは柏餅ですが、違うお菓子を食べる地域もあります。例えば北海道は葉っぱの形をした「べこもち」を、鹿児島では餅米を竹の皮に包んで灰汁で煮た独特のお菓子「あくまき」を食べます。食べるものが違っても子供の成長を願う気持ちはどの地域も同じ。節句のお菓子を食べながらほっこりとした気分に浸りましょう。


5月の花
桜が散ってしまい、春も終わりだな、と少しさみしく感じる5月。でも大丈夫。5月が見頃のお花を紹介します。

まず、菖蒲はこの時期に花を咲かせ、端午の節句の代わりに「菖蒲の節句」と呼ばれることも。香りが強いことから、菖蒲湯や菖蒲酒など魔除けとしても使われてきました。

それから藤の花。日本古来の花として、家紋などにも多く用いられています。鮮やかな紫が美しく、藤の花の名所も各地に存在します。
5月の第二日曜日は母の日。菖蒲や藤の花、カーネーションをモチーフにした和菓子も多くみられるので、お花が好きなお母さんへのプレゼントにぴったりです。
八十八夜
立春から数えて88日目の日を八十八夜といいます。この時期は茶摘みが盛んになり、新茶が出回る季節。おいしいお茶が飲めるとても嬉しい季節です。ちなみに、八十八夜の日に積んだお茶を飲むと1年間元気に過ごせるともいわれています。

和菓子といえばやっぱりお茶。おいしいお茶とおいしい和菓子で新しい季節を感じたいものです。新緑の季節そして新茶の季節。私の中で5月のイメージカラーはみどり色。元気に成長する植物を見ていると、なんだか元気がもらえます。
五月病、なんて言葉もあるくらい5月は気分が落ち込みやすい季節。私も今まではちょっぴり苦手だったけど、病気などになってしまってはこんなに魅力的な5月もかわいそう。
みなさんも無理せず健やかに過ごせる5月になりますように。