学食にお寿司屋さんがあるなんて聞いたらちょっと気になりませんか?
お寿司好きのライター中島誠子が訪れたのは、東京大学柏キャンパスにある「お魚倶楽部 はま」。
東大でお寿司!?
なんだか想像もできませんが、珍しいお寿司が食べられるお店と聞きつけ、行ってみました。
まず驚いたのは、深海魚やサメなど、食べたことも聞いたこともない珍魚が出てきたこと!そしてそれがとにかく、私が今まで食べたお寿司の中で一番と思えるほど美味しかったんです。
さあ、どんな魚が出てくるのでしょう。今回は、お店のおすすめのメニューのほか、その美味しさの秘密もレポしたいと思います。
目次
東京大学柏キャンパスにある「お魚倶楽部 はま」とは?
「お魚倶楽部 はま」は、全国でも珍しい大学の中にあるお寿司屋さん。お昼はお寿司ランチ、夜はお酒を飲みながらお魚料理が楽しめるという、夢のような学食です。
東京大学はさまざまな場所にキャンパスがありますが、今回ご紹介する「お魚倶楽部 はま」があるのは、千葉県の柏キャンパス。場所は、つくばエクスプレスの「柏の葉キャンパス駅」からバスで約10分、東京大学大気海洋研究所の中にあります。
東大ということで緊張しましたが、店内はカフェのような雰囲気で、気兼ねなく入れるお寿司屋さんでした。大学関係者だけでなく、一般の方も入ることができるのでご安心ください。
店内はテーブルとカウンターを合わせて18席あります。ランチ時は150人以上のお客様が来ることもあるそうで、毎日、学生や大学関係者で大賑わい。
外にも8名掛けのゴンドラ型の席が4台、4名掛けのテーブル席が5台あるので、店内が満席の時はお外でもお食事が可能です。
店内の窓際には、魚の模型やダイオウグソクムシの標本などがずらり。まるで理科室にあるような装飾品に、研究所らしいユニークな一面も見えます。
お店を切り盛りするのは、大将の濱さんご夫妻
出迎えてくれたのは、気さくで明るい大将と笑顔が素敵な奥様。大将は、御年70にして趣味でライブを行うミュージシャンでもあり、お寿司を握る時のBGMは、大好きなオールディーズ。なんだかかっこいいお寿司屋さんですね。
「お魚倶楽部 はま」がこちらにオープンしたのは、2010年7月。もともとは東京・中野区にお店を構えていましたが、その近くにあった東京大学大気海洋研究所が移転するタイミングでお店の常連客だった教授たちに誘われ、この地にお引越しされたそうです。
ということは……東大の教授たちのお墨付き!ということじゃないですか!学食とは言えないほど本格的なお寿司屋さんに驚きです。
ランチのおすすめはこれ!
私は、ランチの人気メニューの「にぎり(810円)」を注文。大将が1貫1貫、丁寧に握る本格寿司は、にぎり8貫&ロール寿司3個と満足できる内容でした!
その他、学生に嬉しい500円の日替わりランチ丼(数量限定)をはじめ、お寿司や海鮮丼、魚の定食などが揃います。
海鮮丼も810円~で数種類あり、毎日来ても飽きない品揃え。海鮮丼もにぎりも食べたい方は、写真の「はまスペシャル(810円)」を選んでみてくださいね。お寿司も付いてボリュームたっぷりでお腹いっぱい!
ここ、学食ですよ。こんな本格的なお寿司&海鮮丼が味わえるなんて、最高の学食ですね。
絶対食べて!地魚にぎりは必食
どのメニューを選んでも間違いはないのですが、こちらのお店を目的に遠方から行くのであれば、絶対に食べていただきたいメニューがあります。
これを食べなきゃ「お寿司倶楽部 はま」は語れません。
ランチに追加したいおすすめメニュー
ランチタイムにあるのは「地魚5貫にぎり(791円)」。地魚はその時に入荷した魚のため、ほぼ日替わりとなりますが、取材時のお魚は、ヘダイ、ヒラスズキ、ホウボウ、ユメカサゴ、イヤゴハダ。珍しい魚の名前が並びます。
ディナータイムはさらに珍しい地魚が!
お寿司の美味しさに魅了され、別の日の夜にも行ってみました!
夜も同じく地魚にぎりのメニューがあり、ランチ同様、5貫(791円)。今回は1貫(164円)追加してみました。ツムブリ、ハマフエフキ、オジサン、ヘダイ、バケムツ、アオハタ。聞いたことある魚、ありますか?
気になる地魚にぎりのお味は?
名前だけ聞くと、本当に食べられるのか心配になるほどでしたが、一口食べたら、その美味しさにびっくり!
どれも魚独特の臭みは全くなく、上品な甘さと脂が口の中に広がります。一見同じような見た目のお寿司ですが、それぞれに甘みや脂の乗り、歯ごたえが異なり、絶品です!
「最初はアオハタから食べてみよう、一番好きなのはツムブリかな、オジサンってどんな魚なのかな……」などと楽しみながら食べられるのが魅力です。
夜はお酒を飲みながら、絶品魚料理も堪能しよう!
夜はお酒を飲みながら、大将の作る絶品料理を味わいましょう。お寿司以外で私が選んだのは、「ソフトシェルクラブ唐揚げ(891円)」。ソフトシェルクラブは脱皮したばかりの甲羅の柔らかい蟹のことで、唐揚げ調理が抜群に合います。蟹の香ばしさとふわっサクっとした食感がたまらなく、やみつきになるはず。
こちらは魚のカブト焼き。こちらも地魚のお寿司と同じく仕入れの魚によるため、どんな魚が食べられるのかは当日のお楽しみです。取材時にいただいたのは「ツムブリのカブト焼き(891円)」。
こんなジューシーな焼き魚ははじめてと思うほど脂が乗り、淡白ながら甘みもあって最高でした!きっと魚の名前を聞いても味の想像がつかないかと思うので、その日のおすすめを大将に聞いてみるといいでしょう。
こうしたカブト焼きに小鉢・お新香・汁物・ご飯がセットになった「お魚ごはんセット」や、地魚刺身盛りが楽しめる「お刺身ごはんセット」もあり、どちらも900円とリーズナブルです。(お魚ごはんセットのカブト焼きは単品よりサイズが小さくなります。)
さらにこちらは、「ベニテグリのフライ(810円)」。
なぜこの魚をフライにすることを選んだのかという質問に対しては、「それは、やってみたら美味しかったから」という単純な答えが返ってきました。長年培ってきた料理人としての勘があるからこそできる技!
そして最後にいただいたのは、名前が気になって注文した「サケ餃子(391円)」。こちらは、ミンチにしたサケを餃子の皮で包んだ水餃子です。魚の餃子なんて初めて食べました。サケの脂分が程よく、さっぱり。隠し味のケチャップやチーズなどがいいコクを出していました。
実はこちらのメニュー、東日本大震災の際に大将が考案し、岩手県の被災した旅館に提供したもの。岩手特産のサケが使われ、今では地元で商品化されるほどの人気商品なんです。ぜひ、一度食べてみてくださいね。
岩手県大槌町のふるさと納税の返礼品にもなっています。
https://www.furusato-tax.jp/product/detail/03461/424453
漁港も市場も遠いのに美味しいワケとは!?
柏市って海ないよね…?と不思議に思われているかもしれませんね。
実はこちらのお店では、一部のランチメニューを除き、魚は京都市中央市場から仕入れているそうです。驚くのは、大将が魚の種類を指定するわけではなく、市場に出回りにくい魚をおまかせで直送してもらうという、なんとも大胆な方法で仕入れていること。
そのため、珍しい黄金のイクラ(サクラマスの卵)などを入荷できることもあり、出会える魚の種類は無限大です。
大胆な仕入れができるのも、大将が信頼を置く魚の目利きのプロが市場にいるから。鮮魚の管理も抜群で、食べるのにベストな日数を置いて送ってくれるため、美味しい魚を美味しい状態でいただくことができるのだそうです。
お寿司に使う魚は、鮮度が命なんじゃないか?と思いましたが、実は獲れたての大きな魚は身がかたく、食べられないことがほとんど。大将が扱う魚は、水揚げから数日置いてから食べるのがベストなんです。
そして、どんな魚が来ても美味しい料理を生み出せるのは、大将の腕の良さ。どのように調理するか、そう考えている時も楽しいと話す大将は、小学生の時に寿司屋になる夢を持ち、高校1年生の頃から寿司屋で修業を積んで来られました。
時にはサメが、時には自分の身長を超える魚が届く日もあり、どんな魚が届くか、大将は宝石箱が届くような気分で待ち構えているそう。仕入れた魚は公式Twitterにアップされることがあるので、興味のある方はチェックしてみてくださいね。
「魚を知ってもらいたい」、大将の想いが詰まった寿司店
大将には「知らない魚を知ってもらいたい」「喜んでいるお客様の顔が見たい」という気持ちが強く、そういった熱い想いも美味しさの秘密かもしれません。
子どもたちに魚を知ってもらう機会を作りたいという想いもあり、子どもたちに仕入れた魚を見せてあげたり、大学が開催しているイベント「さいえんす寿司BAR」とコラボしたりすることもあるそう。機会があれば、そういったイベントにもぜひ参加してみてくださいね。
「お魚倶楽部 はま」は、ここでしか食べられない魚に出会える、行く度に何が食べられるか楽しみなお寿司屋さんです。ぜひ絶品のお寿司とお料理を味わいに訪れてみてください。
「お魚倶楽部 はま」の基本情報
住所:千葉県柏市柏の葉5-1-5 東京大学大気海洋研究所1階
電話番号:04-7134-5656
営業時間:(月~金)ランチ11:30~14:45 ディナー17:00~21:00
(土)ランチ11:30~13:45
定休日:土日祝
公式Twitter:https://twitter.com/hamaosakana
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※情報は2020年7月現在。Twitter等で、訪問前に必ず最新情報をご確認ください。
【当取材記事につきまして】
ライター中島誠子さんが企画・取材依頼し、記事を作成しました。