こんにちは、フリーライターの山田志桜里です。
こちらの連載コラム #ロンドン女子の英国日記 では、私の大好きなイギリスや紅茶についての小話を毎月紹介しています。
本日ご紹介するのは、私がロンドン生活でとっても贔屓にしていたティールーム「ニューエンズ(Newens)」。ロンドンを代表する世界遺産キューガーデン(Kew Gardens)のすぐそば、イギリスらしい雰囲気を味わえるので、観光でいらっしゃる方にもおすすめのお店です。

ちなみにキューガーデンは、東京ドーム約28個分の広さを誇る、イギリス王立植物園。有名な温室やバラ園、英国王室最小といわれる宮殿「キューパレス」もあり、晴れた日には気持ち良いお散歩を楽しめる穴場スポット。
ロンドンの南西部にあり、ロンドン中心部からは電車で約30分ほど。一足延ばしたお出かけにちょうどよく、年パスを購入して、晴れた週末に通っていました。
目次
老舗ティールーム「ニューエンズ」


ニューエンズがあるのは、そんなキューガーデンの入口からすぐそばの通り。創業は1850年と、今から170年以上も前!ティールームのメニューは古くから伝わるイギリス料理が中心なので、イギリスらしいティータイムを楽しめます。
名物のメイズ・オブ・オナー

ニューエンズの代名詞ともいえる名物メニューが、「メイズ・オブ・オナー(Maids of Honour)」。サクサクのパイに、自家製の甘いチーズカードを詰めたもの。

これは、500年前から伝わる伝統的なイギリス菓子で、16世紀イングランド王、ヘンリー8世の大好物だったのだとか。
あまりの美味しさに、レシピは宮殿内に鍵をかけて保存され、このお菓子を作っていた女中は宮殿に閉じ込められ、ヘンリー8世や王族のためだけにタルトを作るよう命じられた……という逸話も残っています。
その由緒ある「メイズ・オブ・オナー」をいただけるのが、ここニューエンズ。オーブンでほんのり温められたものが提供され、ナイフをさくっといれると甘い香りがふ〜んわり。

手のひらに乗るくらいのサイズ感なのでパクッと食べられますが、お菓子にまつわる逸話を聞き、ゆったりと時間が流れるティールームならではの雰囲気に包まれると、濃いめの紅茶と合わせ、のんびりと一口ずついただきたくなります。
テイクアウトも可能なので、ご友人やご家族への手土産として購入される方も多いそう。観光の方は、お持ち帰りしてホテルのお部屋で楽しむのもおすすめですよ。
モーニングからディナーまで!

メイズ・オブ・オナーだけでなく、朝食からランチ、ディナーまで、メニューのラインナップが豊富。お酒が好きな方はアルコールを楽しむこともできます。
中でも私の一押しは、11:15までのモーニングメニュー。ニューエンズで過ごすモーニングのために、わざわざ早起きして出かけたいと思えるほど。
イングリッシュブレックファースト
モーニングの人気メニューは、イギリスでおなじみの朝食「フルイングリッシュ」(10ポンド)。

半熟の目玉焼きに焼きトマト、ベーコンとソーセージ、マッシュルームにベイクドビーンズと、お腹がはちきれんばかりの大ボリューム!バター添えのトーストと合わせていただきます。(女性同士ならシェアしても十分な量かもしれません)
エッグロイヤル
私のお気に入りのメニューは「エッグロイヤル」(9ポンド)。

聞き馴染みがない方もいらっしゃるかもしれませんが、トーストしたイングリッシュマフィンに、ポーチドエッグとスモークサーモンをのせ、オランデーズソースをかけたもの。
ハムがのっている「エッグベネディクト」のサーモンバージョンです。
濃厚でクリーミーなソースがスモークサーモンとよく合い、オープンサンド感覚でパクパク食べられます。見た目に反してボリュームがあるので、よくブランチとしていただいていました。
長居に嬉しい紅茶飲み放題
ニューエンズで何より気に入っているサービスが「Unlimited Pot(無制限ポット)」。

3.5ポンドで、ポットの紅茶が飲み放題になるシステムで、茶葉もお湯もお願いすれば無料で足してもらえます。ちなみに、2人以上でシェアする場合は、1人あたり3ポンド。
ケーキやエクレアなどのデザートメニューと、このUnlimited Potを注文し、のんびり話に花を咲かせる昼下がりを過ごされている方をよく見かけます。
紅茶を飲みながらゆっくり本を読んでみたり、飲み物の減りを気にすることなく夢中でおしゃべりを楽しんだり……。この「無制限ポット」のサービスには、たくさん助けられました。
ニューエンズでのどかなひとときを

名物のメイズ・オブ・オナーはもちろん、ボリュームたっぷりの朝食、そして心ゆくまで紅茶を楽しめる私のお気に入りスポット「ニューエンズ」はいかがでしたか?
世界遺産キューガーデンの観光と合わせて立ち寄ってみるのもおすすめですよ。

運が良ければ、お店の前にオーナーさんの車が停まっていることも。「PASTRY」(ペイストリー=タルトなどのお菓子)のナンバープレートをチェックして。
公式サイト:https://theoriginalmaidsofhonour.co.uk/
【当取材記事につきまして】
ライター山田志桜里が企画・取材依頼し、記事を作成しました。