栄養の基本がわかると食の選び方が変わる―脂質編 #栄養士のレシピ

脂質とは~栄養の基本がわかると食の選び方が変わる~ #栄養士のレシピ

管理栄養士で雑穀ご飯と具沢山みそ汁で腸からきれいにする活動をしている神田由佳です。
私は、2万人の方々の食事アドバイスをしてきました。
健康や美容への興味が高まっており、栄養面を意識される方が増えてきています。

今回は私たちのエネルギー源や細胞膜を構成する「脂質」についてお伝えします。そして栄養素がとれるレシピをご紹介していきます。

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脂質とは?

脂質とは?
(画像出典)PIXTA

脂質とは、炭水化物・たんぱく質と並ぶ大切な栄養素です。

食べ物に含まれる脂質は、エネルギー源として使われるほか、体の生理機能を調節する働きがあります。

なぜ脂質は溜まりやすい?

炭水化物やたんぱく質は1gあたり4kcalのエネルギーを産生するのに対し、脂質は9kcal。糖質やたんぱく質の2倍以上のエネルギーを生み出せるので、体は脂質を体内に蓄えようと働くのです。

そして余った脂質は脂肪として体内に蓄えられるのですが、その量が過剰になると生活習慣病の原因である肥満になります。

脂質はどれくらいの割合で摂るべき?

炭水化物、脂質、たんぱく質のエネルギー比率のうち、脂質からの摂取は20~30%が目安となっています(1歳以上の男女)。
しかし、国民健康・栄養調査の結果では、成人男性では2割、女性では3割の方が、脂質のエネルギー比率が30%を超えています。

また、脂質の種類によっても目標の基準値が定められています。種類については、次の段落でご説明しますね。

参照:厚生労働省 日本人の食事摂取基準2020(P149-151)
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf

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脂肪酸とは?

脂肪酸は脂質を構成するものですが、さまざまな種類があります。脂肪酸の割合によって脂質の種類・性質が決まると言っても過言ではありません。

飽和脂肪酸

飽和脂肪酸
(画像出典)PIXTA

常温で固体です。バターやラードなど、主に牛肉や豚肉の動物性油脂に多く含まれています。

飽和脂肪酸摂取量が増加すると、血中のLDL-コレステロールが増加し、狭心症や心筋梗塞など冠動脈疾患罹患が増加します。また肥満や糖尿病のリスクも高まります。

不飽和脂肪酸

常温で液体です。構造により、オメガ9、オメガ6、オメガ3に分類されます。

オメガ9

オメガ9
(画像出典)PIXTA

オレイン酸が多く含まれているため、悪玉コレステロールを減らします。また熱に強く酸化しにくいです。オリーブオイルやキャノーラ油、ごま油に多く含まれています。

オメガ6(n-6)

オメガ6
(画像出典)PIXTA

菜種、紅花、大豆、ひまわり、コーン、ごまなど一般に使われている植物性油脂は、オメガ6であるリノール酸を多く含んでいます。
リノール酸を摂り過ぎると、善玉コレステロールを減少させ、アレルギーや発がんリスクが高めます。

オメガ3(n-3)

オメガ3
(画像出典)PIXTA

α-リノレン酸、DHA、EPAを多く含んでいます。血液の抗凝固作用、抗炎症作用、抗アレルギー作用があります。ただし酸化しやすいので加熱には不向きです。

必須脂肪酸とは?

必須脂肪酸とは、体内で合成されず食物から摂取しなければならない脂肪酸のことです。
さきほど紹介したオメガ6とオメガ3が必須脂肪酸ですが、オメガ6は通常の生活をしていれば不足することはまずありません。
オメガ3は含まれる食材も限られるため、意識的に摂るとよいでしょう。

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油の上手な使い方

油の上手な使い方
(画像出典)PIXTA

毎日のお料理に欠かせない油。肥満や生活習慣病につながりやすいだけに、上手に使いたいものです。

脂溶性ビタミンとの相性◎

ビタミンA、D、E、Kは、脂溶性ビタミンといって脂に溶けやすい性質を持っています。ニンジンなど脂溶性ビタミンを含む野菜を加熱調理すれば、ビタミンの吸収率が高まります。

酸化に気をつける

空気に触れて悪くなった油(酸化した油)は健康に悪いので、油も鮮度に注意です。
油の酸化をすすめる要因は、

  • 酸素

の3つです。密閉容器に入れて高温を避け、できれば冷暗所で保存しましょう。揚げ物などで余った油は加熱しているため酸化しやすいです。何度も使いまわしせず、廃棄しましょう。

また、特に酸化しやすいオメガ3は加熱調理せず、ドレッシングやスープの仕上げに使ってください。

【補足】良い油、悪い油とは?

脂質はどの種類でもカロリーはほとんど変わりません。しかし、良い油、悪い油といった言葉を聞くこともありますよね。

良い油は、さきほどもご説明したオメガ3。具体的には亜麻仁油やエゴマ油、青魚に含まれる油などです。

一方、マーガリン、ショートニング、コーヒーフレッシュなどの人工的に加工された油は健康に悪影響を及ぼすトランス脂肪酸を多く含むので摂り過ぎには注意してください。

良質な脂質が補える献立~ トマトの冷製スープ

完成写真

今回はオメガ3である亜麻仁油を使ったスープをご紹介します。最近ではスーパーにも売っているので入手しやすくなりました。

材料(2人分)

材料
  • トマト缶(カットまたはあらごし) 200g
  • 玉ねぎ 1/4個(50g)
  • 長芋 80g
  • 塩 適量
  • ガーリックパウダー 適量
  • 黒コショウ 適量
  • パセリ粉 適量
  • 亜麻仁油 小さじ2
  • パン(バゲットや甘くないラスク) 6枚

作り方

玉ねぎは一口大に切り、電子レンジ600wで1分加熱する。

作り方1

長芋は皮をむき4等分に切る。

作り方2

ミキサーに玉ねぎ、トマト缶、長芋、塩、ガーリックパウダーを入れ混ぜ合わせる。

作り方3

フードプロセッサーやハンドブレンダーでも構いません。

スープカップにを半分ずつ注ぎ、亜麻仁油を小さじ1ずつたらす。

黒コショウ、パセリ粉をかけて仕上げ、パンを添える。

トマトの冷製スープ

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